『食品業界ホントのところ』 -18ページ目

揚げ物ホントのところ

こんにちは。
今日は軽めの話題です。

 揚げ物って皆さんお好きですか?
外食を良くされる方ですと、メニューの6割ぐらいは
揚げ物に当たるんじゃないでしょうか?

 スーパーやコンビニなどでもお弁用やお惣菜には
揚げ物が欠かせないです。

 ではなぜ揚げ物が多いのか。
じつは、食品工業的には以下の5つの効果があるのです。


1.油には口当たりをまろやかにし、香りをよくする効果、
  マスキング効果があるので、どんな物でも美味しく
  食べられるようにしてしまいます。
  
  多少食材が悪くとも、あるいは腕が悪くとも
  揚げ物にしてしまえば人気メニューに早変わりです。



2.高温で熱する事ができます。表面温度は150~
  190℃にまで達する事ができるので、茹でるよりも
  殺菌効果が高いと言えます。

  ただし、大きな物は要注意です。中心まで温度が
  達しない事もあります。2度揚げや3度揚げが必要な
  事もあります。


3.水分を蒸発させることで調理後も傷みにくくできます。
  揚げると衣から泡が出ますが、あの泡は水分が蒸発
  しているものです。


4.2.の理由ともかぶりますが短時間で調理ができる
  というのも魅力の一つです。特にお昼とか夕方の
  ピーク時でも生産性が落ちない揚げ物は飲食店や
  スーパーにとって魅力のメニューです。



5.カロリーが上がるので、ボリュームが上がって
  お客さんの満足度が高まります。


 と、このようにメリットがいっぱいなので、どうしても
定食やさんのランチなどに揚げ物が登場する事が
多いのです。

 飲食店の方がこのような知識で動いているかどうかは
わかりませんが、食品工業的にはこういうメリットが
あります。


 デメリットとしては…。

太りやすい!

 油は1gで9kcalになります。糖やタンパクは1g4kcal
なので如何にカロリーが高いかわかります。
大さじ1杯で120kcal!!

 揚げ物はメタボ防止の観点からはちょっと困りますよね。


 揚げ物がなぜ多いか、の理由でした。



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生肉食ホントのところ

前回までのお話です。
第1話 食品工業における衛生管理とは? ―その1―
第2話 食品工業における衛生管理とは? ―その2―
第3話 食品工業における衛生管理とは? ―その3―
第4話 食品工業における衛生管理とは? ―その4―
第5話 食品工業における衛生管理とは? ―その5―
第6話 食材の洗浄・除菌ホントのところ



さて、今回は一応の最終回です。

 前回までは食品の表面には病原性のある食中毒菌がいる
確率が非常に高く、表面が汚染されている物と考えて
行動すべきである事、食品業界では生野菜を消費者に届ける際には、
カビ取り剤や漂白剤で使われる『次亜塩素酸』または
それに類似した物を使用している事をお話いたしました。


 事業所によってではありますが、病院給食
お子さんの給食にも使われております。実は、次亜塩素酸は
有機物との反応が激しいので、それほど反応性を継続する事ができません。
よって、毒性を保つ事が出来ないのです。


 生野菜と同じように、肉の生食に関しても同じ事は
出来ないのか、と思われるかもしれません。

 方法としては、表面にいる菌を除菌していしまう方法が
考えられます。一つは切って捨ててしまう(トリミング)か
焼いて殺してしまうか(タタキ)です。

 ただし、どちらも血管があって『表面』が肉内部
にまで達している、身割れが生じていて『表面』
内部に達している場合には使えません。


 また、私がテレビで見た
『トリミングをしっかり行っている高級焼肉店』
では、ユッケ用のトリミングを某局のニュースで
放映していましたが、酷いものでした。


1.手を洗っても使い回しのきくふきんで手を拭く
  (通常食品工場では使い捨ての紙、もしくは熱風+紫外線による乾燥)

