だめ人間のたのしい余生 -2ページ目

『オー!ファーザー』/『Cassandra's Dream』/『ハルシオンランチ』 …とか!!

【基本的にネタバレリーナ】(面白いと思ってる!! 面白いと思ってるが何か!?)



伊坂幸太郎『オー!ファーザー』読了。
待ちに待って待って待って待った『オー!ファーザー』。
2年ほど前に、地元紙の上毛新聞で連載されて一度読んでる。当然その頃は大学進学で一人暮らしだったので、母上と姉上に毎日スクラップしてもらって、帰省の折にぐわっとまとめ読んだ。その際には、溜まった新聞紙の束を目の前に落とされ「帰ってきたときくらい、自分で切り抜けよ」と言い捨てられ、「よくこんなこと続けられるなー」とひとごとのように思ったものである。
実際、新聞連載を読むのは初めてだったので、ここまで長いこと単行本化されないもんだから、新聞連載の場合はそんなにかかるものなのかーと嘆息していたら、あとがきを読むと伊坂さんがサボってただけだった。
 
これは僕の好きな伊坂幸太郎です。
デビューから着実にキャリアを重ねるなかで、過渡期にあたる時期の伊坂氏の作風、とも言えるもので、作者本人も「好きな言い方ではない」と前置きしながらも、この作品までを第一期とし『ゴールデンスランバー』以降を第二期と区切っている。
僕は、この言い方での第一期の作品が好き。第一期の中でも、『魔王』あたりなんかは第二期的な、本人の言うところの「試行錯誤」だったり「挑戦」的な部分はあると思うけど。何で、ここら辺…特に『ゴール伝スランバー』や『あるキング』が好きじゃないか、というと文面に焦りが見られるから。だから、今回の作品のあとがきで、『ゴールデンスランバー』以降がそういう実験的な試みのなかにあったことを知って、納得した部分はもちろんあるし、単純にうれしかった。それは『オー!ファーザー』を出版したことによって、伊坂幸太郎の次のステップが見え始めたからに他ならない。
話をほんのすこし戻すと、過渡期の伊坂作品の面白さは、マジックリアリズムの痛快さにあるんじゃないかと思っている。少なくとも、僕はそれが好きだった。「日常の中に、非日常(イレギュラー、という言い方のほうが正しいかもしれない)が入り込むこと」によって「日常の尊さ・痛快さ」を際立たせ、そこに初期の書評でよく使われた言葉を借りれば「瀟洒な会話と文章」が絶妙のリズムで相まって読みやすさと面白さを生んでいる、んじゃないか、と。文才がなくてごめんなさい、な文章だけど。
例をとれば、『重力ピエロ』はある兄弟の遺伝子に翻弄される日常に弟が起こす事件が入り込むし、『アヒルと鴨のコインロッカー』は一人暮らしを始めた大学1年生の4月に『書店を襲う』ことから始まる『他人の物語』が重なる、『陽気なギャング―』だって銀行強盗たちの銀行を襲う日常の中にいくつかの傍若無人なイレギュラー要素が絡み合う。もちろん、『オーデュボンの祈り』であったり『終末のフール』であったり、事件を前提とするような物語も初期にないわけではないのだけれど、だとしても『ゴールデンスランバー』のように主人公が意図的に事件に巻き込まれたり、『あるキング』のように運命に支配されるように一生を描かれる物語ってのは皆無に等しい(とか言いつつ、『グラスホッパー』とか『ラッシュライフ』はあまり印象に残ってないので、そこらへんがそういう側面を持ってたらごめん)。
 
つまり、僕はいま、『オー!ファーザー』がどれだけ好きか、とともに、伊坂幸太郎がどれだけ好きか、ということを延々と語っています。
今回は、端的に説明すると『4人の父親と母親と息子、6人で暮らす家族が、母の出張の間に知事選挙の裏に潜むさまざまな陰謀に巻き込まれる』物語です。今やっとストーリーの説明しましたよー。
もうなんか、前置きで語りつくした感があるんで、これ以上多くは語りません。なので、ちょろちょろーと。
途中、出てきた「田中」は『陽気なギャングは地球を回す』に出てくる田中? でも、田中は確か引きこもり(自営業と言うべき?)だし、横浜在住のはずだし、そもそも若者が嫌いなのであって由紀夫(主人公の高校生)とまともに話すはずがないし、違うか。
あと、今回も伊坂作品特有の「伏線に伏線を重ねて、最後にキレイに物語を畳む」手法は健在。と言うか、これこそ伊坂幸太郎作品を嫌う人々が真っ先に指摘する二大特徴のひとつで。もうひとつは「お洒落な台詞回しと言葉選び」。そして、この二つが、僕の好きな部分でもあるんだけど。
伏線、って言うのは、自分が脚本を書くときには意図的に無視する部分で、作り手としては嫌いなんだけど、読み手としちゃ気持ちいいので、気持ちいいのです。
基本的に『オー! ファーザー』は家族の物語です。読んでる途中に、ふと「父親であることに誇りを持っている」という言葉が頭の隅によぎって、そう思ってみればなるほど、聞きなれない響きだなあと思った。つまりは、そういう物語。
 
映画『ゴールデンスランバー』の感想やら『SOSの猿』感想で、さんざ言ってきたけど、本当に僕の好きな伊坂幸太郎が帰ってきました、という感じです。
ちょっと、今回の記事を書いて、あまりにも『モダンタイムス』のストーリーが思い出せないのと、あまりにも『砂漠』の西島に会いたくなったので、その2冊読もうと思う。
でも、中村航の新作も発売されてるらしいので(メルマガが事後報告だったよ!!)、そっちも読みたい。


