梅雨に入ると食がよぶ
毎年 梅雨に入ると何故か食べたくなる
口の奥の
そのまた奥から「食べたい」「食べたい」と声がします
「お腹も季節を感じよう」
「梅雨には美味しくなるよ」と
食べたい順に
なんといってもまず鱧。 次に蓴菜(じゅんさい) 茗荷 そして解禁直後の天然鮎の順。
鱧は梅雨の雨で美味しくなると言われ、昔は梅雨に入るといつも一度は食べていました。
鱧は小骨が多く、骨切りをしないと小骨が口に当たって食感が悪くなってしまうので、皮1枚を残し細かく切れ目を入れるという繊細な包丁技術が求められます。
庖丁は皮までしっかり達するように皮を切り離さない様に一寸(3.03㎝)の幅に24本(1.26mm)以上の切り目を「ジャリジャリ」と入れていきますが、プロでも難しい技術らしく、「一寸につき26本(1.16mm)」入れて初めて一人前と認められるようです。
蕎麦の世界では、江戸後期に江戸の蕎麦打ち職人による切り幅の御定法が確立され一寸(3.03cm)の幅の麺体に対して、並打ち(中打ち)は切りべら23本といってこの一寸を23本(1.32mm)に切る、とされています。 細打ちは40本(0.75mm)前後です。
現代の蕎麦屋の世界では一般的な二八蕎麦は17本(1.78mm)切り位が多く、23本は細い方で、少数派になっています。
たまに私が細打ちそばを作る時はやはり40本(0.75mm)位に切っていますが、ここまで細いとそうめんより細く感じます。
さて、鱧ですが江戸蕎麦の並切りより少し細いくらいですね。
現代ではスーパーに行くと骨切りをしたものが売られていますが、切り方が荒く、多分24本ぐらいでしょうか、これでは口の中で骨がざらついて食べられたものじゃないです。
普通の日本料理店で出されるものは24本(1.26mm)~26本(1.16mm)くらいでしょうか、でも、これでも小骨が舌の上でざらつくんです。私はホロホロと口の中で崩れるそれ以下が好きですが、それはおそらく30本(1.0mm)以下でしょうか、こういうものが大好きです。
もう随分昔、名古屋に住む様になり、梅雨に呼ぶ鱧の声を聞き、何ヶ所か名古屋の日本料理店に行きましたが、 元々名古屋には鱧の文化がなくて鱧切り包丁を持っている料理屋もないのでしかたないのですが。ホロホロと口の中でとろけるようなきちんと骨切りのできたまともな鱧の湯引きや葛打ちが食べられないのです。
ですから、毎年この時期になると京都へ行く仕事の後に川床や料理屋さんで食べていました。
最近は名古屋でも鱧切り包丁のある日本料理屋も少しは出てきていますから、食べられるかもしれませんが、まだまだホロホロと口の中でとろける様な納得のいいものを食べていません。
同じように今住んでいる東濃地方でも、まだ一度もいい鱧を経験した事はありません。
今年も梅雨に入り早速口が呼ぶので先々週出かけました。
今回お邪魔するのは名古屋ではなく地元ですが、行くたびに腕が上がっている若手のさんです。ここならいけるだろうと。
日本料理屋さんならこの時期ですから、鱧、潤菜、は当然用意されていて、茗荷や天然鮎もあるだろうと思い込み、急に思いついて前日電話した所うまく空いていて出かけました。
入店すると直ぐに「吉田さんの電話ですぐに鱧だろうと思いましたが、今日は鮎です」と言われてしまった![]()
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まあ数日前に連絡しなかったのだからしかたないとして、
蓴菜と鮎がありました。
お店に着くとピチピチと泳がせていた鮎に串を刺す作業中
これを1時間遠火で焼いて出してくれます。
まず、喉を滑らかにハートランド
次いで 発泡日本酒
︎先付け
エッチングカクテルグラスに
パプリカの冷製ポタージュにキタムラサキウニ そら豆 ミニトマト
パプリカがいい旨味を出していて、中々美味い。
上に載っているウニが負けている。
キタ紫ウニも高級で決してレベルが低いわけではないが、所詮紫ウニ。あっさり系の味だから仕方ない。 ポタージュが良すぎたのだ。ウニがちょっと可愛そう。