2.トリミングで実際使う包丁も手を洗ったもの
  ではないがふきんで拭いていた


3.汚染されているかもしれない肉の表面が触れたまな板の
  箇所に、切った直後の清潔な表面を乗せる。

  (まな板に菌がついていたら、菌が新しい切った表面に付着する)

4.一度切った包丁は再利用不可、もしくは熱湯消毒または
  薬剤による洗浄を速やかに行わなければならないのに、
  布巾でぬぐっただけで再利用した。

  (包丁に菌がついていたら、菌が新しい表面に付着する)

5.切り落とす際に、根元から切っ先を大きく使って1回で
  スパッと切り落とさなくてはならないのに、のこぎりのように
  ギコギコ切る

  (新しい表面に包丁で菌を塗りたくるのと同じ効果)

6.一回一回肉を切りだす度に手袋を変える、または手指しっかり
  と洗い手の表面に菌がいない状態で切らなければならないのに、
  古い表面を触った手で新しい表面を触っていた。



 と、非常に見ていて怖くなる映像でした。
おそらく肉の卸業者のもとでも同じようにトリミングを行い、
自分たちの店でも行う、という事で結構荒い管理でも大丈夫と
タカをくくっているのでしょうけれど、私なら怖くて食べられません。
ましてや子供になど絶対に食べさせるものではない物と思いました。

 タタキならば肉の表面が新たに菌が付着しないようにさえ
気をつければいいので、こちらの方が楽ではないかと思います。

 タタキで表面を焼いてしまい中の生の部分を削り出すように
すればあるいは食べられるようになるかもしれません。

もちろん実際にはそれに応じた試験等々必要ですが。


 本来ならば、ふぐのように取扱業者に特別な免許を取らせる、
即ち取り扱いの技術を持たせる、という事が必要なのではないかと
思います。牛にいる菌は少量でも毒性を発揮しますので、
個人的ニハそれぐらいしても良いのではないかと思います。

 

 今回の事件についての行政の対応としては、原則生肉食の禁止
動かざるを得ないのではないかと。
---------
生肉提供に届け出制導入へ 埼玉県
2011.5.10 22:12
 埼玉県の上田清司知事は10日の記者会見で、焼き肉チェーン店の
集団食中毒事件を受け、生肉料理を提供する飲食店などの届け出制を
導入する方針を明らかにした。具体的な制度の内容や導入時期は
今後検討する。

 県は2日から、生肉を提供していた県内の焼き肉店や食肉店など
351店舗を対象とする監視指導を開始。9日までに161店を終え、
生肉の提供を継続していた63店のうち54店で厚生労働省の
生食用食肉の衛生基準を順守していなかったとして、生肉の提供を
中止するよう指導した。

 上田知事は「衛生基準を守らなかった場合の罰則がなく、強制力
不足が甘い処理につながっているきらいがある。業界の意見も聞いた
上で、場合によっては国に法改正も求めたい」と述べた。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110510/crm11051022130026-n1.htm 
産経ニュース
---------

 これ以上痛ましい事件が起こらないようにこれからも
生肉食の危険性については訴えていきたいと思います。



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食材の洗浄・除菌ホントのところ

みなさまこんにちは!いよいよ、第6話大詰めです。この回から、
題名をつけてよりわかりやすい内容にしていこうと思っております。

前回までのお話です。
第1話 食品工業における衛生管理とは? ―その1―
第2話 食品工業における衛生管理とは? ―その2―
第3話 食品工業における衛生管理とは? ―その3―
第4話 食品工業における衛生管理とは? ―その4―
第5話 食品工業における衛生管理とは? ―その5―



 さて、今回の題名『食材の洗浄・除菌ホントのところ』
前回はほとんどの食材で食中毒を起こす菌がいてもおかしくない事、
如何に生肉の生食が危険であるか、について書かせて頂きました。