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ウディ・アレン『Cassandra's Dream』観た。
邦題では『ウディ・アレンの夢と犯罪』。
英語が苦手なので、基本的に邦題がついていれば邦題で作品を呼ぶ僕も、この邦題はちょっと許容しがたいです。『それでも恋するバルセロナ』も酷かったけど、これは相当酷い。『タロットカード殺人事件』は、原題がシンプルすぎるきらいもあるので、まあ有りかなー、と個人的には。
そもそも、『マッチポイント(Match Point)』『タロットカード殺人事件(Scoop)』と並んでロンドン三部作と呼ばれてるのにも関わらず、この邦題のバラつき方は配給・宣伝会社が違うからなんだろうけど、そこは統一してほしかった。まあ、そもそも『Scoop』は作品のテイストもかなり違うけど。
そもそも、ウディ・アレンが出演してもいないのに『ウディ・アレンの○○』と名づけるのは納得いかなくて、とりあえず邦題つけた奴はその理由を教えてみろ、と。
 
作品自体は、どうにも凡庸。ウディ・アレン作品としては、凡庸すぎるくらい凡庸。
それでも、犯罪に手を染める、手に染めざるを得ない、あるいは犯罪に手を染めてしまった兄弟の葛藤と苦悩は克明に描かれてて、胸をうつものはある。
でも、ウディ・アレンに求めるのはその1個上で、人を食ったような演出とか人物描写とか、ファンとしてはそういう部分なんだ。あと、独特のリズム感で刻まれる会話の応酬。今回だって、それがまったくないわけでもないけど。
女性の描き方は相変わらず好きなんだけどな。女性の、立ち位置、というべきか。
それと印象的だったは、物語のラストで、兄弟が死んで、警察が二人の死の状況を説明した後でぽろっと「毎日起こる事件のひとつ(にすぎない)さ」と言う、その一言。これは、メタ的な意味を持つような気がして最後の最後で印象に残った、というより、ちょっと驚いた。そういう意味では、ウディ・アレンらしい側面なのかな、ここは。
あと、面白い演出をあげれば、弟のテリーが、ギャンブルをしていて、負けている描写のあと次のカットで翌日にシーンが移ってみれば「勝った」と言って恋人にプレゼントをしている、と思えば、勝ってる描写をしたあと次のカットでは「負けた」「闇金に金を借りて、利子が増えるかもしれない」と泣きそうな顔をしている。ここが、上手く言えないけど面白いなー、と。見せないことで、印象を強めてるんだよな。
 
もともと、予告編を観る限りでも、ウディ・アレンが監督じゃなかったら観ないようなものだったけど、まあ予告編どおりの作品だったな、という感じ。
僕の予想は当たるんですよ。もう、だから『ソラニン』(映画版)も駄作ですよ、きっと。でもって、『ソラニン』(映画版)はそこそこヒットするんですよ。7億円くらい行くんですよ、きっと。へっ…。原作大好きなのになあ。アジカン主題歌、って時点でもう違うもんなー。でも、周囲には「観に行かない」と宣言しつつ、なんだかんだ観に行ってしまう気がする、原作好きなんだから!!(変なツンデレ)
 
 
ウディ・アレンの次回作は『Whatever Works』。
まったく情報を仕入れてないので、どんな作品かもわからないけど、楽しみ。
できれば、またニューヨークで撮って欲しいなあ。やっぱり、今作はロンドンっぽい感じがした。まあ、前もってロンドンで撮った、って知ってたからかもしれんが、な。
 
【追記】
これだけ好き勝手言ったあとだけど、結局ウッディの映画は英語がわからない限り翻訳のセンスにも左右されてしまうよね、ってことは言っておきたい。
あと、邦題に納得いかない理由として、『cassandra』が本来ギリシア神話における悲劇の予言者であって云々…という情報も持っていることを伝えておきたい(知識、と言えないまでも)。
最後に……どれがユアン・マクレガーなの?名前は聞いたことあるけど…程度の人間、僕は。アメリカの映画人なんて、ウッディ・アレンとダイアン・キートン以外興味ないぜ!的な。いや、チャップリンもアルトマンもジム・ジャームッシュもコーエン兄弟も興味あるけど(一人くらいアメリカ人じゃない人いそうだけどな!! チャップリンはそうか…)。

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沙村広明『ハルシオンランチ』が驚くほど面白い。買ってしまった。
でも、この面白さをどう表現していいかわからないので、ひたすら面白い面白いと言い続けます。
「メタフィクション」って、どうにも一般的に認知されてるかわからない辺りから厄介。
あと、ジャンプで言えば、『賢い犬リリエンタール』が打ち切られそうだし(そろそろ2巻発売)、『ONE PIECE』の面白さがとどまるところを知らない。来週の展開をちょろっと目にしてしまったんだが(以下、そういうの気にする人は注意!!)、逆にあんなにあっさり片付いたのが意外だった。シャンクス登場自体は予想してたけど(ルフィとの対面はなし…という部分まで)。
あとは、『岳』も面白かった。その直後で映画化を知ったけど、あの軽くて重い人間の気持ちをあの二人には出せないよなー、と、こういうことばっかり言ってると原作つき映画全般を批判する人間に思われそうだけど、そんなことはない。
あと、『バクマン』の高評価に懐疑的。あの漫画はつまらない。つまらない、と言うか、「お!来週から面白くなりそう!」ってところで、つまらない方に物語が転ぶのがもどかしい。
それから、『GIANT KILLING』のアニメが見られないです。姉に頼み込むしかないのか…。
 
 
そんな感じの、twitterやweblogに書ききれるような日常。
このblog書き終わる頃にはエイプリルフール。僕は、普段から嘘つきなので、この日は逆に(天邪鬼的なあれで)嘘はつかない。と

追悼!追悼!!追悼!!!

