就職する高校生の約4割が3年以内に離職しているという調査結果があります。
 大学生ではその割合が約3割と多少減少はしてはいるものの、不満を抱えて仕事を続けたり、何かしらの諦めや妥協をしながら仕事をしている人が全体の半数以上を占めている可能性が高いと思います。
 これが社会の当たり前だ、社会は厳しいところだというのは簡単ですが、この問題について、今一度しっかりと考えておく必要があると思います。 

 実際に離職した元生徒に話を聞いてみると、ほとんどの場合、人間関係が理由でした。
 では、喧嘩をしたり、意見の相違があったりしたのかと聞くと、「喧嘩もしていないし、仲が悪いわけではないけど何か嫌になってしまった」と、これもまたほとんどの場合そう答えます。
 さらに詳しく聞くと、「悪い噂を流された」「自分はそんなキャラじゃないのに」といったことを話します。

 このことから、離職の本質的な理由は自分自身のキャラクターに不満があることだと推測できます。
 この「キャラクター不満」の状態を少し説明したいと思います。
 仮に、高校ではみんなから頼られるようなキャラクターだとします。勉強やスポーツなどはそこまで得意ではないのですが、堂々とした態度と曲がったことが嫌いな性格で周囲から信頼されているという女子がいたとします。
 
 その子のキャラクターは一言でいうと「頼りになる姉御肌」です。
 
 しかし、高校で何度も面接練習を行い、一般化された「いい人」を演じて就職してしまったため、就職先では「そこまで優秀ではないけど、真面目でハキハキした可愛い子」として職場デビューをしてしまいます。
 就職前は明るい表情で結果を報告していたその子は、就職後、このギャップに苦しみ、数カ月後には離職。現在は別の仕事を転々としています。

 いかがでしょうか。実際、こういった境遇に立たされる生徒は多く感じます。

 今の職場におけるキャラクターに満足していればいいのですが、高校に通っていた頃のキャラクターとはどうにも交じり合わない職種に就いたと報告を受けたとき「精神的に追い込まれていないだろうか」と心配になってしまいます。
  
 岡田斗司夫氏は著書「いい人戦略」で、キャラクター・コンテンツ・コミュニティを3要素として挙げ、まずは「いい人」というキャラクターを作るべきだと述べています。
 これはコンテンツを一から伸ばすのは難しく、コンテンツがないとコミュニティを築くことが困難であることを理由としています。

 たしかに、「いい人」であるキャラクターを演じることで、コンテンツやコミュニティを伸ばすことができますし、同時に「特別何かできるわけじゃないけど、あいつに頼んでみよう」から始まることも理解できます。
 しかし、全員がいい人戦略を選択できるとは思えません。それなりの立場やある程度のコミュニティが出来上がってしまっている場合、戦略の変更にそれなりのコストが発生してしまいます。
 
 子どもであればなおさらで、それまでのことをすべて知っている同級生や同年代が周囲にいたり、学校・家庭の世間体を気にしたりすることで、いい人というキャラクターに移行したくても、精神的なコストを支払うことをできず、キャラクター不満に陥るというのが実情です。
 岡田氏本人も「全員」を対象にしていないとは述べているものの、学校としては指導に取り入れにくいのもまた事実です。

 自分が納得のいくキャラクターをつくり、外に向けて発信し、それが評価されるまでには、キャラクター作成から周囲の評価までの過程を何度か(何度も)繰り返す必要があります。

 「納得できる家を建てるには三軒立てないとわからない」とはよくいったもので、納得のいくキャラクターを作るためには、繰り返しキャラクター設定を行う必要があるように感じます。
 それは同時に、学校はそういった活動に協力するべきだということにもつながるのではないでしょうか。