今日、久しぶりに電車の中で読書をした。ふたつの案件で3日続いた撮影がやっと昨日終わったのだ。ここ1ヶ月以上、電車内ではひたすら自分以外のセリフを録音した自分の声を聞いていた。
1日目のドラマのほうは1ヶ月以上前から台本をいただいてはいたが、自分的には大変な役だったのでどうしても終わるまではそちらのほうに比重を置いてしまう。たくさん自主練したので何が起ころうともといった感じで対応はできたと思う。僕を抑える役の方がものすごく力一杯芝居する人でジャケットの袖に何度も顔を押し付けてはきたが、それもなんとか対応できた。その方がメイクをしていなかったのが救いだった。僕の袖がファンデーションだらけになっていたら、より色々と大変だったのだろう。
翌日からの別案件の2日間はもっと大変だった。セリフの量が100倍以上あったのだ。救いだったのは、長台詞の大半が2日目だったことと、初日の出番が午後イチまでの香盤だったことだ。帰宅するや否や、5時間以上必死に稽古した。普段はお酒を飲んでいる時間になってもライスを掻き込んだ。ひとりでこんなに喋り倒したのは初めてだろう。もしかしたら隣の家や通行人に、同じ言葉を繰り返す意味不明な声が聞こえていたかもしれない。就寝時には、奪い去られた潤いを補うため、いつ買ったのか定かではないリップクリームを厚めに塗った。
何度もNGを出してしまったことは本当に申し訳なく思う。僕のようなおじさん俳優は段取りであろうとテストであろうと一回たりともNGを出してはいけないと思っているので、もっと努力を続けなければならない。
と、思いつつも今日は久しぶりにプレッシャーから解放されたので、わりとだらだらしてしまっている。明日は出演するほうではないのだけど、また気を引き締めてかからねば。