読む。
「日暮し同心」シリーズの六作目。
平同心のまま十年目を迎えた龍平だが、
この主人公を見ていると、もうひとり、
同じような性格の同心が思い浮かぶ。
それは、藤原緋沙子さんの「橋廻り同心」の主人公、平七郎で、
こちらは、かつて「黒鷹」と呼ばれた凄腕の
定町廻りだったが、閑職と蔑まれる橋廻りに異動させられている。
だが、どちらも、飄々としており、与えられた仕事をコツコツこなす。
人の蔑みなど、歯牙にもかけない。
そして二人とも、剣術の腕が半端ない。
それはそれとして。
今回の「縁切り坂」は、
なかなか読み応えがあった。
男や女、そして人の業。
親や兄弟から疎まれ、人に嫌われ、
そんな自分をもてあます男、そして、男なしではいられない女。
そうした二人が出会ってしまった故の悲劇か。
ところで、龍平が魅力に溢れているのはもちろんなのだが、
個人的に推すのは、宮三親分。
渋いが、あたたかい。
器が大きく、実に頼りになる人物で、活躍する場面が
もう少し欲しいんだけど。