2513年2月24日
侃々諤々の会議は終わりを告げ、いよいよテリトリー建設が開始された。オリジナルの力をもってすれば1ヶ月以内に完成を迎えるだろう。
貨幣統一もほぼ終わり、国家解体戦争によって破壊し尽くされたと言っても過言ではない大地の上で、人々は新たな生活を始めようとしていた。
人々はいまどの様な気持ちなのだろうか?
やはり、殆ど何も無くなったこの世界を暗澹とした気持ちで生きているのだろうか?
それとも、戦争が終わった事で安堵しているのだろうか?
矜持などはとっくの昔に捨て去った。
何としてもこのくだらない戦争の犠牲になってしまった人々を救いたい。その想いで今までやって来た・・・。
なのに・・・。
当然、オリジナルの中に順位という物は存在する。
その順位は勿論、企業として存在していた時代の経済力に依存する。
そして、現時点で一番「力」を持つオリジナルからある発表がなされた。
フィールド内で行う兵器実用実験-。
「ゲーム」にサンプルとして、「ナンバーズ」として参加すれば多額のコインを支給すると言うのだ。
一瞬、何を言っているのか理解が出来なかった。一瞬・・・と言わず気付かなければ良かったのかもしれない。
視界がぐるぐると回り、吐き気に襲われた。
「ゲーム」で開発するものはオリジナル達の企業統一という愚かな野望を満たすための兵器ではなかったのか?
そんなものはオリジナル同士、兵器と兵器を戦わせ、競えばいいものではなかったのか?
どうして人間相手に試す必要があるのだ。
どちらの殺人兵器が優れているかを試すつもりか!
職を欲している人間がいまどの位いると思っているのだ。
こんな事を認めてしまえば「ゲーム」に参加する命知らずは後を絶たない。
ナンバーズだと?笑わせるな。人間を玩具として見ているのか?
・・・オリジナル達は「ゲーム」を本当の「ゲーム」と認識しているに違いない。
狂っている。本当に。
どうすればいい?
この狂いきった世界で、私はあまりに無力だ。
人間の命が命と思われない世界で私はどうすればいいのだ?
子供達に逢いたい。
ろくに構ってやれていないあの子達を抱きしめたい。
娘は大丈夫だろうか?あの子は賢過ぎるから逆に心配になる。
息子は大丈夫だろうか?すぐ泣いて、甘えん坊で・・・・。
だが・・・私は逃げる訳には行かない。
逃げる訳には行かないのだ。
旧日本
暁工業社長
暁 光破