 調べてみて私も改めて生肉の怖さにぞっとしました。
自分自身が焼鳥屋で生焼けの鶏肉を出され、次の日にのた打ち回った
経験がありますので、なおさらです。

 今回はそんな状態であっても食中毒者を出さないようにいかに
食品業界は手を打っているのか、という所をお話したいと思います。



 食材の表面には色々な菌がいます。当然その中には危険な
食中毒を起こす菌も。

 当然皆さんこう思われるでしょう。
『それじゃあ、何でもかんでも焼いて食べなきゃいけないのか』


 しかし、表面の菌を取り除きさえすれば、危険度はぐっと
下がります。この作業を『除菌』と言います。

『うーん、除菌殺菌とあるけど違うの?』
そんな言葉が聞こえてきそうです…。


 ちょっと横道にそれまして、それらの用語を見てみましょう。

 実は、学問的に除菌、殺菌、抗菌等々厳密に分けられております。

除菌…対象物から菌を除いて減らすこと。
   手を水で洗うことや、野菜の表面を洗う事、などが含まれる

殺菌…菌を殺す事。
   ただし、対象物の菌が全滅することを意味する物ではない。
   10%であっても菌が死ねば殺菌となる。

抗菌…細菌の増殖を防ぐ事。
   経済産業省の定義ではカビは含まれない為、JIS規格の抗菌を
   うたうものは、カビによる黒ずみやヌメリについては対象外。

消毒…病原性のある細菌を無害化する行為。
   病原性を消失させれば良いので、殺菌にこだわる必要は無い


『あれ、殺菌って菌を全滅させるんじゃないんだ。』
と思われたかもしれません。日本の場合、大量に外国語を
輸入して翻訳したり、そこから派生したりしたため、
何となく違和感がある言葉が多く存在します。
   

 多くの方が考える殺菌は『滅菌』と言います。文字通り
菌全てを滅するという考え方です。全部の菌を殺菌する、という事
なので、殺菌とはちょっと違ってきます。

 食品業界としましては、滅菌の方法として、特殊な機械を使って
圧力を高めて121℃20分で殺菌します。

 また、物によっては160~200℃30~120分という条件下
で殺菌を行う事もあります。

 医療器具では放射線の一種ガンマ線を用いて滅菌する事もあります。

 菌を皆殺しにする滅菌は非常に難しいのです。


 さて、食中毒3原則の1.である付かせないにつきましては
すでに突破されているとみてよい、とお話しました。

 そこで除菌のオペレーションを行います。

 野菜類は洗浄後表面の皮を取り除いたり、結球する
葉物の場合は第1枚目をめくり捨ててしまう事で菌が大幅に
減ります。

 元々、野菜類の菌に関してはカンピロバクターやO-157
に比べますと食中毒を起こすまでの菌数は多く必要です。
このオペレーションを行う事で十分食べられるようになります。

 もちろん、作ってすぐに食べる事が肝要です。



 ただ、食品工場やお弁当の販売店になりますとそう簡単には
参りません。洗い残しは完全には防げませんし、どうしても
作ってから時間がたった状態で消費者が食べる形になります。
(洗い残しは家庭でも起きている物ですが、食品工場や販売店
 では、調理後の時間が長く、洗い残しは非常に大きなリスクと
 なる可能性があります)

 また、ほとんどの食材は必ずカットの作業が入ります。
カットする為の包丁やまな板から新たに菌をなすりつけられる
かもしれませんし、表面の菌が切断面に移動するかもしれません。


 そこで、魔法の薬『次亜塩素酸ナトリウム』の登場となるのです。


『次亜塩素酸ナトリウム?聞いたことないですが?』
『それってまたすごい薬なんじゃないか?』
『どうせ毒なんでしょ?』

 という声が聞こえてきそうです。
でも、実は意外とポピュラーでほとんどの食品工場で使用
している、そして家の中でも使われている薬品です。


 もちろん、お弁当屋さんなどでの使い方はちょっと
びっくりするでしょうけれども…。


 実は次亜塩素酸はカビ取り剤漂白剤など
の洗浄・漂白成分に使われております。


 『えー、それって危険じゃないの?』
はい、濃度によっては危険です。しかし、毒が無いものは
細菌を殺す事はできません。

 実際のところ塩も砂糖も濃度が濃ければ細菌の増殖を
押さえますが、当然のことながら人間の細胞も傷つけます。
長期間塩分が濃い物を摂取した方は胃がんや喉頭がん等に
かかりやすいというデータも出ております。