昨日、うすた先生のtwitterでいざなわれて、七尾旅人氏の出演するDOMMUNE LIVEをUstreamで観た。観た、というより、参加したって言っていい。
はー、すごい時代になった。
と言いつつ、まだちょっとUstreamの仕組みはわからないまま。
 
それから、久保ミツロウ氏やら綾小路翔氏が立て続けに薦めるツイートを見て、それとは関係ない場所でも何度か名前を聞くので、なんだか妙に気になって昨夜未明、神聖かまってちゃん聴いた。
悔しいが良かった。
いや、こりゃいいわ。
今日、久しぶりにCD買った。
『友達を殺してまで。』/神聖かまってちゃん
前に買った新品のCDがクロマニヨンズの『タリホー』なので(たぶん)、3年半ぶりくらい。
 
悔しいが、本当に良い。
こういう音楽は嫌いなんだ。どっちかって言うと。でも良い。
また不思議なのは、これ10代の頃聴いたら、聴けたもんじゃなかったな、と思うところ。多分、高校生の頃とかに聴いたら、身につまされすぎて発狂したと思う。と言うか、死んでたと思う。この曲聴いてたら。
今だから、落ち着いて興奮できる。
僕は、10代の割と最初の方に、THE BLUE HEARTSに出会って、あとから気づいたのはそれよりもうちょっと前にハイロウズの音楽に触れてたってことなんだけど、どっちが先かってのはどうでもよくて、まあでも、そんな出会いがあって、そのおかげで今も生きてるんだと思ってる。で、その後、忌野清志郎の音楽があって、前を向けて。
で、間違いなく、神聖かまってちゃんは対極にあるかな、と思う。その同じ頃にこれを聴いてたら、命を絶ってた、いや…ごめんなさい、実際命を絶ってたなんてことはないんだろうけど、でもそんな風になってもおかしくないかな、って。で、この人たちのパフォーマンス自体、人を殺そうとするような狂気もあって。
たぶん、ブルーハーツって僕にとって「自分のことをわかってくれる」という存在だったんだと思っているんだけど、逆にこのバンドは「自分は、この気持ちがわかってしまう」って感じがする。それが悲しくて、恐い。というか、『ロックンロールは鳴り止まないっ』って曲の中にあるような「わからなかったものが、わかるようになる」っていうのは、「わかっていたものが、わからなくなる」のとは別次元での、悲しさがあるんだけど、このバンドの楽曲に対して抱いてるのはそういう感じだろうな、と。
いや、だから、このバンドがほぼ同世代で、10代の頃にデビューしてなくてありがとう、って。
 
その他、このバンドの活動(行動?)だとか逸話だとか、インターネットのあれこれとか、そういった諸々には興味ない。2ちゃんねるとかニコニコ動画が好きじゃないのもあるし(と言うか、見てないので……youtubeは見るくせに)。と言うか、本当に昨日のことなので、このバンドが好きなのかどうかもわからなくて、この人たちの作った音源が好きなだけかもしれないけど。
あと、ミニアルバムは、めちゃくちゃ良いな!って思う曲もあれば、うんこみたいな全然良くない曲もある。個人の感想。…でも、まあ、2~30歳代の若いバンドで言えば、ここ何年かでBEST、だと思う。個人の感想。

 
ただ、このバンドは短命だと思う。
どういう原因でかはわからないけど(その要素がありすぎて…)、短命に終わると思う。
 
 
 
 
とりあえず、聴け。
1個目以外、たぶんデモ音源のPV。CDよりは、こっちの方が本来の音なのかも。
 

http://www.youtube.com/watch?v=NXT9rz8BErk
ロックンロールが鳴り止まないっ
音源的には↓の方が好きだが、こっちは映像の冒頭が好きなので、載せた。


http://www.youtube.com/watch?v=U5M9v0nrl0c
ロックンロールが鳴り止まないっ(オリジナル?版)
 

http://www.youtube.com/watch?v=lIFiHlu5KBA
ゆーれい みマン


http://www.youtube.com/watch?v=31zyPyrAkNQ
23才の夏休み
 

http://www.youtube.com/watch?v=ANvDXWicuTA
ぺんてる
 

http://www.youtube.com/watch?v=4kyBZc3kfJ8
いくつになったら(アルバム未収録)
 
あと、『ちりとり』を載せたかったけど、これだけPVが無かった(そもそもPVは本人がuploadしてるので)。
とりあえず、聴け。それで、全然わからなくてもいいよ。そっちの世界の方がちゃんと生きていける。
でも、僕はちょっと、わかってしまった。悔しいけど。それだけの話で。
そもそも、僕自身、音楽に関してはフォロワー的な立場だから、よくわかんないんだ。上手い下手も、なんとなくでしか判断できないから、それが正しいか自信ないし(と言う話も、取り上げてるのが神聖かまってちゃんだから言うんだろうなー…と自覚しつつ)。
 
あと、最後に1個に文句。
ミキシはモバイル版もアドレスリンク対応にならんのか!? 全然難しい話じゃないと思うんだが、何でわざわざ専用ブラウザで変換?! 動画つぶれるから、いちいちアドレスも併記しなければいけない。
まあ、そんなに読んでる人もいないんだけど…しかもわざわざURLコピーしてまで動画見るような酔狂はおそらく一人もいない。
まあいいや!

