1.5 (2) ひとりで飛んだファーストソロ

<ドキドキの土曜日>

ドキドキの土曜日がやってきました。朝8時、ATISによると、その日の天気はWind Calm, Visibility 10 SM, 2,400 FT FEW, Ceiling 3,000 OVC, Temperature 17, Dewpoint 13, Altimeter 29.93(風は静穏、視程10陸里、2,400FTにFEW(少しの雲)、シーリング3,000フィートにOVC(全天を覆う)でした。

 

シーリングについては、過去の記事「1.2 (8) 気象サービス(Weather Services) | 自家用操縦士訓練物語~超怖がりな私が空を飛んだ日(My PPL Training Days) (ameblo.jp)でお伝えしましたが、雲量の定義はMETARに準ずるので、シーリングになる雲より少ない雲量を含めた情報については、PHAK第13章「航空気象サービス(Aviation Weather Services)」を見るとわかります。

PHAK日英対訳ノートより

 

 

風はしばらくはこのまま静穏が続くでしょう。視程も10陸里あるので見通しは問題ありません。シーリングについても、海抜高度約1,000フィートの場周経路(Traffic Pattern)を飛ぶので問題ありません。

 

<教官と3周>

まずはいつものように教官と場周経路(Traffic Pattern)を3回飛びました。

 

1周目は、声から分析すると「ちゃんとやらなくちゃモード」で、緊張していますが恐怖心で心折れることはなさそうです。ファイナル・レグで、ピッチが上下して不安定でしたし、風に対する修正も遅れ気味でしたが何とか降りました。

 

2周目、風に対する修正ができて、いろいろなところに気が回っていました。最後のフレア操作で、センターラインに対するズレを修正することに気を取られて、一瞬、ピクンと雑な引き上げ操作をしてしまいました。でも、主輪(Main Gear)が接地した後、しばらく前輪(Nose Gear)を保ちながらゆっくりと接地させることができたので、これはグッド!

 

3周目、特に問題はなかったです。前日のフライトがものすごい横風の中で着陸していたので、今日は、風が大人しい分、楽に降りれているように感じました。

 

教官から、完全停止(Full Stop)して、学校のあるランプ・エリアまで戻るように言われました。ランプ・エリアに着くと、携行すべき書類があること、毎回、完全停止(Full Stop)して滑走路に戻ること、3周が目標だけど無理はしないこと、着陸が上手くいかなければ必ず着陸復行(Go Around)することなどを確認して、教官は飛行機を降りました。

 

教官は少し緊張した面持ちでした。教官にとって訓練生をソロに出すことは、どんなに客観的な評価に基づいて慎重に決定したとしても、本当に気苦労が多いことだと思います。とにかく、「無理はせず、安全に戻って来よう」と心に誓いました。

 

<いざ!>

エンジンを掛けたまま教官が飛行機を降りました。教官は携帯型の無線を持ってATCを聞きながら近くで見ているそうです。安全のために必要があれば、無線に割り込んでくれるそうです。

 

ではでは、一人で滑走路まで地上走行(Taxiing)し、いよいよファースト・ソロの始まりです。

ATISを聴取し直して、いつものようにDelivery(管制承認伝達席)、Ground(地上管制)と次々と交信し、滑走路までの地上走行の許可を得ました。但し、いつもの許可とちょっと違っていて、「誘導路Bの手前で一旦停止してください」と言われました。誘導路Bってあれだっけと確認していたら、時間が経って先行機が通過したらしく、「もういいよ」と言われ、いつも通りの地上走行(Taxiing)になってホッとしました。最初からドキドキさせないで~~と思いましたが、気を取り直して行きます。

 

<緊張してないと思いながらメッチャ緊張していた話>

滑走路の停止線の手前で止まり、周波数をTower(タワー管制)に合わせました。「全然ドキドキしないし、意外と冷静だなあ、私・・・」などと考えながら、タワー管制に交信して滑走路に入る許可をもらいます。

 

通常、ATCとの交信では、伝える項目の順番が決まっていて、「相手の管制名称、自分の機番、自分の場所、自分の意図、その他」の順番になります。今日は単独飛行なので、最後に「Student Pilot」と付け加えます。「自分の意図」のところは、場周経路を周回するファースト・ソロ(初めての単独飛行)ですから、「場周経路を回りたい(Left Closed Traffic)」と要求します。下図でいうと、④→⑤→②→③の順に1周するわけです。ちなみに、海へ出て「恐怖の」エアワークに行くときは、Crosswindの途中から斜めに出ていく⑥の経路ですが、これを「Left Standard Departure」と言います。これ、後で出てくるので、覚えておいてください。

