これまでメインバンクは企業にとって大きな役割を果たしてきた。

具体的には、長期的に取引関係を継続し、最大の融資シェアを持つ株主であり、人的な干渉を行いながら時には企業再編も主体的に行う存在であった。

メインバンクがそんな役割を担ってきた背景には、資金不足型の経済構造があった。メインバンクはその専門性による規模の経済・範囲の経済によって審査やモニタリングの費用を最小化できた。

そのため複数の資金提供者の代表として、メインバンクは企業経営に大きな影響力を持ってきた。

しかし、80年代からEquity Financeが盛んに用いられるようになり、「借り手市場」へと変化していった。

そのためメインバンクの影響力は次第に弱まることとなり、代わって台頭してきたのが「株式の持合い」だった。

しかし、その持合構造もコーポレートガバナンスの欠如が叫ばれ、90年代から持ち合いは解消され始めた。

世界的なカネ余り現象も相まって、最近ようやく出てきたのがM&Aだった。物言う株主が日本で認知されるようになったのは本当に最近のこと。

ブルドックは高裁でグリーンメーラーの認定を受けたけど、最高裁ではいかに・・・。

アメリカの住宅に関するサブプライムローン問題が金融市場を騒がせている。


プライム=通常の借入ができる人、サブプライム=低所得で信用力が低く、高い金利を払わないと借入ができない人、ということ。今問題になっているのはサブプライム層向けの住宅ローン貸出が焦げ付いているということだ。

アメリカでは好景気を牽引していた住宅ブームによって、地価が上がり調子だった。そのためサブプライムローンを貸し出しても、いずれは住宅の価値が上がってくるのでサブプライム層は通常住宅ローンへの借り換えが可能だった。

しかし、金融当局の金融引き締めによる利上げで地価上昇にブレーキがかかる形となった。結果として、サブプライム金利が上昇に転じ、払えない人が増えてローンが焦げ付いてきている。


そして今こんなに話題になっているのは、サブプライムローンを証券化した金融商品の価値が暴落しているからだ。

BS傘下のヘッジファンド2社がサブプライムローン関係の投資で大損して、BSがかなりの額を補填させたというのが話題になっている。

それにWSJによれば、日本でも野村HDが90億円の損失を計上したという。


土地バブル崩壊により大量に不良債権を抱えた銀行。

現在のサブプライムローン問題は、あの頃の日本と似た様相を呈している。



スティールのTOBに対して、ブルドックは買収防衛策を打ち出した。

その内容は、ライツプランに似ている。異なる点は、新株予約権がスティールにも付与されるという点。

その防衛策が行使されると、スティール以外の株主には新株が無償割り当てされるが、スティールには予約権の代わりに現金が支払われる。これによってスティールは23億円を得る代わりに、持ち株比率は約10%→3%まで低下する。

スティールはこの防衛策が不当だと主張しているが、東京地裁ではブルドックに軍配が上がった。


~というのが、これまでの経緯だ。ここで、一番の争点となっているのは、「投資家保護と株主権利のバランス」だと思う。

TOBとは、「この経営陣より、自分が経営した方が企業価値を上げることができます。そのほうが、株主の皆さんにとって魅力的でしょう。賛成してくれる人は、私に株を売って経営を任せてください。」というものだ。

ここで、スティールは投資家として企業を手に入れた後の経営ビジョンを何ら提示していない。

確かに、スティールは「経営はしない」と言っているし、「所有と経営の分離」をうたっているため、経営ビジョンを提示する義務はないかもしれない。

しかし以下の2点で、スティールの姿勢は受け入れられなかったのではないかと思う。

①株主からしてみれば、ビジョンもない投資家に企業を任せるわけにはいかないという思いの方が大きい。

②取締役を自由に更迭できたり、会社そのもののを他社へ売却できる「所有者」の立場を濫用する可能性がないとはいえない。


一方、ブルドックは株主総会の特別決議の承認が必要な定款変更を経て、この買収防衛策を打ち出した。

ということは株主は、ブルドックの経営方針を支持したわけであり、スティールに任せるより今の経営陣に任せたほうが企業価値は良い状態が保てると判断したことになる。

高裁はどう判決を下すのか。。。