ハルヒみた

観た!
うわあああ! 涼宮ハルヒを大画面で、しかも見ず知らずの大勢の他人と一緒に観るとか、最初10分くらいは本当に気恥ずかしくて、にやにやして発狂しそうになった。
というわけで、『涼宮ハルヒの消失』観た。ワーナーマイカルがサービスデーで1000円だったので。劇場は朝9時の回で6~7割。意外に年配の人(しかも夫婦?!)が結構いた。ちょっと驚いた。
つい2~3日前までは観ようかDVD待とうかふんふん悩んでたんだけど、そこにtwitterで乙一先生が「ハルヒ観にいこう」「なぜなら今からハルヒ観る」とか言うから俄然観たくなって、自転車で交通費浮かせて行った! そこらへんの珍道中は今日一日のtwitter(http://twitter.com/000onay000?max_id=9385746352)を参考にされたい。

 

しかし、こうしてblogにまで書いてしまってるのは、本当によかったからなんだ。
去年からこっち、結構アニメーション映画を映画館で観てる。
と言っても、記憶の限り三作品だけだけど。『サマーウォーズ』と『ONE PIECE STLONG WORLD』と、これ。
one pieceは、まあ週刊連載の方が最高潮を迎えてたからそれもあって興奮したままにblogで書いたんだけど、『サマーウォーズ』もblogに感想書きたかった。珍しく周辺が慌しい時期で、落ち着くころには観てから1ヶ月くらい経ってしまったもんだから断念したんだ。面白かったし、『ぼくらのウォーゲーム』との相似性、そこから見える細田作品の進化についても論じたかったし(どうせ書く機会が無いと思って、大げさに言っている)。
それにしても、くそう、ハルヒこんなに面白いとは。
前回のblogでも言ったけど、原作ノベルは総じて未読。漫画は既刊分はとりあえず網羅。テレビアニメは去年初めて見て、それぞれのエピソード1回以上は見てる。そんな感じの、にわかライトファンです。
今回の消失も、漫画でストーリーは知ってる。後日談も読んだ。
ただ、これは、原作とかテレビアニメシリーズ見てなくてもすげいいい。
 
 
と言うわけで、以下めちゃくちゃネタバレ。
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ストーリーについては、原作小説の時点でさんざ論じられてるだろうし、後からやってきて言うこともない。このエピソードが「長門の独壇場だなあ、もー」なんて言う話も、きっといまさらする話でもないんだろう。
元ネタは何だ、みたいな話もどうでもいい。辿ってしまえば、カフカの『変身』にまで遡れてしまう気がするわけだけど(改変の状況において/大枠は全然違うけど)。
あ、でも、ひとつだけ、キョン・国木田・朝倉で話していて国木田に「キョン、おかしいよ」なんて言われるシーンはドラえもんの『パラレル西遊記』を思い出した。小学校の劇で西遊記の筋が「牛魔王に孫悟空が倒される」ことになっていて、家ではトカゲラーメンが出てくる、あの感じの恐さ(あれは子供ながらに恐怖した。いまになっても、ドラえもん映画でベスト3に挙げたい作品)。
基本的には、テレビシリーズ見てなくても、楽しめる。プロローグ部分でSOS団がどういう関係性にあるのかわかるし。「1万××××回の8月」とか「あの七夕」「文化祭」なんかのテレビシリーズを見ればすぐわかるような言葉も、他の映画だったら裏設定程度に扱われるワードであって、今作においては気にするものでもない。
ただひとつ、朝倉の存在だけは、どうにも意味わからんじゃないか、と思った。この点においてのみ、制作側はやっぱりアニメ視聴者を前提に作ったのかな、と考えてしまう。と言うわけで、『涼宮ハルヒの憂鬱』だけは映画の前でも後でもよいと思うので見ておくべきかな、と。
 
で、なんで、テレビシリーズ見てなくても楽しめる、と言えるかと言うと、とにかく演出が凄いんだ。
残念ながら僕はあまりアニメーションに造詣が深い方ではないんだが、それでも僕が知る限りでもこんなにも「演出をしている」アニメはそうそうないんじゃないだろうか。ただの「映像化」じゃないんだ、少なくとも。
しかも、ちゃんと「映画」になっている。カットの割り方もテレビとは全然違うし、描き方なども同じく付加される意味性を感じさせた。それが顕著に感じられるのが、キョンが登校する場面であったり、教室に入っていく場面、部室に向かって廊下を歩いていく場面。こういう日常風景が、テレビシリーズと比較してもじっくり描かれてる。ここらへんは、しかも冒頭だったので、のっけから「お、違うな」と思わされた。
好きな演出は、予告編載せたときも行ったけど、朝倉の登場シーン。人間的な動きを排除して、朝倉以外の人間はストップモーション、しかも顔は見せない(それ以外にも僕じゃわかんないような技術を使ってるかもしれない)……そういうのがあのカットの気持ち悪さと朝倉という存在への畏怖をとてつもなく引き出してる。
あとは、やっぱりキョンの決断のシーン。内容知ってるし、そこだって漫画読んだときはなんとも思わなかったのに、今日はちょっともう泣いてしまった。あれは、すごい。『―消失』の予告編嫌いだけど、あのシークエンスの映像をほとんど使ってないのは賞賛に値する。ちょっとだけ使ってたけど。
とにかく、この映画の映像演出はめちゃくちゃいいです。ここにまだ書ききれないくらい、「お、ここいいな」って思えるシーンがたくさんあった。キョンが目を覚ますシーンや部室に入るカットなんて、(小津張りの……とまで言っちゃうのはあれだけど)対比の技法をしっかりと使っていたりして、この演出もまた活きてる。改変前と改変後の部室に入る場面は、同じアングルなのに(時間設定という意味を越えて)ライティングを変えたりして。こういうのはテレビだとどうにも時間が短くて活かせないもので、映画だからこそ取り入れたんだろう。対比の技法なんてのは、別にそんなに物珍しいものじゃなくて、でもここまで本格的に取り入れてくるのなんてあだち充くらいじゃないか(漫画だけど)。
とにかく、話まったく知らなくて、「え? どういうこと?」って思うような部分が多々あったとしても、あの演出力をもってして、十分楽しめる。全体的に、芸も細かいし。(追記→)あとから思い出したんだが、ファミリーマートの入店の音が面白かった。微妙にずらしてて。あれ、なんでずらしてるんだろう? ファミリーマート自体は協力に入ってるのに。
 