(人間は細胞が多い為、末端の細胞が傷ついても本体の細胞が
 生きていれば大体の事は大丈夫ですが…。)


 ま、それはともかく…。
当然のことながら、用途によって適度に薄めて使います。
また、揮発性なので時間がたつと毒性がどんどん落ちていきます。

 使い方としては、使用する調理器具全般の殺菌、
シンクや場合によっては調理場そのものの洗浄、そして
『カットした野菜そのものを洗う』
用途に使われます。主として生野菜として食べる時ですね。
 
 これによって毒性を残さずに口に入るというわけです。


 たぶん、それでも
『それ以外の方法で何とかならないの?危なくてしょうがないじゃない』
とおっしゃる方もいらっしゃると思います。


 しかし、今年ドイツでこのような食中毒事件が起こりました。

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【5月31日 AFP】ドイツで腸管出血性大腸菌
「O(オー)104」の感染が相次ぐ中、当局は30日、死者が少なくとも
14人に達したと発表した。ドイツ政府は同日、緊急対策会議を開いた。

 ドイツ北部で「O104」の最初の感染例が報告されたのは2週間前。
報道によると、感染が確認された例と疑われる例を合わせた
報告数は1200件にも上っている。またドイツ国立
ロベルト・コッホ研究所(Robert Koch Institute、RKI)によると、
「O104」が引き起こす溶血性尿毒症症候群(HUS)は329人の
発症が確認されている。

 感染は英国、デンマーク、スウェーデン、オランダなどにも
広がっているが、これらの国々の感染者の大半は最近、旅行などで
ドイツから帰国した人々だ。

 ドイツ保健当局は前週、スペインから輸入した有機キュウリから
病原性大腸菌が検出されたとして、野菜を生で食べないよう
警告した。ただし、HUSの流行の原因は不明だと述べている。

 事態を受け、ベルギーとロシアもスペイン産野菜の輸入禁止に
踏み切ったが、スペインは欧州連合(EU)に対し、風評被害による
損害分の補償を求めることも辞さないと反発している。

 欧州疾病予防管理センター(European Centre for Disease
Prevention and Control、ECDC)は今回のHUSの流行について、
「拡大範囲はこれまでで最も大きい部類に入る。ドイツで記録が
ある中では最大」だと表現している。
(c)AFP/Frederic Happe
-----

 現状、食品業界で生野菜を食べるには、このように時に起こる
O-157等の腸管出血性大腸菌やカンピロバクターなどの
少量でも食中毒を起こす菌との戦いになります。

 リスクとしては、消毒薬としての次亜塩素酸ナトリウムよりも
これらの菌が起こす食中毒の方が高いと言えます。

 苦渋の選択と言えなくもないのですが、消費者の皆様の安全と
安心を考えると、どうしてもこれらの薬剤を使わざるを得ない
というのが現状です。



 ちなみにここまで熱く次亜塩素酸ナトリウムについて語らせて
頂きましたが、弊社では一切使っておりません…。(すいません)

 海苔なのでそもそも乾燥した部屋でしか加工はできませんので、
全て乾燥空気による洗浄になります。


 それではまた。


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注意
 くれぐれも、
カビ取り剤や漂白剤を食品そのものに使わないで下さいね。
この内容はそういう使い方を
全く推進しておりません。

 また、これらの商品は食品用に作られてませんので、
体に害がある薬品が混ざっている可能性もあります。
絶対に使用しないで下さい

食品工業における衛生管理とは? ―その5―

 こんにちは。今日も衛生管理についてお話をしたいと
思います。


前回、
 実は3原則
1.付けない(清潔) 
2.増やさない(迅速、冷却、乾燥) 
3.殺す(加熱など)

1.はほとんどの食品で突破されている!

