」を読む。
「日暮し同心始末帖」シリーズの一作目。
主人公、日暮龍平の性格と共に、気負いのない文章で、
流れを妨げられることなく、読んでいける。
旗本の三男坊だが、同心の家から婿の話が来ると、
「それもいいかもしれない」と婿入りし、
掛かりを持たない、雑用係の平同心を八年も務め、
相変わらず平同心の身。
雑用を黙々とこなす龍平には、周りから、「その日暮らし」と
揶揄される。
だからと言って、誰かさんみたいに、「昼あんどん」ではない。
周りの雑音をものともせず、
与えられた仕事を誠実に、着実にこなす。
そんな春風駘蕩の雰囲気が、とても心地よい。
弱っちいわけではない。
同心の家に婿入りする前は、師範代を務められるといわれるまでの腕前。
だからか、
事件の始末は、日暮の正義に従い、日暮流の始末をつける。
日暮の探索を支える、宮三や、その倅の寛一、
妻の麻奈、舅姑の達弘と鈴与など、登場人物、誰もがあたたかい。
安心して読めるシリーズである。