まあ、谷口がうっとうしいとか、ときどきキャラクターの顔がけいおんとか、一瞬だけあきらかに作画が崩れた気がするとか、あと谷口がうっとうしいとか、細かいことはあるけど、谷口以外はたいした問題じゃないんだろうな。あ、でも、妹ちゃんを百何人で観るのはなんか…微妙な気分だった。
メインテーマソングにはちょっとびっくり。長門の声優の人が歌ってるらしいんだが、別に長門の声で歌う、ってわけではないんだね…。
 
 
いや…もう、再来年当たりのアカデミー賞長編アニメーション部門受賞してるんじゃないですか?(さすがに無理だろうが)。
でも、キネマ旬報とかならベストテンにラインナップされててもおかしくない。去年はサマーウォーズ入ったし。
かなり、本当に、DVD欲しいくらいのレベル。というか、もう1回劇場で観たい。
 
緊急脱出プログラム(http://www.lantis.jp/js/ligbox/jsprint.html)
 

 
 
あと、昨日は『ユキとニナ』観た。
多くは語らない。よかったと思う。
と言うか、立場的に、観たことはちゃんと言っときたいが、感想書きづらい…。
でも、本当に良かったです。寂しさが、ありました。
こどもたちの話、って寂しくなる。
「少しずつ忘れていく」ことがわかるから。でも、こどもって「絶対忘れない」ってことを大事にするから。
でも、先生には申し訳ないが、こりゃヒットしない、と思ってしまった。
だって、みんなアバター観にいくんでしょ? そんななかで、この映画もヒットしたら、日本人よくわかんなくなっちゃうよ。
 
小説は万城目学『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』、絲山秋子『袋小路の男』読了。
『かのこちゃんと―』は活写力に管巻いた。特に、マドレーヌ夫人(アカトラの猫)がおばさんの精神に入ってしまう、という話があるんだけど、これが面白い。そのての話は結構読んだり観たりするし、というか、つい最近も『鉄腕バーディー』とか読んだけど、「なかにはいってしまう人」の気持ちが…と言うか、焦りや不自由さがこれほど感じられることはなかった。全体的にはちょっと残念で、もっと話が広がるのを期待してしまっていた。でも面白い。
『袋小路の男』、表題作とその対の作『小田切孝の言い分』も面白いけど、まったくべつの『アーリオ オーリオ』が良かった。
……『哲は、目がくらむような錯覚にとらわれた。「リアルタイム」や「ほんとのこと」がいいと思っていた美由が、新しい世界を作りはじめたのだ。価値観をどんどん変えていく美由に、哲は羨望にも似た気持ちを覚えた。彼女のうちゅうは加速度的に膨張していて、光速より早く遠ざかる天体のように哲の宇宙の地平線の向こうへ行ってしまうようにも思われた(要約)』
表現そのものよりも、そのなかの意味がとても印象的だった。
 
 
ずっと探してた漫画が見つかった。
ずーっと前に本屋で、試し読みっていって、1話だけ読んだんだけど、なんとなく印象には残ってて、だけどタイトルも書いてる人も載ってる雑誌もわからなかった。
で、最近、なんかの表紙でたまたまその作品を見つけて、その作者を調べてみたら『ぼくらの』の作者だった。
で、探してた漫画ってのは『終わりと始まりのマイルス』。
しかし、漫画はまだ手元にない。できれば古本屋で手に入れたい…。
来月あたり『ちはやふる』出るはずなので楽しみすぎる。

金太郎

この零細blogも、有名人の名前をちょぼちょぼ出すせいか、平常時で毎日4~50人前後、更新直後では延べ150~200人くらいのアクセスがある。いま、ちょっと見たamebloのアクセス解析を参考にしただけなので数字の信憑性はわからないし、ユニークアクセスに限定すればもっと下がると思うんだが、ほとんど利用されないコメント欄からは想像しづらいものの、まあそれなりに通りかかる人もいるわけで。
それというのに!
それというのに、この文章の支離滅裂さは! まとまりがないのにも程があるというものだ。
それなりに本も読む。漫画も映画もアニメもテレビも見るが、活字にもそこそこ触れている。
しかも、脚本なんぞを書いてどこぞから金をせしめようという算段も立てている!
なら、もっと! せめてもう少し! その文章力を惜しげもなく披露すべきであろう!
しかし困った。
いんたーねっとで披露できるだけの文章力を僕は持ち合わせていない!
面白いことが書けない!
困った!
そうして、今回もまた支離滅裂に文章を書き、blogを更新します。
というか、blogは割とオナニーだと思ってるので、そんなに気にしてない。これがミクシとかのSNSになると、もう少し状況は別なんだろうけど。
 
