1.5 (2) ひとりで飛んだファーストソロ
<ドキドキの土曜日>
ドキドキの土曜日がやってきました。朝8時、ATISによると、その日の天気はWind Calm, Visibility 10 SM, 2,400 FT FEW, Ceiling 3,000 OVC, Temperature 17, Dewpoint 13, Altimeter 29.93(風は静穏、視程10陸里、2,400FTにFEW(少しの雲)、シーリング3,000フィートにOVC(全天を覆う)でした。
シーリングについては、過去の記事「1.2 (8) 気象サービス(Weather Services) | 自家用操縦士訓練物語~超怖がりな私が空を飛んだ日(My PPL Training Days) (ameblo.jp)でお伝えしましたが、雲量の定義はMETARに準ずるので、シーリングになる雲より少ない雲量を含めた情報については、PHAK第13章「航空気象サービス(Aviation Weather Services)」を見るとわかります。
PHAK日英対訳ノートより
風はしばらくはこのまま静穏が続くでしょう。視程も10陸里あるので見通しは問題ありません。シーリングについても、海抜高度約1,000フィートの場周経路(Traffic Pattern)を飛ぶので問題ありません。
<教官と3周>
まずはいつものように教官と場周経路(Traffic Pattern)を3回飛びました。
1周目は、声から分析すると「ちゃんとやらなくちゃモード」で、緊張していますが恐怖心で心折れることはなさそうです。ファイナル・レグで、ピッチが上下して不安定でしたし、風に対する修正も遅れ気味でしたが何とか降りました。
2周目、風に対する修正ができて、いろいろなところに気が回っていました。最後のフレア操作で、センターラインに対するズレを修正することに気を取られて、一瞬、ピクンと雑な引き上げ操作をしてしまいました。でも、主輪(Main Gear)が接地した後、しばらく前輪(Nose Gear)を保ちながらゆっくりと接地させることができたので、これはグッド!
3周目、特に問題はなかったです。前日のフライトがものすごい横風の中で着陸していたので、今日は、風が大人しい分、楽に降りれているように感じました。
教官から、完全停止(Full Stop)して、学校のあるランプ・エリアまで戻るように言われました。ランプ・エリアに着くと、携行すべき書類があること、毎回、完全停止(Full Stop)して滑走路に戻ること、3周が目標だけど無理はしないこと、着陸が上手くいかなければ必ず着陸復行(Go Around)することなどを確認して、教官は飛行機を降りました。
教官は少し緊張した面持ちでした。教官にとって訓練生をソロに出すことは、どんなに客観的な評価に基づいて慎重に決定したとしても、本当に気苦労が多いことだと思います。とにかく、「無理はせず、安全に戻って来よう」と心に誓いました。
<いざ!>
エンジンを掛けたまま教官が飛行機を降りました。教官は携帯型の無線を持ってATCを聞きながら近くで見ているそうです。安全のために必要があれば、無線に割り込んでくれるそうです。
ではでは、一人で滑走路まで地上走行(Taxiing)し、いよいよファースト・ソロの始まりです。
ATISを聴取し直して、いつものようにDelivery(管制承認伝達席)、Ground(地上管制)と次々と交信し、滑走路までの地上走行の許可を得ました。但し、いつもの許可とちょっと違っていて、「誘導路Bの手前で一旦停止してください」と言われました。誘導路Bってあれだっけと確認していたら、時間が経って先行機が通過したらしく、「もういいよ」と言われ、いつも通りの地上走行(Taxiing)になってホッとしました。最初からドキドキさせないで~~と思いましたが、気を取り直して行きます。
<緊張してないと思いながらメッチャ緊張していた話>
滑走路の停止線の手前で止まり、周波数をTower(タワー管制)に合わせました。「全然ドキドキしないし、意外と冷静だなあ、私・・・」などと考えながら、タワー管制に交信して滑走路に入る許可をもらいます。
通常、ATCとの交信では、伝える項目の順番が決まっていて、「相手の管制名称、自分の機番、自分の場所、自分の意図、その他」の順番になります。今日は単独飛行なので、最後に「Student Pilot」と付け加えます。「自分の意図」のところは、場周経路を周回するファースト・ソロ(初めての単独飛行)ですから、「場周経路を回りたい(Left Closed Traffic)」と要求します。下図でいうと、④→⑤→②→③の順に1周するわけです。ちなみに、海へ出て「恐怖の」エアワークに行くときは、Crosswindの途中から斜めに出ていく⑥の経路ですが、これを「Left Standard Departure」と言います。これ、後で出てくるので、覚えておいてください。
PHAK日英対訳ノートより
そして、離陸の許可が出ました。いざ!離陸です。離陸は上々、上昇しながらUpwindを飛び700FTに達したところで左旋回、Crosswindに乗り、1,000FTで水平飛行に、もう一度左旋回してDownwindへ乗ります。そこでタワー管制から呼ばれました。
タワー管制:「貴方はLeft Standard Departureするって言ってたけど、今、Downwindにいますね。何がしたいか言ってください。」
私:「(・・・あれっ?Left Closed Trafficって言わなかったけ?)、Left Closed Trafficを要求します。」
タワー管制:「Left Closed Traffic許可します。」
何が起こったかというと、私があまりにも緊張して「Left Closed Traffic」と言ったつもりが「Left Standard Departure」と要求していたということです(笑)そんなに海に行ってエアワークしたいのか~~~?
<そして着陸>
今まで教官に言われた言葉が、その場所その場所で聞こえてくるようです:センターライン、Wing Level(左右の翼を水平に保つこと)、3度のPathを維持して、パワー足して、パワー引いて、ピッチ上げて、ピッチ下げて、速度見て、今高い、低い・・・などなど。
そして、着陸しました!その時、飛ぶ前からやるって決めていたこと「着陸したらヒューヒューって言うこと(おバカですみません)」を実行して、誘導路へ離脱しました。ちなみに録音を聴くと、「ヒューヒュー」の後に「ちょっと下手だけど、まっイッカ」と言っていました。
そして、2周目、1周目より声が透き通っていて明瞭です。きっと1回ソロで着陸して変な緊張が解けたのでしょう。こんどはちゃんと「Left Closed Traffic」と要求して離陸しました。
3周目になると他の飛行機も増えてきて管制官も忙しそうです。風も少し出てきました。でも、その他は落ち着いた声で管制と交信していました。途中、着陸の許可が出た所で、Read Backの声がちょっと焦っていましたが、これは着陸の準備に風に対する修正なども加わって忙しかった丁度その時にATCから許可を受けたからだと思います。まだまだだな・・・Aviate、Navigate、Communicateを忘れてた。
そして、無事着陸。学校があるランプ・エリアに戻ってきました。教官が出迎えてくれて、写真を撮ってくれました。意味もなく嬉しかったです。やはり、ファースト・ソロは一大イベントなんですね。
渡米後、いろいろありましたが、とにかくここまでは何とかやってきました。次はセカンド・ソロをします。ファースト・ソロとの違いは、教官と何周か飛んだ後、一旦、エンジンを止めて、エンジン始動から自分だけでやるという点です。
その後は、訓練内容にこれまでと違う要素も入ってきて、展開が目まぐるしく変化していく忙しい毎日となります。とにかく、今日はお疲れさまでした!よく頑張りました。(続く)





