これがバフンウニならまだ負けてはいなかったろうが、それでもまだ弱い。限定漁期の旬の天然物バフンウニの姿塩漬けならいけただろうが、これは高価すぎるけどね。
椀物
シックな螺旋柄の椀
蓋を開けると
この時期の小さな蓴菜が浮いている
このサイズはおそらく一番芽だね。
蓴菜を採る時は木舟を浮かべて一粒一粒手作業で採るんだけど、その後、大きさの無選別はまだ楽だが、こんな小さなものだけを揃えて採るなんて数も少なく本当に大変でしょう。とは言え、小さな一番芽はとても柔らかく大きさの割にゼリー部分が大きく高級品。 最近の蓴菜は中国からの輸入も多いが、これは秋田産。国産蓴菜では秋田が出荷量は一番だ。
トゥル トゥルっと口の中に滑り込む
いい食感 この涼を呼ぶような優しい食感
小さいから尚良い
久礼 辛口純米
土佐の西岡酒造 +10 やや淡麗な まあまあの辛口
焼物
青楓の下に泳ぐ若鮎
1時間かけて焼いた鮎
きちんと頭蓋骨まで火が入り頭から骨ごと食べれる。
お店によっては骨ごと食べられると言いながら、結構硬いものがあるが、こちらはじっくりと火を通していてちゃんと無理なく食べられた。良い焼き方だ。
船の中にバイ貝が添えてある 3月から7月が旬で一番美味しい頃。
バイ貝には白と黒があり、白バイ貝は富山あたりでは日常的に食べられるもっともポピュラーな種類で、煮付けやお刺身として食べられます。一方、写真の茶色に焦茶の斑点がある黒バイ貝の方は高級品として料亭などで食される場合が多い種類です。所がこのバイ貝は中々食わせ物で、一番美味い所が殻の一番奥の肝。
奥の肝は、あん肝よりも濃厚で鳥のレバーより繊細で上品な味に独特の優しい苦味が少しありとても美味しいのですが、
この部分は料亭でもまずたべられません。
白バイの殻は柔らかくて歯で壊せますが、黒バイの殻はとても硬くて壊せず、無理をして壊すと一番うまい奥にある肝が潰れてしまい食べられません。だから、ゆがいた黒バイを爪楊枝に刺して螺旋状の身を回しながら少し出し、引っ込めまた出しての繰り返しで少しづつ引き出していくしか方法がありません。よほど慣れた人でも途中で切れずに全部引き出せる確率は10個中6、7個位。初めての人はほぼ全員途中で切れてしまいます。私は子供の頃から食べていたので、上級者だと思いますが、それでも7、8個位しか取り出せません。
今日は一個だけ出されていましたが、なんとかあの旨さを食べたいと奥まで出そうと思ったのですが、事前に取りやすくするために一度引き出してあり、奥は切れていました。残念。
それでもなん度もチャレンジしましたが出てきません。
奥の肝は、あん肝よりも濃厚で鳥のレバーより繊細で上品な味なので食べたかったのですが、奥の手を使っても取り出せません
残念。
お酒
仙禽オーガニックナチュール スパークリング
原料米 : 栃木県産有機農法 亀ノ尾
精米歩合 : 90%以上
仕様 : 超古代製法、酵母無添加、蔵付き酵母、木桶仕込み、生酛酒母、無ろ過生原酒、瓶内二次発酵、スパークリング
アルコール分 : 14%(原酒)
泡はほぼ飛んでいますが、少し甘めの濁り。
次は鰻の椀
その次は麦藁手の椀物
最後に唐黍ご飯
蓋を開けると香りがフワーッと鼻腔をくすぐり
とても美味しそうにできていました。
これは旨いぞ! と思いましたが、
お腹いっぱいで、ほんの一口だけお茶碗に入れていただきました。
とても唐黍の甘み旨味が美味しくて、本当に美味しくて口はお代わりしたいのに、胃が満杯で 諦めました。
デザートをいただいて
ご馳走様
今回は蓴菜と鮎を楽しませて頂きました。
いいお店です、次回は何が食べられるかな 行くのが楽しみです。
次に
一番食べたいのは
夏鯖の刺身だね
しかし こればかりは故郷の鳥取で食べるしかない そして故郷でもいつでも食べられる訳ではない。
朝獲れの近海物で生の良すぎるものに限るので、だから、いつ入荷するかわからない超貴重品
夏になると食べたくなるんです。
こうやって季節ごとに食べたいものを口が教えてくれる
いい口だ、大切にしなくては。