PHAK日英対訳ノートより

 

そして、離陸の許可が出ました。いざ!離陸です。離陸は上々、上昇しながらUpwindを飛び700FTに達したところで左旋回、Crosswindに乗り、1,000FTで水平飛行に、もう一度左旋回してDownwindへ乗ります。そこでタワー管制から呼ばれました。

タワー管制:「貴方はLeft Standard Departureするって言ってたけど、今、Downwindにいますね。何がしたいか言ってください。」

私:「(・・・あれっ?Left Closed Trafficって言わなかったけ?)、Left Closed Trafficを要求します。」

タワー管制:「Left Closed Traffic許可します。」

 

何が起こったかというと、私があまりにも緊張して「Left Closed Traffic」と言ったつもりが「Left Standard Departure」と要求していたということです(笑)そんなに海に行ってエアワークしたいのか~~~?

 

<そして着陸>

今まで教官に言われた言葉が、その場所その場所で聞こえてくるようです:センターライン、Wing Level(左右の翼を水平に保つこと)、3度のPathを維持して、パワー足して、パワー引いて、ピッチ上げて、ピッチ下げて、速度見て、今高い、低い・・・などなど。

 

そして、着陸しました!その時、飛ぶ前からやるって決めていたこと「着陸したらヒューヒューって言うこと(おバカですみません)」を実行して、誘導路へ離脱しました。ちなみに録音を聴くと、「ヒューヒュー」の後に「ちょっと下手だけど、まっイッカ」と言っていました。

 

そして、2周目、1周目より声が透き通っていて明瞭です。きっと1回ソロで着陸して変な緊張が解けたのでしょう。こんどはちゃんと「Left Closed Traffic」と要求して離陸しました。

 

3周目になると他の飛行機も増えてきて管制官も忙しそうです。風も少し出てきました。でも、その他は落ち着いた声で管制と交信していました。途中、着陸の許可が出た所で、Read Backの声がちょっと焦っていましたが、これは着陸の準備に風に対する修正なども加わって忙しかった丁度その時にATCから許可を受けたからだと思います。まだまだだな・・・Aviate、Navigate、Communicateを忘れてた。

 

そして、無事着陸。学校があるランプ・エリアに戻ってきました。教官が出迎えてくれて、写真を撮ってくれました。意味もなく嬉しかったです。やはり、ファースト・ソロは一大イベントなんですね。

 

渡米後、いろいろありましたが、とにかくここまでは何とかやってきました。次はセカンド・ソロをします。ファースト・ソロとの違いは、教官と何周か飛んだ後、一旦、エンジンを止めて、エンジン始動から自分だけでやるという点です。

 

その後は、訓練内容にこれまでと違う要素も入ってきて、展開が目まぐるしく変化していく忙しい毎日となります。とにかく、今日はお疲れさまでした!よく頑張りました。(続く)

 

2.5 (1) Do You Want To Try Solo?

 

Goal No. 1

As I mentioned in the previous article (2.4(2)TSA Fingerprint Registration | 自家用操縦士訓練物語~超怖がりな私が空を飛んだ日(My PPL Training Days) (ameblo.jp)), I set three goals for this training. The first was: Stay calm at all times (since I tend to panic easily, lose heart, and feel overly sensitive—something I really wanted to overcome). But then, something happened that proved I hadn’t achieved this goal yet.

 

As usual, my instructor and I were flying the traffic pattern. When we were on downwind, another aircraft suddenly cut in front of us without contacting ATC. My instructor reacted immediately to avoid a collision. I, on the other hand, froze in fear and couldn’t take any action. My vigilance in “see and avoid” was also insufficient. Even the controller sounded upset, which came through clearly in his radio transmissions. The only one who remained calm was my instructor.

 

So what does it really take to stay calm at all times? I don’t think it’s about changing one’s personality to always appear composed—it’s about being as prepared as possible for different situations. For example, I need to be more intentional and proactive about spotting and avoiding other traffic. In extreme cases, it means assuming, “There’s definitely another aircraft out there.”

 

Wake Turbulence

I’ve experienced wake turbulence twice—once during takeoff and once during landing.

During takeoff, the turbulence momentarily took control, almost spinning the aircraft around. That moment proved that what I had learned in ground school was true. It was terrifying. It all happened in a split second, and my instructor reacted so quickly that I honestly didn’t realize what had happened until it was already over. Once again, anticipation is key to staying calm at all times.

