国は従来の「紙の保険証」をマイナ保険証に切り替えようとしている。
国は制度を目先のことで変えますが、それが困るのです。受け皿を作ってからでないとまた難民が出てしまいます。
たとえば、紹介状を持たずに大学病院に行った場合、断られるか非常に高い金額を上乗せされることになる。線維筋痛症は大学病院に行ったらわかるという病気でもないですが、患者は初めてのことですから、何もわからず苦しんでいるわけです。
家庭医が普及してもいないし、一般医が全員線維筋痛症を知っているわけでもない。新しい疾患はいくらでも増えてくる。難病も沢山ある。
家庭医のネットワークを構築することからはじめないとだめなんじゃないのか。
それをいきなり、金額を高くして大学病院を受診させないようにしたら、治療に結びつかないか、諦める。だから医療難民になるのじゃないのか。
家庭医がいて、日頃から診てくれていて、何かあれば専門医に紹介してくれるシステムはいいと思う。しかし土台から作らないと、行き先を失う患者さんたちが出たらだめだと思う。
物事を直すにはまず土台から。基礎を作って受け入れ態勢を作って、それから制度を変更して患者さんが難民にならないようにする。
しかし現状では医師の数は減り、感染症や他の疾患も増えている。医師を増やすことも知識を普及することも、簡単にはいかず難しい。
専門分野だけではちょっとしたことでも関連付けて考えられなくなる。専門外は診られないということにもなる。もちろん専門分野だけでも激しくガイドラインが変わり治療薬が変わり保険点数や制度が変わる。
診療報酬の請求(医療機関が患者負担の3割を除くの残りの7割を保険機構に請求すること)もオンライン化と突然決められたりするので、医師は大変なのだ。
すべてを学んでついていくのは多忙な医師にとっては大変難しい。ガバナンスとかクレーム対応とかSNSの誹謗中傷とか、もろもろ用事も増えてきた。
私は医師数をもっと増やすべきだと思う。
厚労省は今後人口が減るので医師が余ると計算しているようだが、現状はとても不足している。
また忙しすぎて新しい勉強をする時間が本当にない。新しい病気は増えるし、過去の病気も復活して流行し始める。限られた時間では勉強が追いついていかない。
そして当然のことだが医師にもプライベートな時間や休日が必要だ。
過労死レベルで勤務している医師が今でも大変多い。
医師が少なくて患者は行き場を失うのだ。そして忙しさのあまり、診断基準を見て「この病気でしょう」と診断し、ガイドラインを見て、製薬会社の資料を見て「この薬を処方します」ということになる。
患者はそれぞれ症状も困りごとも違うが、それらを聞き取っている時間も余裕もない。結局それは患者の不利益になる。
患者を守る医療制度であってほしい。同時に医師も守られる制度でなければならない。
(代表:橋本 裕子)
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