 
『涼宮ハルヒの消失』観たいなぁ、と思ってる。
しかし、意外と上映館が少ないので、DVDか名画座での上映を待つかなー、という感じ。映画1000円の日があって、交通費かけずに行ければ観たいが。
ただ、あんまり僕は『消失』を楽しめない気がする。
テレビ版のアニメーションも去年初めて見て、『消失』のストーリーは漫画で把握してるものの、原作ノベルは総じて未読という程度のにわかファンなので。なので、熱狂的なファンほど純粋に映画も楽しめる気がしてなくて、すごく損な気分もある。
ただ、映画は予告編見る限り(予告編としてはあの予告編は最低も最低だと思うけどね!)、映像がめちゃくちゃ美麗だし、たとえば朝倉さんが登場するバックショットの演出とかも見ごたえを感じるので、ぜひとも劇場で観てみたいと思っている。
悩む。チネチッタで、1000円で観られれば行きたいなーと(チネチッタは自転車で行けるので)。いや、新宿とかでも自転車で行けないことはないが、冬なので、イヤ。
京アニだから、映画は映画なりの特色やらサプライズがあるんじゃないか、っていう期待もあるし(ちなみに、「にわかファン」だからなのか、エンドレスエイトも演出としては好意的に捉えてる)。
その予告編↓(公式)

http://www.youtube.com/watch?v=eHKyNQopYXo
 
予告↓(未来人) こっちのがクオリティは高い。映像はぜんぜん違うはずなのに。

http://www.youtube.com/watch?v=EczQrey-i84
 
あと、涼宮ハルヒで、秀逸なMAD動画2つ。

http://www.youtube.com/watch?v=n3GuLtMhyy8

http://www.youtube.com/watch?v=OxVSIbVsu08
しかし、この二つ見ただけじゃぜんぜんどんなストーリーかわからないな。僕も最初、アニメ見たときはついていけなかった(時系列順で見たのに)。
2個目の動画の人は、リズムの取り方が絶対素人だとは思うんだけど、でも上手い。というか、選曲がいい。たまたま知ってる曲だったけど、イメージ的に涼宮ハルヒっぽい。
 
ついでで、最近ヘビーローテーションした動画(うた)を何個か載せます。動画消されてしまったらごめん。もしミキシのモバイル版からの人がいたら、プロフィルページでアドレスコピーするなりして見たらいいと思う。
 
矢野顕子が、名字が同じなので敬遠してたら、実は素晴らしいシンガーでした。

http://www.youtube.com/watch?v=lSF8acaXgpE
この歌のすごいのは、もうくるりの『ばらの花』そのもので完璧なパフォーマンスが確立されてるのに、それを1回壊して矢野顕子の解釈で再構築してる。なのに、これまた完璧と言えるようなパフォーマンスを作り出してることだと思う。
決して、くるりの歌う『ばらの花』も貶めてないんだけど、これはこれでひとつの新しい世界が確立されていて、まったく別の歌のように輝いている。
くるりの『ばらの花』も。

http://www.youtube.com/watch?v=lgVdcRvcUOs
これはこれですごくいい。この曲たぶん、中学2年とかそのくらいに発表されて、当時は「あ、なにこの曲?」程度で聞き流してしまったけど、いま考えるとすごく後悔。
くるりのほうでは(特にこの動画だと)男性っぽい強がった表情が見え隠れして、矢野顕子のほうだと女性らしいような気持ちの揺れが表現されてておもしろい。
 
 
涼宮ハルヒの曲聴いたときの流れでいきついて、病み付きになった曲。

http://www.youtube.com/watch?v=xm2KuW36r7Q
これはすごいぞ。何がすごいかわからないが、先々週くらいに初めて聴いて2~3日はパソコン繋ぐたびにBGMにしてた。ごめん、うそついた、5日くらいは聴いてた。
サビは凡庸だけど、最初の歌いだしのパワーは、何がすごいかわからないがすごい。中毒性がある。
というか、映像もすごいいい。さすが京アニ。これと、さっきの涼宮ハルヒのMAD(2番目のほう)を比べると、これがいかにプロの仕事かってのがわかる。音のはずし方が絶妙(→なので、ぐいっと見てしまう)。あ、さっきの動画もすごいいいと思うけど。
アニメ自体は(ほとんど)見てない。最初漫画読んだけど、1巻だけ読んでつまらなくて断念して、アニメも動画で1話を試しに見てみたけど楽しめなかった。
でもこの歌はすごい!歌詞見たらデタラメなんだ。
一応わかりやすくと思ってオープニング映像載せたけど、FULLバージョンも見てほしい。
しかし、本当に、何がいいのかわかんないけど、いい。
 
カヨちゃん卒業ということで。

http://www.youtube.com/watch?v=r0hEkSGahgc
何年か前に、popjamってNHKでやってて、それの特別版(ROCK JAMと題してた)に出てて、この曲を歌ってて(たぶん!間違ってたらごめん。でも「シーラカンス」って単語はあったはず!)、衝撃を受けた。
このときの放送、ほかにzazen boysやチャットモンチーも出てたと記憶してるけど(すげー豪華!)、とにかくこのPOLYSICSとMO'SOME TONEBENDER(こっちはロッキンルーラを歌ってたはず)の2組は強く印象に残っててモーサムのほうはすぐにCD買っちゃった。
 
