寿司幸さんは半世紀以上恵那で続いてきたお寿司屋さん。
こちらへ行くといつも感心するのは、1m以上ある大きな生け花で、それが2箇所もあり、小さなものまで入れると7箇所ぐらいあります。
1箇所は大きなお部屋の中で、他のお客様たちがいらしたので、チョイ覗きでしたが、今回もほぼ全てを拝見させていただきましたが、
今回は階段の上の踊り場の飾りが特に良かったですね。
階段の下から上がっていき、これをみると一瞬高級料亭へでも入った様な感じもします。
生花と言ってもお花は生き物ですから枯れたりしますから細心の注意を払って活け続けなければなりません。また、これだけの規模ですと花材の手配が特に大変。いくら生花が好きといってもなかなかやれるものではありませんが、いつも頑張って飾っておられ、感心します。
本来こういう演出も料理の値段に入るものですが、寿司幸さんは料理のお値段に入れておられません。
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最高の料理とは
身土不二
地産地消
山にあるものは山で
海にあるものは海で食べる
その土地で作られる食材で作った料理をその土地でたべる、
そして自然食品・自然栽培、次いで無農薬有機栽培。
今まで、世界7カ国へ何度も行き、日本各地でもその土地を代表する店で美味しい料理をいただいてきましたが、どこに行っても美味しい料理はその土地の良さを知り、その土地の食材の長所短所を把握し尽くした料理人が作られたものでした。
食とはあらゆる芸術を包含した総合芸術。
味覚.嗅覚.視覚.触覚.聴覚 五感の全てを使って表現する芸術は食だけしかありません。
更にその魅力は、出来た瞬間から食べられて無へとつながり、余韻だけ残すという「時間」までも包含した至高の刹那的芸術です。
料理は沢山の楽章をもつ交響曲
駐車場前のアプローチから演奏会場(店内)へ、 そこは様々な雰囲気、調度品があり、夫々の楽曲それぞれの楽器(食材・器)とのハーモニー。 更に料理人と演奏会場に来られたお客様まで すべてが自然に調和してこそ 初めて完成するものです。
例えばラーメン屋にはラーメン屋の良さがあり、どんな料理屋にもそれぞれの機微があり、美味しさへ導く様々な要素が溢れています。
おにぎりは野山で食べるととても美味しいのに、豪華なフレンチレストランでおにぎりを食べてみても全く美味しくない。どんな料理でも環境・調度・器全てが調和してこそおいしさは膨らみます。
これは私が普段から飲食店や、食について思い、書いていることなのですが、
今回もいつものように、辛口で斜に構えた目で観ながら料理について書いてみたいと思います。
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今回は特別な会で、寿司幸さんのお店で出されているものではなく、特別コース料理「体よろこぶ発酵コース」というのを頂いてきました。
結論から申しますと普段のメニューにない特別料理を全七品で「発酵」に留意しながら作られて、食材選びも大変だと思いますのに、美味しい料理のコースを4840円(税込)というとても安い値段で提供されていました。
とても値段を抑えたお値打ちな料理でしたが、もう少しアレンジして、調度品、展示スペース、器をらしくされたら、約1.4倍の7000円位でもおかしくない良い料理でした。
さて、今回の特別なコースはどんなお料理が食べられるか楽しみです。
「体よろこぶ発酵コース」全七品
●四種の先付
●刺身
●焼き物
●蒸し物
●肉料理
●ご飯
●デザート
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それでは一品ずつ
これ以降は写真と連動した方がわかりやすいと思いますので、よろしければ 私のブログへどうぞ。
●四種の先付
・とろ湯葉 (塩麹ジュレ)、
・チーズ豆腐とゆべし
(中山道のおくりもの”より、たっぷりナッツのゆべしを使用)
・ホタルイカの酢味噌和え・プチトマトのワイン
・とろ湯葉 (塩麹ジュレ)
けっこう美味しい。
欲を言えば湯葉と塩麹が色も味もよく似た感じで、同化した感触。
例えば、和芥子を塩麹に混ぜてかけてあれば、白い湯葉に黄金色の添え色が付き、味も締まるのじゃないかな。 又は、塩麹+抹茶だと湯葉の上に春の緑が乗って良いかな。
・チーズ豆腐とゆべし
柚餅子はこちらのお母さんの作品。
中のナッツ類などがとても細かく刻んであり、味も濃すぎず、優しい舌触りの良い柚餅子でした。
・ホタルイカの酢味噌和え・プチトマトのワイン煮
器は仕切りの入ったカジュアルな白いプレート。とても使い勝手は良いと思うのですが、イメージがファミレスっぽいかな。値段を抑えた料理には良いかもしれませんが、陶器のちょっと良いお皿だったらもっと美味しく高級に見えたでしょうね。