と書かせて頂きました。
結構ぎょっとされた方もいらっしゃったと思います。
しかし、事実なのです。


 例えば蓮根。そもそも土の中の食べ物なので、土に住む
セレウス菌ボツリヌス菌に汚染されている可能性が高いです。
同じように穀類や野菜類、果物類は全部土壌細菌によって
汚染されていると言って過言ではありません。


 鶏肉に関しては、カンピロバクターサルモネラ
汚染されている可能性が結構あります。
カンピロバクターで最大30%、サルモネラで最大64%も
汚染されています。
(厚生労働省:平成21年度食品の食中毒菌汚染実態調査の結果について
 http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/kanren/yobou/dl/100330-1a.pdf
 平成22年度食品の食中毒菌汚染実態調査の結果について
 http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/kanren/yobou/dl/110330-1a.pdf)


 牛肉はカンピロバクター腸管出血性大腸菌
汚染されている可能性があります。品川邦汎 岩手大学教授が
カンピロバクターに汚染されているレバーについて調査を行った所
11.4%となったという結果もあります。
http://www.mhlw.go.jp/qa/syokuhin/campylo/dl/qa.pdf


 もちろん、汚染されているからと言って必ず
発症するわけではありません。発症してしまう菌の
必要個数に達していなければ病気になりませんし、
人によっては抵抗力で菌をねじ伏せてしまう事もあります。


 しかし、食肉にいる可能性が高いカンピロバクターは
100~1000個で、0-157やノロウイルスに
至っては100個程度で発症してしまいます。
(新潟薬大・応用生命科学部・食品安全学研究室HP http://bit.ly/mazsoW)


 この個数で多いか少ないかは中々わかりにくいかと思います。
そこで、先に書きました品川邦汎 岩手大学教授の調査結果
を再び引用させて頂きます。

 その調査結果によれば、レバー中のカンピロバクター
の菌数は平均で1g当たり10~55個になったそうです。
つまり、汚染されたレバーを2g以上食べれば感染する
可能性がある、という事です。たった2gです。


 つまり、食肉の場合は非常に毒性の強い菌がすでに
ついてしまっていると見た方がいいのです。

 そして、この3原則の2.については1によって
清浄が保たれている、あるいは毒性の弱い菌しかいない
というのが条件であって、最初から毒性の強い菌に
汚染されていた場合には何の役にも立たないのです。

 ちなみに、カンピロバクターなどの嫌気性細菌は、
鮮度が良い方が元気よく活動する事がわかっております。
肉の表面では増殖はできないようです。このように、
毒性が強い菌に関しては、鮮度が良い方が危険という事もあります。


 要はいくら増やさないように気をつけても、生であれば
食中毒が起きてしまう危険性が非常に高い、と言えるのです。


そう説明しても、よく
『値段が高い店なら大丈夫だろ。安い店で安いものを
 買ったり食べたりするから悪いんだ』

と言われる方がいらっしゃいます。


 しかし、これは全く事実にあっておりません。
ほぼ無菌状態で育てられてる食品は、私が知っている限りでは
植物工場と言われる水耕栽培を行う工場で出てくる葉物野菜
ぐらいで、その他は何らかの菌が表面に付着しております。


 特に食肉にいる毒性の強い菌は、腸内の常在菌になるぐらいなので、
屠殺前の体調の変化もなく、ましてや肉質に影響がありません。
見た目では菌の存在はわかりません。そして、
菌の有無が値段に反映される事もありません。


 もちろん、人件費を削減して必要なオペレーションを省く
ような小売店や飲食店は、菌を新たに付着させ食中毒を起こす事も
あります。危険性は高まるでしょう。


 ただ、そうはいってもそもそも肉にかなり毒性の強い菌が
いる確率は高いです。上記のような心ない飲食店等
でなくとも、食中毒になる可能性が高い食材の一つと言えます。


 リスクを負いたくないのであれば、そもそも
肉は生で食べない方がいいという事です。



-馬肉につきまして-
馬肉の場合は、九州圏内に限って言えば、最新の
設備を整備し、国の定める衛生基準(厚生労働省の「生食用
食肉等の安全性確保について」の通知で、生食用食肉の
衛生基準を示している。ただし、この基準に関して罰則規定
および許認可等々は今のところ設定されていません)
を満たしている為、生食用食肉を生産できるようにしています。
 