吉田拓郎。

http://www.youtube.com/watch?v=NKfJPPirPSI

http://www.youtube.com/watch?v=XnBoha90koM

http://www.youtube.com/watch?v=FTccnIefK4I

http://www.youtube.com/watch?v=UvkErglcks8

http://www.youtube.com/watch?v=k5XDtFNQzjU
 
 
糸山秋子(糸の字、違う。でも出せないのでそのまま)の小説を3冊くらい買った。
もっと小説読もう。
あと、ついに曽田正人の『昴』を集め始めた。…ってこれはこの前も言ったが(更新した直後気づいた)、それより、曽田正人が「そだまさと」じゃなくて「そだまさひと」だったことに驚き。ごめん
ギエムのDVDほしい。お金ーお金ー。
いや、お金とかの問題ではなくて、観たい映画も読みたい小説や漫画も聴きたい曲もたくさんあって、時間だって有り余るくらいあるはずなのに、うまいことやりくりできていない自分がダメすぎて呪いたくなる。
最近の僕は本当にもうだめです。
もともとダメなんだが、それに輪をかけてだめ。だめの2乗。
だめにも程がある感じです。
進行させなきゃいけない企画もいっぱいあるのに!
今日、靴下を破きました。
靴下の右足の方が、擦れて薄くなってきてて今にも穴が空きそうだったので、それならこっちから空けてやろうと破きました。ビリビリに破きました。さっきまで靴下と呼ばれていたものが、レッグウォーマーに成り下がりました。
だめです、本当にダメです。おれ不良だな、って思いました。不良行為少年です。
高校時代の僕を「10ダメ」とするなら、今の僕は「8.5メ」です。1年前はなんとか7ダメくらいでした。ちなみに、靴下を履いた石田純一が5~6ダメです。
なんかもう、金太郎、って感じです。
最近またちょっと太って金太郎っぽいです。
 
追記。
あと、1曲紹介したかったのを更新直後に思い出したので、載せる。

http://www.youtube.com/watch?v=hF3mZKt4NxY
この前改めて聴いたが、そしたらPVがすごいいい。
当時、めちゃくちゃ好きで、「槙原敬之こんなのも作れるの!?」とマッキーの歌がそんなに好きじゃなかった僕はとても驚いた。と思ったら、この曲のあとでマッキーは逮捕された。
確かに、当時としても妖しさはあってマッキーの曲の中では(僕が知る限り)異色作なのかもしれない。たとえ、この曲が覚せい剤の力を借りて作られたものだったとしても、曲の素晴らしさは変わらないし、この曲を作ったマッキーに対する評価も変わらない。むしろ、こんな曲をクスリの力も借りずに作ってしまう方が恐いかもしれない、と不謹慎にも思っている。
いまでも、マッキーのなかで最高の名曲だと思ってる。制作背景は関係なく、素晴らしい楽曲。

ジェット世代の放浪児


http://www.youtube.com/watch?v=h4v78mNAFXg
 
サリンジャーが死んだ。
あと、少し前にエリック・ロメールも死んだ。
去年は、清志郎とマイケルが死んだ。それから、眞木準と三木たかしも去年。
そりゃ毎年誰かしら死んで誰かしら生まれるのが摂理で、でもゼロ年代とテン年代の狭間にあって、これだけの先駆者たちがつぎつぎにいなくなってしまうのは、なにか意味を考えてしまう。それも、彼らはいずれもついこの前まで現役として走っていた人たち。
やっぱり、次に新しく生まれるものが待たれる時期なのかもしれない。
僕も、この前22歳か23歳(或いは24歳)になったので、ここはちょっと気合を入れて、新しい世代の波に乗らなければ!と思うっている。
ちょっとそろそろ本腰入れるべきだ。
そうして今日も僕は、こたつでぬくぬくころげているのだ。
 
 

http://www.youtube.com/watch?v=h4v78mNAFXg

映画『ゴールデンスランバー』観た。
監督は中村義洋。おそらく、いま、日本で、一番「おもしろくて」「お金になる」映画監督だと思う。
原作は伊坂幸太郎。今回は『中村×伊坂三部作』(勝手に名づけた)の3作目。
以下、ネタバレとか、他人の迷惑とか考えない若者なんでよろしくお願いします。
 