 

The turbulence during landing occurred when an Airbus A320 touched down on a runway to our left, just behind our intended touchdown point. The controller warned us to “caution wake turbulence.” Remembering what I had learned in ground school, I landed farther down the runway to avoid it. I also felt the winds shift and managed to correct for it, keeping the aircraft aligned with the centerline. This was thanks to all the crosswind landing practice I had done again and again.

Here too, anticipation and preparation are essential for staying calm. Don’t get blown away by the giant elephant—hold your ground, little Cessna baby elephant!

From My PHAK Translation Notebook, Chapter 5

 

Situational Awareness and Self-Awareness
Unlike before, I can now develop situational awareness and self-awareness using both my five senses and logical thinking. I often ask myself questions such as, “What was good or bad about this landing?”, “Why did the controller extend my downwind?”, or “Am I flying in an updraft or a downdraft?” These reflections make the challenges I need to address clear and specific, and they give me confidence that I can handle them better next time.

 

Making Progress in Many Ways
That day, the crosswinds were particularly strong. It was a bit disappointing to mess up the landing with a rough, abrupt flare—especially since the round-out had been good. But even that problem eventually got corrected. Of course, I can’t make a perfect landing every time. If I can’t, I know I can always go around safely. And if I lose sight of the preceding traffic I’m supposed to follow, I know how to ask the controller whether I can turn base or not.

 

Do You Want To Try Solo?

During a post-briefing, my instructor suggested that I fly solo. The same suggestion had been made to me twice before, and both times I said no. But on that day, I answered clearly, “Yes, I want to fly solo on Saturday morning when there’s less traffic and lighter winds.” I wasn’t forcing myself. I truly meant it from the bottom of my heart.

 

So, how will my first solo flight turn out? (continued)

 

1.5 (1) ソロやってみますか?

<1番目の目標>

以前の記事(1.4(2)TSA指紋登録 | 自家用操縦士訓練物語~超怖がりな私が空を飛んだ日(My PPL Training Days) (ameblo.jp))で、私は3つの目標を立てたと書きました。その1番目の目標「どんな時も冷静でいること(私はすぐにあたふたするし、繊細で心折れやすいので、それを克服したかった)」がまだまだ達成されていないことがわかる「事件」が起きました。

 

いつものように、場周経路(Traffic Pattern)で練習をしていた時、ダウンウィンドでATCに交信せずに突然割り込んできた飛行機がいました。教官が咄嗟に避けてくれましたが、私は恐怖で何もアクションを取ることができませんでした。割り込んだ飛行機に対する認識も薄く遅かったと思います。管制官の人も焦ったみたいで、その後のATCに現れていました。ただ一人、余裕の教官でした・・・

 

「どんな時も冷静にいる」ためには、肝が据わっているとか度胸が良いとかじゃなくて、なるべく多くのことに備えておくことだよなって思いました。だから、もっと他機の見張りを、明確な意識を以ってやらないといけないと反省しました。極端に言うと、絶えず「絶対、他機がいるぞ」って思っておくってことです。

 

<後方乱気流(Wake Turbulence)>

離陸と着陸の時、一回ずつ翼端渦が起こす後方乱気流(Wake Turbulence)を経験しました。翼端渦は、1.2 (2) 航空力学の基礎(Basic Aerodynamics) | 自家用操縦士訓練物語~超怖がりな私が空を飛んだ日(My PPL Training Days) (ameblo.jp)で触れました。

 

離陸の時は、くるっと回転するように操縦桿を持っていかれそうになりました。座学で習った通り、後方乱気流は翼端「渦」であることが証明されたようなものです。これはともて怖かったです。一瞬のことでしたし、教官の反応が早過ぎて、正直、何が起こったのかは全て終わった後にわかったっていう感じでした。ここでも予想しておくことが「どんな時も冷静にいる」ために必要です。

 

着陸時の後方乱気流(Wake Turbulence)は、接地点後方で斜めに交差する滑走路にエアバス320型機が着陸した後に着陸することになったときに経験しました。「後方乱気流に注意してください(Caution Wake Turbulence)」とATCから言われ、座学で習った通り、後方乱気流を避けて接地点(Touchdown Point)をずらして着陸しました。それだけでなく、風向きも変わったことに気付き、それには反応できてセンターラインを維持することができました。これは横風着陸の練習のおかげだと思います。やはり、「備える」ことができたから対処できたのでしょう。

 

エアバス巨大像に吹き飛ばされるな。頑張れ、セスナ小象。

PHAK日英対訳ノートより

 