特に最初の一皿は、これから出るコース料理のイメージをふくらますようなお皿なら更に良かったでしょうね。
●刺身
・鮮魚盛り合わせ
お寿司屋さんの料理だから刺身も用意されたと思いますが、
身土不二の観点からも、恵那は山国、遠くから来られるお客様にはどうかな?山国に来てまで遠くの海の生魚を食べたいだろうか
こういう特別メニューには必要ないと思います。
地元の鯉の洗いや鮎、天魚などなら良いと思いますが、なかなか良いものを手配するのが大変。
今まで鯉の洗いが名物だというものを日本各地で食べてきましたが、泥臭さと生臭みが無いと言われてもやはり多少あり、完全に取れた素晴らしいものは日本一予約の取れないという京都花背の美山荘や、滋賀県一と言われる比良山荘など、特別のお店で経験していますが、水の素晴らしさもそうですが、生まれた時からきちんと育てるのが大変すぎますね。天魚もこれは美味しいというものになかなか出会えませんし、海の魚の方が美味しいものがあると思いますし
それより、熟鮓や、麹漬や粕漬け、それらに少し漬けておいて炙ったものや、千枚漬けに巻いたものなど何か発酵に関係するものが良いでしょう。
魚ではなく野菜だけで何か考えても面白いとお思います。
器 ターコイズブルーで海を想定されたのかな? ちょっと驚き。
●焼き物
・鰆の塩麹焼き
(恵那市みかさぎ麹屋様にて丁寧につくられた塩麹を使用)
これは鰆にしては素晴らしく美味しかった。
僕は普段は鰆は食べません。割烹や寿司屋で刺身等を食べるとき、魚は何がありますかと聞いて、鰆だったら別のものをお願いしています。鰆はたんぱく過ぎるので、旨味のあるものが好きな私が食べると鰆が可哀想だからです。しかし、鰆はとても淡白であっさりとした味なので、西京焼きや、てり焼き、ムニエルなど、何か味をつけて食べるのに最適な魚で、フレンチでよく使われる舌平目の様な魚です。
鰆はこの様に加工向きの魚で、料亭などで よく西京焼きなどで出されますが、それでも中々美味しい料理にお目にかかれません。
所が、今回の鰆は見事でした。
鰆は魚編に春で春の魚ですが、春先に多く獲れることから「春が旬の魚」を意味していますが、美味しいのは脂の乗ってくる11月12月の冬に入ってからです。
この様に時期では無いのですが、こちらでいただいた鰆は、
鰆にしては旨みもあり、今まで数々食べた西京焼きの中では一番美味しかった。
鰆の質も良く、塩麹のレベルも良くて、絶妙の漬け時間、この組み合わせがうまく行ったのでしょうね。これは一流どころの日本料理店にも負けませんね。 お見事!
このレベルを安定して年中出されるのなら、すごい店すね。
器は料理と同系色にまとめてあり収まりは良いですね。
●蒸し物
・新じゃがいも饅頭 米麹あんかけ
上に緑が少しありますが、青寄せとお抹茶少々を使って餡を緑にされたらどうでしょう、白いじゃがいも饅頭の周りが緑で、春らしくなるとおもいます。
(青寄せとは日本料理の色染めで、木の芽味噌や流し物に緑色を付ける時に作ります。作り方は、ほうれん草や大根の葉などの葉だけを当り鉢で塩少々と共によくあたり、水を加えすいのう(超細かな篩)に通して青汁を取り、この汁を鍋で加熱して、浮き上がってくる青い色素を布巾にとり、布巾を丸め水で冷やしたあと水気を絞れば天然の色素ができます。私も懐石を作る時に時々作っています。)
●肉料理
・(恵那の三浦豚を使用した) 豚の甘酒味噌角煮
肉の感じが丁度良い柔らかさに煮てあり、美味しくいただきました。煮が足りないとこの柔らかさが出ず、煮過ぎると繊維同士が離れて食感が悪くなるのですが、上手で味も良く美味。
●ご飯
・握り寿司 (塩麹づけマグロ、イカの塩麹レモン、
茗荷の漬物など4貫)、赤だし
少しでも多くと4貫にされたのだと思いますが、ここは和の基本である奇数の 3貫で良いと思います。
まだ旬には早いけど茗荷があるのは嬉しいですね。
特にどこの寿司屋も魚ばかりで草もの野菜ものが中々ないので困るのですが、こちらでは付いてて良かった。
それと、旬の始まる梅雨時分に茗荷を食べると いつも ああ日本人だなっと思います。
塩麹づけマグロは、結構美味しい。
これが、あと1mm位厚くしてもうちょっと漬ける時間を増やせば更に美味しいでしょうね。また、それをちょっと炙ればメイラード反応で旨みも広がるでしょうね。そうすると赤身より中トロあたりの方がと思いますが、それではコストがかかってしまいますから欲張りすぎかな
。
めはり寿司の様に野菜の漬物で巻いても良いね。
握り寿司のスタイルで出されたので、そうするとネタの厚さや大きさが気になります。
ネタが少し薄いので、逆にもう少し薄くして手毬ずしにしても良さそう。