よかった。もう2010年の邦画ベストテンのひとつに数えていいかもしれない。
キャスティングが非常にいい。堺さんは青柳にぴったりだし、竹内結子と中村監督の相性のよさは今までの作品で言わずもがなで、僕は竹内結子と結婚したいし、香川照之が久しぶりにいい演技をしてた。というか、香川さんは本当に演技の仕方がむかつくんだけど、でもやっぱり上手いのは上手いし、単純にヒールがハマッてるんだと再認識した。それ以前に、今回の香川さんの演技はそんなにむかつかなかった(自首を薦めるシーンとか、いつもなら絶対イライラはずなんだけど)。
あと、中村作品の常連が集結してて、中村義洋ファンとしてはウハウハ。渋川清彦と濱田岳はおいしい役どころかっさらっててずるい。けど、単純に濱田岳の演技は秀逸と言える。これで、あと『ルート225』から多部未華子か岩田力が出てればなー、とちょっと憂う(『ルート225』以降のファンなので)。
数シーンしか出てないのに、安藤玉恵と伊東四朗の存在感は異常。あと、永島敏行さんが怖すぎて笑えた。相武さんとTKO木下くんはなんでキャスティングされたかもわからないけど、ポジション的に無理がなくていい。
すげー、関係ないけど、堺さんと吉岡秀隆の絡みは妙にホモっぽい気がした。
編集的に不自然なところがいくつかあったり(明らかに不自然な!…)、あとパンフレットに誤植があったりしたわけだけど、それ以外は中村義洋のいつもの過不足を感じない痒いとこに手が届くような絶妙の演出。でも、編集は本当におかしい。誰の目にも明らかにミステイクな部分が冒頭にあったり、あとこれはあえて強行に出たんだろうけど、口がまったく動いてないのにON状態の音声を乗せてたり。すこし気になった。
でも、まあ面白いんだよなあ。
ただ、ちょっと物足りない。正直、原作があまり好きじゃなくて、「もう+αが足りない」って感じがあるんだけど、映画でも同じように感じてしまった。中村義洋の監督作品って、いつもは、演出的に過不足はないのに、見終わった後ではしっかり+αを感じられるところがあるから好きなんだ。けど、今回はそれがあんまりなかった。映画の中で完結した感じがある。「ラストが好き」っていうか。今回の映画も、ラストで「あ、あれはこれで……そういうことか!」って驚いたりもしたし、ラストシーンの爽快感とかもあったんだけど、そこで終わってた感があった。『ルート225』とか『アヒルと鴨―』の、「まだ道の途中」って感じが好きなんだよね。『ジャージの二人』とか『チームバチスタ―』は忘れたけど。
そこが物足りない原因かも、と今は思ってる。
ただ、伊坂原作らしい、すべての伏線がつながっていくときの気持ちよさ、しかもそれが平然と描かれていくあたりが本当によかった。あそこらへんは、中村監督らしい上手さなんだと思う。
たいへんよくできました。
もう1回観にいきたい。でもONE PIECEももう一度映画館で観たい。しかし、きっとどっちもDVDを待つ。
 
『ゴールデンスランバー』は、原作より映画のほうが好き。うん、伊坂幸太郎原作の映画で駄作なのって、『陽気なギャング―』だけだよね…。『ラッシュライフ』観てないからあれだけど……、あと『死神の精度』は部分部分では悪くないので(筧昌也に対する期待も含めて)。
この先は『グラスホッパー』が企画されてるらしいけど…この作品もあんまり好きじゃないなあー。個人的には『砂漠』とかがキャラクターが生き生きしてて観てみたい。いや、それよりも『オー!ファーザー』を単行本化してほしい!
 
 
『渋谷』という映画を観た。映画館。
やっぱり佐津川愛美は演技が上手い。
大後寿々花、佐津川愛美、谷村美月、仲里依紗。このあたりが、若い世代で飛びぬけて演技が上手いと思う。あ、でも、北乃きいは、谷村とか志田とか同世代の明らかに天才型の女優と共演していくなかで、着実に上手くなってる気がする。あと、吉高由里子はただのキチガイ女優なので別格(園子温氏談)
映画は、悪くない、という感じ。
単純に、下手だった。技術的な意味で。
過剰な語りは、そもそも「主人公の二人が会話すること」に意味がある映画なので悪くないけど、話が具体性を失って一般論的な部分になるとつまらない。
あと、石田えりの役がよくわからなくて、あんまりいいこと言ってないんだよな。いいこと言ってるつもりなんだろうけど。ありきたりな説教で。それが嫌だった。
 
『ノン子36歳(家事手伝い)』観た。DVDで。
やっぱり映画館で観たかったな。ちゃんとしっかり観てないので、もう一度観るけど、でもよかった。
カットにちからがある。
熊切監督じたいはずーっと気になってるのに、観たい!って思うような作品がなかなかない。
 
『マンハッタン殺人ミステリー』DVDで。
好きだ。もう、これは好きだ。ダイアン・キートンがやっぱりいい。
アレン演じる夫だけじゃなくて、観ているこっちもキートンの推理に引っ張られていく感じがある。
「ワーグナーを聞いていると東欧侵略したくなる」がおもしろかった。
なんなんだろう、あれは。和訳されてもなお、あの言語センス。
それから、カメラワーク。調べてみると、『アニー・ホール』で撮影をしたゴードン・ウィリスかと思いきや、違う人なんだよね。ちょっとおどろいた。今度、しっかり見比べてみよう。どちらも撮影がいい。というか、アレン作品って、あそこまで人物もカメラも縦横無尽に動いていくなかで、フォーカス送りとかどうしてるんだろう、と気になる。
ウディ・アレンは端から端まで見直す時期だ。
 
 
そういえば、2009年末、『よつばと!』にハマッた。もう本当に、笑い死にしかけた。
自分の人生のなかでも、最高級に面白い漫画。
2009年は、そりゃやっぱり清志郎が死んだ年で、それだけで最悪の年だったけど、まあそれなりに生きた。いまだに、清志郎の在りし日の姿を見ると涙ぐむけどな。生きてるもんは、まあ生きることに精出さないと、と。
そんなことを思ってて、まあいつも通りぐーたらだけど、そんななかで『よつばと』で死にかけた。
あとは、基本的に2009年は曽田正人作品で幾度となく泣きそうになった。漫画ばっかりか、って感じだけど。『capeta』も『シャカリキ』も『昴』もぐっとくる。いま、『昴』を集め始めた。
 
2010年2月。今年のスローガンは「そこそこ充実した老後」。