わかりにくい線維筋痛症にどう取り組むか (1) | きんつう相談室 〜線維筋痛症、慢性疼痛、疲労に悩む方へ〜

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<シリーズ “わかりにくい線維筋痛症にどう取り組むか”>

 

 


 

装飾の画像。左側に赤いチューリップの花の束。

 

 

線維筋痛症はわかりにくい病気だとよく言われます。確かに、まだまだ一般社会や医療の世界においても認知や治療法が十分に浸透しているとはいえない状況です。
今回のシリーズでは、そんな線維筋痛症という病気のこれまでの経緯や現在わかっていることを改めて整理し、その特徴や原因、治療について、患者さんを悩ませているもの、社会制度や医療の課題、といったことがらについてまとめてみました。

 

(代表:橋本 裕子)


 

◇ ◇ ◇

 

【経緯】

 

有病率は日本で1.7%~2%、韓国では3%、欧米で2%、戦時下イスラエルでは70%とされています。注目されたきっかけは湾岸戦争の米国帰還兵にPTSD(心的外傷後ストレス障害)と線維筋痛症が多発した事で、米国は対策に迫られました。

米国は大きな予算をつけて鍼灸師(中国鍼といわれるもの)を配置しました。

フローレンス・ナイチンゲール(誕生日の5月12日が「看護の日」「国際線維筋痛症の日」とされています)、大杉君枝(アナウンサー)、レディー・ガガ(歌手)、モーガン・フリーマン(俳優)、八木亜希子(アナウンサー)、フリーダ・カーロ(画家)などの人々が線維筋痛症の患者であることがわかっています。


以下に、改めまして、私が線維筋痛症患者として啓蒙活動を始めるまでの出来事や経緯をご紹介いたします。

4歳頃から症状があり、小学校では体育に参加できませんでした。時々は病院にも行きましたが何も解決しません。

一方でやりたいこともたくさんあって、熱中して無理を重ねて悪化し長期入院を繰り返しました。学生時代は、自分でアドレナリンを脳内で生産できると考え、痛みが強ければそれだけアドレナリンも出ると思っていたのです。なぜそう思うかというと、ランナーズ・ハイ(マラソンなどではアドレナリンが出て気分爽快になる)という現象がわかっていたからです。

20代も後半になると、体力的に押し切ることが難しくなります。

そんな折、アメリカのネットワークに投稿するといろんな国からメッセージが返ってきました。日本ではまだ聞いたことのない言葉が、ネットワークの中では沢山語られていました。アメリカには支援団体もありました。アメリカだけでなく母国語以外に英語を使用する人たちからもたくさんメッセージが来ました。

世界中に患者がいるのなら日本にもいるはずだ。このような病気が私一人であるはずがないと思っていたのは間違いなかった。

誰にも理解されていない患者のために何か発信しなければと思い、ボランティアさんの協力を得てホームページを作成し、メディア200社に働きかけ、患者のための通信を郵送することを始めました。そうして作った小さい団体が、のちに大きくなっていきました。

 

 

【課題】


当時感じていた課題としては、合理的配慮があれば短期間で職場復帰や病状改善が望めるケースが多いのに残念だ、ということです。

また制度は「重症になってから来て」という対応の仕方です。制度が患者を追い詰めていると感じられます。また助けを求めにくい国と国民性があると感じています。その結果重症化しますし、重症であると強調せざるをえない悪循環があります。

軽症のうちなら治せると考え、医療や制度につながりやすくすることが必要だと思いました。


こうして活動することで見えて来たのは、厚労省の壁(希少疾患でないものに対して手薄なこと、生活習慣病の見方も一面的で肥満・高血圧に偏っている)、医療の地域格差(医学教育の課題もある)、患者支援の体制がない(さらに患者家族・支援者への支持や経済的に支援する制度がない)、固定した障害にしか対応できない、患者の特性に合った医療や制度という発想がない、ことなどです。

国民の間では、未病(まだ病気といえるわけではないが不調になっている状態で放置すれば病気になる)に対する考え方が少なく、健康を自分で管理する取り組みも少ない。病気になったら病院に行き、薬で何とかなるという考えも強い。

また痛みは我慢すべきこと、黙って頑張るべき、弱音を吐くのはいけないこと、病気になったことで迷惑をかけるという発想は他国より強い傾向があるのではないかと思います。

 

他国に比して日本では男性の発症率が約2倍高いこと、これは何を意味するのかを考えるべきです。線維筋痛症は女性が多いといわれていますが、日本の男性は2倍なのです。しかも重症例が多い。

これは男性も生きにくい社会だということではないでしょうか。女性はそもそも大変なのに男性も実は大変なのです。韓国が日本より少々有病率が高いのは、競争社会でなかなか厳しい環境だということに関係があるのではないかと考えられています。

戦争で爆弾が飛び交う下では眠ることすらできず、線維筋痛症が多くみられることからもみても、厳しい状況や強いストレスの中で生活することとこの疾患は関係あるのではないかと思われます。

 

また、一例として看護師の有病率がかなり高いのです。長野県のある病院で調査したところ、看護師の約3割が線維筋痛症と診断できる基準を満たしていました。私の経験でも看護師の方は多いですし、重症化していたり回復が遅いということがあります。特に夜勤をされている方にはその傾向が感じられました。

 

このような環境ストレスや生活時間などと疾患の関係は研究しなければわかりません。加えて線維筋痛症はまじめで几帳面でストレスを受けやすい人がなりやすいともいわれます。また特に強い環境ストレス(家庭内や職場)を受けたことなども発症につながるといわれていますから、もっと研究が必要だと思います。

関連が研究されれば、その逆を行えば治療につながるということです。薬だけでなく、環境からも原因をなくしていかなければなりません。

 