またシャリを丸いおにぎり状扁平の丸型一個にしてその上にこれらのネタを放射状に並べ麹付け野菜の細切りや微塵切り、トロロでも載せたものはいかがでしょう。
カジュアルな器で美味しいお寿司が。これが長方形のかっこいいまな板皿でだされたら、これだけで2000円くらいにみえたのにもったいないですね。
●デザート
・手作りチーズケーキ、
甘麹と (恵那市阿部農園様にて収穫された) 苺のソース
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ごちそうさま
どれもいいお料理でした
発酵コースですから、最初に一口 料理へのお誘いとして、軽い発酵飲み物を出された方がコースが活きると思います。
例えば、スパークリング麹ドリンクや、スパークリング日本酒、
甘麹を漉し炭酸で割ったものにレモン一滴落としただけでも、清涼感があり、炭酸は食欲を増進させる効果もあります。
甘麹を漉して豆乳と合わせたものも簡単で良いでしょう
料理のどこかに熟鮓(なれずし)が少しでもあると一気に発酵食品のイメージが拡大しますね。
(熟鮓の鮒鮨やクサヤ等は本当はすごく美味しいものなのですが、土産物等で売られているものに酷い臭いや酷い味のものが多く、これらを初めて食べた人が臭い臭いと敬遠し、それが口コミで広がり更、残念ですね。)
美味しい料理がたくさんありましたが、これらの器も料理とのコーディネートをちょっと変えたら一気に高級料理に見えますね。
少し前こちらとは逆の経験をしました。
ある地方で、日本料理屋さんの食べ比べをしようと、数軒行き、ある日、その地方で一番と言われる日本料理屋さんへ行きました。ここは随分前はとてもよかったので時々食べに行っていたのですが、数年前に来たときは少し落ちていて、料理人が変わったのかと思いましたら、ご主人が以前のまま作られていました。人の作るものですから、味も変化するので、今回はどうかなっとお邪魔すました。
メニューは5000円7000円10000円というお任せがあり、いくら田舎とはいえ、有名日本料理屋にしてはちょっと値段が安いと思いましたが、久しぶりなので真ん中の7000円のものをお願いしました。今回も器のレベルや盛り方などはきちんと上品で流石この地方一番の日本料理屋さんです。
所がどうした事でしょう、食べてみると、また以前より味が落ちて、格好だけは良いけどこの味は 味が濃く辛くなっていてまるで居酒屋の様。 いいとこ5000円位だねと思いました。
今回も、ご主人が料理を作っておられましたが、どうしたのでしょう、それほどの年でも無いのにせっかくの名声が……… 悲しいですね。
こういう経験をしたものですから、寿司幸さんの様に料理が良くてワンランク上の評価ができたことはとても嬉しいです。
今回の料理は特別品なので、まだ食べられませんが、おそらく、数ヶ月以内には何らかの動きがあり食べられる様になると思います。
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ここからはどのお店にも共通することですが
よく売れているファッション店では、毎日2回以上、自分が初めて来た客だと思い、店の外に行き店と周りを観て、そこから客動にあわせて店内に入り全てを客目線で見ながら歩いてまわりチェックしています。これが客商売の基本。
そして料理も同じで、いつも自分が初めて来た客だと思って、テーブルセッティングから、接客、盛り付けまですべてチェックし客と同じ盛り付けで同じ量を食べてみる。
これも欠かせません。ここまでしないと客の心理はわかりません。
また、レストラン等に食べにいって感じることですが、濃すぎたりくどかったり、濃い味の料理が続いたり、似た食感の料理が続いたりします。
原因は、料理人は小指のさきほど味見していますが、客はその何倍も食べるから味の濃さも感触も違います。ちょっと食べただけと一人前食べたのでは味わいが大きく変わります。多くの料理人がこれを気にせずに客に出すから、おかしくなるのですね。
常に客になったつもりで全てを考え、料理を作り考えましょう。
とても大変な仕事ですが、やり切ったところが より 繁栄していく厳しい世界です。
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(注)身土不二
「人と土(環境)は一体で、人のいのちと健康は食べもので支えられ、食べものは土(環境)が育てている」という考え方
暑い国で育った野菜や果物は、そこで暮らす人にとって暑さをしのぎ体調を整えるために必要でも、寒い地方の人にとっては体を冷やし、逆に体調を崩しかねません。
人は何百年も同じ場所で生活し、何代もその環境の食物で生きてきました。地元のものをたべることは何よりも健康な体を育むのです。