 次回、1.を突破されている食材をいかに食べられる
状態に食品工場はしているのか。色々お話したいと思います。
あなたの食べている食品に『あの薬品』が使われているかも
しれませんよ。

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※赤痢やコレラなどの法定感染症になる重篤な細菌類等は
 食中毒とは違うのではないか、というご指摘がございました。
 確かに、過去区別されていましたが、1999年4月に「感染症の
 予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(感染症新法)
 が施行され、病因物質の種別にかかわらず飲食に起因する
 健康障害は食中毒として取りあつかうようになっております。

食品工業における衛生管理とは? ―その4―

 こんにちは。第4話、いよいよ菌に対するオペレーションの
核心です。

 今日は驚かれる事間違いないと思います。食品業に携われて
らっしゃる方には常識かもしれませんが…。


 さて、食中毒の3原則、内容を見てみましょう。

1.付けない(清潔)
 これは読んで字のごとく危険な菌を食品にくっつけない、
という事です。食品に接触するもの全てをきれいに
しなければなりません。まな板や包丁、食器類そして
食品を加工する場所全体の殺菌を徹底しなければなりません。

 また、人間の体にはかなりの菌が生息しております。
手指にも食中毒を起こす菌が存在しますし、そもそも
人間そのものが食中毒症状を呈していた場合、
汚染源になる事もあります。

 通常の食品会社では作業場に入る際に
毛が落ちない特殊な衣類への着替え、手指の消毒、
マスクの着用等々、菌が付着しないような
作業を行います。

 また、従業員の定期的な検便や健康診断も法律では
定めがないものの、社内規定等で義務付けられます。


2.増やさない(迅速、冷却、乾燥)
 これは、食品が活きている状態から口に入るまでの
時間を徹底して短くすることで菌の数を増やさない、
あるいは調理前に菌が増えるのを防ぐため冷却・乾燥
あるいは塩漬け等の調理を行うという事です。

 調理前に室温に放置するのは危険です。
解凍時も要注意です。なるべく流水解凍等で速やかに
解凍した後すぐに調理に入って下さい。

 しかしながら、この2番の処置をしても菌が生きたままの
状態であることがほとんどです。冷蔵庫に入れたらからと
言って安心していますと腐敗したり、感染する程度の菌が
増えたりしてしまう事もあります。

 また、3.の処置後も2に戻る必要があります。
調理後菌が増えやすい温度のままでいる、つまり
段々冷えていってしまうとその途中で菌が増殖する
危険があります。

 なにしろ、この2.の処置のみでは事実上食中毒を防ぐ事
は不可能です。1.と3.を組み合わせなければなりません。


3.殺す(加熱など)
 そこで、殺す過程が必要になります。日本では加熱が
スタンダードですね。ただし、1回の加熱殺菌ですべての
食中毒を防げるわけではありません。

(伝統的な日本酒づくりでは2回加熱殺菌が行われます。
 それは1回では殺菌が終わらないためです。これは
 別項目を作ってまたお話しようと思っております)

 3.も適用には要注意です。
菌が出す毒には効き目が無い事がほとんどです。

 雪印乳業で起きた食中毒事件では、黄色ブドウ球菌が出した
毒素によって14,780名の患者を出しましたが、加熱殺菌
工程では毒素が破壊されませんでした。

 増えて毒を出す前に叩く!


