スティールのTOBに対して、ブルドックは買収防衛策を打ち出した。

その内容は、ライツプランに似ている。異なる点は、新株予約権がスティールにも付与されるという点。

その防衛策が行使されると、スティール以外の株主には新株が無償割り当てされるが、スティールには予約権の代わりに現金が支払われる。これによってスティールは23億円を得る代わりに、持ち株比率は約10%→3%まで低下する。

スティールはこの防衛策が不当だと主張しているが、東京地裁ではブルドックに軍配が上がった。


~というのが、これまでの経緯だ。ここで、一番の争点となっているのは、「投資家保護と株主権利のバランス」だと思う。

TOBとは、「この経営陣より、自分が経営した方が企業価値を上げることができます。そのほうが、株主の皆さんにとって魅力的でしょう。賛成してくれる人は、私に株を売って経営を任せてください。」というものだ。

ここで、スティールは投資家として企業を手に入れた後の経営ビジョンを何ら提示していない。

確かに、スティールは「経営はしない」と言っているし、「所有と経営の分離」をうたっているため、経営ビジョンを提示する義務はないかもしれない。

しかし以下の2点で、スティールの姿勢は受け入れられなかったのではないかと思う。

①株主からしてみれば、ビジョンもない投資家に企業を任せるわけにはいかないという思いの方が大きい。

②取締役を自由に更迭できたり、会社そのもののを他社へ売却できる「所有者」の立場を濫用する可能性がないとはいえない。


一方、ブルドックは株主総会の特別決議の承認が必要な定款変更を経て、この買収防衛策を打ち出した。

ということは株主は、ブルドックの経営方針を支持したわけであり、スティールに任せるより今の経営陣に任せたほうが企業価値は良い状態が保てると判断したことになる。

高裁はどう判決を下すのか。。。