高瀬乃一さんの「貸本屋おせん」を読む。

 

 

 

女だてらに、貸本屋という職業をまっとうしていく

主人公、おせんの物語。

 

ともかく、図書館でも、本屋でも、古本屋でも、

本にまつわるミステリーや物語には、どうしても、

手を伸ばしたくなる。

 

時代小説も同じことなのだが、

本にまつわる話は、これまで、そうそう、お目にかからなかった。

 

で、本というものを介した江戸市井の人情噺かと思ったのだが、

感情にどっぷりつかるというより、

話は、淡々と、というより、ベタベタしていない。

 

彫り師だった父親はご禁制本に関わり、お上に乗りこまれ、

板を削られる。

そうして、仕事を奪われてから、

生きる気力を失い、自殺してしまう。

 

そんなハードな過去をもちながら、

全体から、じめじめした感じは流れてこない。

 

だからこそ、本に対する彼女の想いが、

こちらに、すっと入ってくるのかもしれない。

 

このアッサリ感、クセになりそうだ。