これが重要なポイントなのです。

 余談ですが、これとは別に、加熱以外の方法として海外では
電子線や放射線殺菌が行われています。



 さて、菌による食中毒は主に以下のように分けられます。

細菌性食中毒
1.感染型
カンピロバクター(鶏や牛の腸に生息していて
           精肉の表面にいる可能性があります
サルモネラ菌(鶏の腸や卵に生息しており、
         精肉の表面や卵の表面や内部にいる可能性があります
腸炎ビブリオ(海水に存在。
         魚介類の表面にいます
                       など


2.毒素型
黄色ブドウ球菌(雪印乳業事件を引き起こしました。
          人の鼻の穴や指に存在します。
ボツリヌス菌(からし蓮根食中毒事件を起こしました。
         土に生息しております。
                       など

3.中間型
O‐111や157をはじめとする腸管出血性大腸菌
(焼肉店での食中毒で有名になりました。牛の胃腸に生息していて
 精肉の表面についている可能性があります。
セレウス菌(米飯での感染例が非常に多いです。
        人の腸や土に生息しております。
                       など

ウイルス性食中毒
ノロウイルス  (冬の牡蠣の食中毒で有名。人から人へもうつります。
           貝に蓄積。
A型肝炎ウイルス(肝炎の元となります。
           途上国などで不衛生な水や食事でうつります。
E型肝炎ウイルス(肝炎の元となります。
           野生動物の刺身などで起こります。
                        など

ウイルス性食中毒は細菌性とはまた別のくくりとして
分類されております。

その他カビや毒キノコなどもあげられますが、こちらは
機会を設けてまたお話したいと思います。

こちらもまた常識が覆るお話ができるかと思います。



 さて、延々と細かく見て頂いて恐縮です。
分類はさておき、危険性が高く症例も多い物を上げて
みましたが、ご覧になられて何か気づかれませんでしたか?


 実は3原則
1.付けない(清潔) 
2.増やさない(迅速、冷却、乾燥) 
3.殺す(加熱など)

1.はほとんどの食品で突破されている!
と思った方がよいのです。


『え?そんな事って…。』
と思われるかもしれません。でも、それが真実なのです…。


 今回の生肉食における食中毒事件は、ここに問題がありました。

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※あとがき
 本来は次回にチョコっと書くつもりだった部分です。
 熊本でヒスタミンによる食中毒が起こりました。

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 食中毒:121人がアジの塩焼きで--熊本の桜十字病院職員食堂 /熊本

  熊本市は25日、同市**病院の職員食堂
 「桜十字」で食中毒が発生したと発表した。入院患者はおらず、
 症状が出た18~84歳の男女121人は全員快方に向かっているという。

  市によると、食堂で24日昼にアジの塩焼きを食べた職員に
 頭痛やしびれ、顔が赤くなるなどの食中毒症状が表れ、
 保健所に連絡があった。調査の結果、23日に仕入れたアジを
 保冷剤なしで発泡スチロールに入れたまま冷蔵庫に
 保管していたことが判明。アジから原因物質「ヒスタミン」を
 検出した。市は食堂を25、26日の2日間、営業停止処分とした。
 
 毎日新聞 2011年5月26日 地方版 (筆者により病院名は伏せております)
 ----

 食品から起こる食中毒として有名なのが『ヒスタミン』です。

 「え?そんな名前聞いたことないぞ」と思われるかも
 しれません。しかし、サバの生き腐れとか聞いたことありませんか?


 昔からサバによる食中毒が発生していましたが、
 実際のところは直接の菌ではなくヒスタミンという物質によるもので、
 アレルギーの諸症状を引き起こす原因物質でもあります。

 構図は黄色ブドウ球菌のような毒素型の食中毒とみて良いでしょう。

 実際は、サバに限らずマグロなどの魚、チーズやキノコ
 といった多種多様な食品で発生します。

 原因としましては、常温放置によって食品の中の
 ヒスチジンというアミノ酸が、モルガン菌や腸内細菌などの
 ヒスタミン産生菌によって分解されて起こります。

 このヒスタミンは調理程度の温度では分解されないので、
 何しろ発生させない事が重要です。

 鮮度が良い食品をさっさと冷蔵庫にしまいすぐに調理して
 食べるのが最良の防止法です。