「隠居おてだま」を読む。
「隠居すごろく」の続編。
今回も、新たな商売を芽吹かせるお話が登場するが、
前回ほど、商いに関わる徳兵衛の活躍が見られない。
というのも、徳兵衛が、蚊帳の外に置かれてしまうのだ。
商いの芽として徳兵衛が目を付けた
帯留細工を作ったのが、娘お楽の恋の相手、錺職の秋治なのだが、
お楽の妊娠が分かり、頑固な徳兵衛の怒りを想定した嶋屋一家は、
徳兵衛の耳に入らぬよう、隠し続ける。
だが、結局、お楽と秋治の関係も徳兵衛にばれ…。
すったもんだの挙句…、
徳兵衛も、自分の意固地さは、分かっているのだが、
どうしようもない。
終に、嶋屋との縁切りを宣言してしまう。
何十年も、人の情に触れることを拒み、
厳しい商売一筋に人生の殆どを捧げてきた彼には、
人の情に寄り添う、その方法や、表現の仕方が分からない、
いや、わかってはいても、自ら行えないのだ。
さて、徳兵衛や、嶋屋の人々、出発したばかりの
組紐商売はどうなる。