(続く)

 

 

 

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私たちは共に歩みます。

 

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<シリーズ “わかりにくい線維筋痛症にどう取り組むか”>

 

 


 

装飾の画像。左側に赤いチューリップの花の束。

 

 

線維筋痛症はわかりにくい病気だとよく言われます。確かに、まだまだ一般社会や医療の世界においても認知や治療法が十分に浸透しているとはいえない状況です。
今回のシリーズでは、そんな線維筋痛症という病気のこれまでの経緯や現在わかっていることを改めて整理し、その特徴や原因、治療について、患者さんを悩ませているもの、社会制度や医療の課題、といったことがらについてまとめてみました。

 

(代表:橋本 裕子)


 

◇ ◇ ◇

 

【経緯】

 

有病率は日本で1.7%~2%、韓国では3%、欧米で2%、戦時下イスラエルでは70%とされています。注目されたきっかけは湾岸戦争の米国帰還兵にPTSD(心的外傷後ストレス障害)と線維筋痛症が多発した事で、米国は対策に迫られました。

米国は大きな予算をつけて鍼灸師(中国鍼といわれるもの)を配置しました。

フローレンス・ナイチンゲール(誕生日の5月12日が「看護の日」「国際線維筋痛症の日」とされています)、大杉君枝(アナウンサー)、レディー・ガガ(歌手)、モーガン・フリーマン(俳優)、八木亜希子(アナウンサー)、フリーダ・カーロ(画家)などの人々が線維筋痛症の患者であることがわかっています。


以下に、改めまして、私が線維筋痛症患者として啓蒙活動を始めるまでの出来事や経緯をご紹介いたします。

4歳頃から症状があり、小学校では体育に参加できませんでした。時々は病院にも行きましたが何も解決しません。

一方でやりたいこともたくさんあって、熱中して無理を重ねて悪化し長期入院を繰り返しました。学生時代は、自分でアドレナリンを脳内で生産できると考え、痛みが強ければそれだけアドレナリンも出ると思っていたのです。なぜそう思うかというと、ランナーズ・ハイ(マラソンなどではアドレナリンが出て気分爽快になる)という現象がわかっていたからです。

20代も後半になると、体力的に押し切ることが難しくなります。

そんな折、アメリカのネットワークに投稿するといろんな国からメッセージが返ってきました。日本ではまだ聞いたことのない言葉が、ネットワークの中では沢山語られていました。アメリカには支援団体もありました。アメリカだけでなく母国語以外に英語を使用する人たちからもたくさんメッセージが来ました。

世界中に患者がいるのなら日本にもいるはずだ。このような病気が私一人であるはずがないと思っていたのは間違いなかった。

誰にも理解されていない患者のために何か発信しなければと思い、ボランティアさんの協力を得てホームページを作成し、メディア200社に働きかけ、患者のための通信を郵送することを始めました。そうして作った小さい団体が、のちに大きくなっていきました。

 

 

【課題】


当時感じていた課題としては、合理的配慮があれば短期間で職場復帰や病状改善が望めるケースが多いのに残念だ、ということです。

また制度は「重症になってから来て」という対応の仕方です。制度が患者を追い詰めていると感じられます。また助けを求めにくい国と国民性があると感じています。その結果重症化しますし、重症であると強調せざるをえない悪循環があります。

軽症のうちなら治せると考え、医療や制度につながりやすくすることが必要だと思いました。


こうして活動することで見えて来たのは、厚労省の壁(希少疾患でないものに対して手薄なこと、生活習慣病の見方も一面的で肥満・高血圧に偏っている)、医療の地域格差(医学教育の課題もある)、患者支援の体制がない(さらに患者家族・支援者への支持や経済的に支援する制度がない)、固定した障害にしか対応できない、患者の特性に合った医療や制度という発想がない、ことなどです。

国民の間では、未病(まだ病気といえるわけではないが不調になっている状態で放置すれば病気になる)に対する考え方が少なく、健康を自分で管理する取り組みも少ない。病気になったら病院に行き、薬で何とかなるという考えも強い。

また痛みは我慢すべきこと、黙って頑張るべき、弱音を吐くのはいけないこと、病気になったことで迷惑をかけるという発想は他国より強い傾向があるのではないかと思います。

 

他国に比して日本では男性の発症率が約2倍高いこと、これは何を意味するのかを考えるべきです。線維筋痛症は女性が多いといわれていますが、日本の男性は2倍なのです。しかも重症例が多い。

これは男性も生きにくい社会だということではないでしょうか。女性はそもそも大変なのに男性も実は大変なのです。韓国が日本より少々有病率が高いのは、競争社会でなかなか厳しい環境だということに関係があるのではないかと考えられています。

戦争で爆弾が飛び交う下では眠ることすらできず、線維筋痛症が多くみられることからもみても、厳しい状況や強いストレスの中で生活することとこの疾患は関係あるのではないかと思われます。

 

また、一例として看護師の有病率がかなり高いのです。長野県のある病院で調査したところ、看護師の約3割が線維筋痛症と診断できる基準を満たしていました。私の経験でも看護師の方は多いですし、重症化していたり回復が遅いということがあります。特に夜勤をされている方にはその傾向が感じられました。

 

このような環境ストレスや生活時間などと疾患の関係は研究しなければわかりません。加えて線維筋痛症はまじめで几帳面でストレスを受けやすい人がなりやすいともいわれます。また特に強い環境ストレス(家庭内や職場)を受けたことなども発症につながるといわれていますから、もっと研究が必要だと思います。

関連が研究されれば、その逆を行えば治療につながるということです。薬だけでなく、環境からも原因をなくしていかなければなりません。

 

(続く)

 

 

 

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