秋の七草  お・す・き・な・ふ・く・は | foo-d 風土

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秋の七草

 お・す・き・な・ふ・く・は

 

 お好きな服は

  爽やかに

   風にたなびく

    秋の七草

 

 春の七草は早春 (正月7日) に万病を防ぐといわれ、朝廷で儀式化し今日まで七草粥で食べられてきましたが、

「秋の七草」は食べるよりも主に秋の風情を楽しみ、かつ、薬草としても効果のあるものが集められています。

「秋の七草」は、奈良時代の歌人、山上憶良(やまのうえのおくら)が歌って万葉集に載せられた二首の歌からといわれています。

 

 《第一首》

 秋の野に

  咲きたる花を

    およびをり(指折り) 

   かき数ふれば

    七種(ななくさ)の花

 

 《第二首》

 萩の花

  尾花葛花

    撫子の花

   女郎花 また藤袴

     朝貌の花

 

 はぎのはな

  おばな くずばな

    なでしこのはな

   おみなえし また ふじばかま

    あさがおのはな

 

 「朝貌」は「朝顔」のことですが、当時、日本に朝顔はなかったので「桔梗(ききょう)」のことだといわれています。

秋の七草の覚え方

「お好きな服は秋の七草」

 お・す・き・な・ふ・く・は

 

 お・・・おみなえし

 す・・・すすき、

 き・・・ききょう

 な・・・なでしこ

 ふ・・・ふじばかま

 く・・・くず

 は・・・はぎ

 

●女郎花(おみなえし)

 手に取れば

  袖さへにほふ

    をみなへし

   この白露に

    散らまく惜しも

      詠み人知らず

 

手に取ると袖まで美しく染まりそうな女郎花がこの白露に散ってしまうのが惜しいことです。

「花の姿が女性を圧倒するほど美しい」と言われている花です。根に消炎作用があります。

●薄(すすき)

 尾花おばなのこと

 

 秋の野の 

  尾花が末(うれ)の

    生ひ靡(なび)き

   心は妹(いも)に

    寄りにけるかも

      柿本人麻呂

 

 秋の野の尾花の先が(風に)なびくように、私の心はあの娘になびいてしまったのです

「すくすくと立つ木」という意味があります。根や茎に、利尿作用があります。

 

●朝貌(あさがお)

この時代は現代の朝顔はまだ日本にはなく、桔梗(ききょう)のことをそう呼びました。

 

 臥(こ)いまろび

  恋ひは死ぬとも

    いちしろく

   色には出(い)でじ

    朝顔の花

      詠み人知らず

 

 あなたのことを思い悩んで夜も寝られず毎晩寝返りばかり打っている私。でも、万が一、恋患いのまま死んでしまうようなことがあっても、朝顔の花が咲くように、はっきりと顔に出すようなことはいたしますまい

 桔梗の魅力は、早乙女ではなくて子供を一人くらいは産まれたであろう大人の女性が夕涼みをしている艶っぽい風情に似合いそうな青紫花ですね

 根を煎じて飲むと咳やのどの痛みに効果があります。

 

●撫子(なでしこ)

 

 うら恋(ごひ)し

  我(わ)が背(せ)の君は

    なでしこが

   花にもがもな

    朝な朝な見む

 大伴池主(おおとものいけぬし)

 

 心から慕わしいあなたは、なでしこの花であってほしい。そうすればわが庭に毎朝見られようものを

「撫でたいほど可愛い子」に例えられる花です。煎じて飲むと、むくみや高血圧に効果があります。

 

●藤袴(ふじばかま)

 

 藤袴の和歌は山上憶良の冒頭のもの一首のみでした。

花の形が袴を連想させることからこの名前がついたそうです。乾燥させたものを煎じて飲むと、糖尿病に効果があります。

 

●葛(くず)

 

 我(わ)が宿(やど)の

  葛葉日(ひ)に異(け)に

    色づきぬ

   来(き)まさぬ君は

    何心(なにごころ)ぞも

      詠み人知らず

 

 わが家の葛の葉は日一日と黄葉して来ました。おいでにならないあなたは、どういうおつもりでしょう。待ち焦がれています。

 上品な和菓子であるくず粉の原料になり、根は現代でも風邪薬で有名な葛根湯に用いられています。肩こりや神経痛にも効果があります。

 

●萩(はぎ)

 

 見まく欲(ほ)り

  恋ひつつ待ちし

    秋萩は

   花のみ咲きて

    ならずかもあらむ

      詠み人知らず

 

 見たくて恋しくて、咲くのを待っていた秋萩は、花だけで、実にはならないのでしょうか。私のあの娘への恋は実るのでしょうか。

葉を落として冬を越し、春には再び芽を出します。根が、咳止めや胃の痛み、下痢止めなどに効果があります。

 

 万葉集には4500首ほどの歌が詠まれていますがその内3分の1の1500首が植物で、梅や桜、藤、橘、尾花、など様々ありますが、どれが一番沢山多いと思われますか?

 梅か桜と思われるでしょうが、桜は平安以降に人気が出ますが、万葉の時代は桜はそれほど人気がなくて圧倒的に梅でした。 その梅は119首詠まれていますが、それよりも多い142首で一番なのが萩でした。

 万葉人がいかに萩を愛していたかですね。

 

 私も大好きな花ですが、秋風に楚々と揺れる可憐さが愛でられたのでしょう

 

 萩はアメリカや中国などにも分布しますが、日本以外では栽培されることはないそうです。

 派手でもなく自然に溶け込み秋風に楚々と揺れる可憐さを愛する心は日本人特有なのでしょう