7月30日に東京慈恵会医科大学・痛み脳科学センター主催の、第1回痛覚変調性疼痛研究会が開かれ、感染症対策をしながら会場に参加してきました。
onlineでも多くの医療関係者が参加されたそうで(発表によると現地参加、online合わせて753名)、痛みへの関心の高さがわかりました。
関心が高いということはそれだけ患者さんが多いということ。痛みは分かっているようでわからない。本当に不思議なものなのです。
記事を2回に分け、研究会に参加して橋本が考えたことを書いて行きたいと思います。
人類始まって以来(もちろん人類以外も)痛みはあったのに、定義することもなかなか困難でした。
痛み、特に慢性痛は何度か定義が変わりましたが、「痛覚変調性疼痛」と再定義されたことで、より柔軟な研究・治療が進むことを期待したいです。
分類名が変わったことは、以前もお知らせしました。
(過去記事:線維筋痛症はどこに向かうのか──痛覚変調性疼痛)
今回の研究会の一部を少しわかりやすい言葉で紹介したいと思いますが、何しろ難しい言葉だらけです。
国際的に使用される病名の分類にICD-11というのがあります。日本ももちろん採用していて、翻訳して診断名として使用されます。これに書かれている診断名は他国でも共通しているということです。数年に一度見直され、現在は第11版ということになります。
[「診断名」として定義された一次性慢性痛はどんなものが含まれるか]
代表的なものとしては、線維筋痛症、慢性片頭痛、複合性局所疼痛症候群(CRPS)1型、“非特異的”慢性腰痛、過敏性腸症候群、膀胱痛症候群などがあげられます。
機能的内臓性疼痛障害も一次性慢性痛に含まれます。
[一次性慢性痛と痛覚変調性疼痛の関係はどうなのか]
一次性慢性痛が全て痛覚変調性疼痛とはなりませんが、密接な関係にあるとされています。
痛覚変調性疼痛とは、「侵害受容の変化によって生じる痛みであり、末梢の侵害受容器の活性化をひきおこす組織損傷またはそのおそれがある明白な証拠、あるいは、痛みをひきおこす体性感覚系の疾患や傷害の証拠がないにもかかわらず生じる痛み」、ということですがわかりにくいですね。
つまり、怪我をしたら痛いです。胃に糜爛(びらん)が生じたら痛いです。これらは組織の損傷です。組織損傷がない、神経の病気でもないのに痛みがあるのはなぜなのか、ということから痛覚変調性疼痛という考えが必要になったのです。
線維筋痛症の患者さんなら既にお分かりかと思います。
痛む部分が痛いのではありません。有名なCM「そこに痛みはあるんか」です。
では痛みはどこにあるのか。脳でしょうか。
もちろん脳はとても関係します。麻酔で脳が眠っていれば痛みは感じませんから。
では脳が原因と言えるのでしょうか。
組織損傷もなく、神経疾患でもないのに痛みがある。医学にとってこれ程不思議なことはないでしょう。説明できないことは無いことにしたいとも思ってしまいがちです。
しかし線維筋痛症や慢性痛痛の患者さんは長年戦ってきました。
痛みがあることはうそではない、と。
画像にも検査にも出なくても、確かに痛みはあるのだと。
変調性疼痛の概念ができたことで、今後より一層正体の分からない痛みについて解明されていくのでしょうか。
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