<自分と周囲の状況の認識>

以前と違うのは、「今の着陸は何が良かったのか、悪かったのか」とか、「今、どうしてダウンウィンドを延ばされたのか」とか、「今、上昇気流で持ち上げられているのか、下降気流で落とされているのか」など、自分と周囲に対する状況を思考的にも感覚的にも把握できるようになってきました。すると、直すべき課題が具体的に明確になっていたので、次はできるという自信につながりました。

 

<いろいろな進歩>

その日も、横風がとても強かった。これまでも、着陸に関して残された課題は、ラウンドアウトで暖かく支えられている感覚があったのに、最後のフレアが雑で台無しにすることでした。でも、それが徐々に良くなってきました。まだ1発で毎回の着陸をきれいにできるわけではありませんが、上手く行かない時は安全に着陸復行(Go Around)をできるようになりましたし、先行機を見つけられずにベース・レグに曲がって良いかわからなくなったときはATCに確認することもできるようになりました。

 

<ソロ行きますか?>

フライトの後、デブリーフィングで教官が「ソロ行きますか?」と聞きました。それまで、同じ提案を2回断ってきたのですが、その日は「はい、飛行機が少ない土曜日で横風の少ない朝早い時間ならやってみたいです。」自分に無理じいすることなく、心からそう言えました。さあ、どうなる、初めてのソロ(続く)

 

 

2.4 (14) Graceful Landscape ~ Prologue

What I Left in Sedona
After coming back from Sedona, my ATC voice felt calm and clear. I also noticed during flight that there was no fear in my mind. Where had it gone? Probably, I left it behind in Sedona. With calmness in my heart, I became more aware and able to take proper corrective actions. That meant my fear had been lifted—something that turned everything for the better and gave me the boost I needed for my first solo flight.

 

Listening to the Airplane’s Voice
At that time, the warning horn often sounded during takeoff. I knew that the basic pitch for back pressure on takeoff should be close to Vy, and that’s what I was doing. The horn meant I was applying too much back pressure, but I didn’t yet know how to adjust it properly.

 

On upwind after takeoff, my instructor asked me why the warning horn had been going off so often these days. I told him what I had been wondering, as mentioned above. Then he demonstrated a takeoff with step-by-step instructions, which made perfect sense—and I was able to do it successfully.

Apparently, I should apply just a little back pressure at first and keep holding it until the airplane “says OK.” Only then should I add more back pressure to reach the Vy pitch. That “OK” from the airplane is a surge you can actually feel from the engine power.

 

It’s rare for me to get something right immediately after being shown. But this time, I picked it up with just one instruction—surprisingly!

 

My Landing and My Instructor’s Landing

At this stage, my near-term goal was to fly solo. So far, my flying skills had improved a lot—I was responding better to winds and coordinating more smoothly on the downwind and base legs. On the final, too, my power control for the roundout had gotten much steadier. However, at the very last moment of landing, the flare was still a challenge. My fear often led me to make abrupt, jerky inputs.

 

What really opened my eyes was my instructor’s demonstration: first, he showed me exactly what my landing looked like, and then he showed me how it should be done. That comparison made everything so clear. For a struggling student pilot like me, such teaching methods are absolutely vital. Still, according to his demonstration, my own landing looked pretty miserable.

 

Prologue of a Graceful Landscape

Not long after I started landing practice, one day I was captivated by a DC-9 parked in front of the FBO building where my school was located. It was being refueled and unloaded. By chance, I saw the captain. He asked me if I liked airplanes, and I told him I was a student pilot. To my surprise, he kindly invited me into his cockpit.

The McDonnell Douglas DC-9 is an old aircraft, and its cockpit was filled with traditional round instruments on both the main and overhead panels. Yet, strangely, everything seemed beautifully organized. We had a pleasant 15-minute conversation, and when I asked him for advice on landing, he said:

“Look far ahead. The distant landscape will tell you everything.”

Since then, I often wondered what that “distant landscape” really meant. One day, I finally experienced it—the best landing I had ever made. From roundout to flare, the view outside became a graceful landscape unlike anything I had ever seen.

 

Whenever I experience that view, it feels as if time slows down and the entire landscape unfolds in slow motion. At that moment, I recall the DC-9 captain’s advice, and now I understand what he meant.

Since then, whenever I make a good landing, that same graceful landscape appears before me. The captain’s words remain a gift I will always treasure. Still, it will take more time and practice until I can see it every time.

 

FAA Airplane Flying Handbook Figure 9-8

 

Having Solo Flight in Mind

During flight training or post-flight briefings (the debriefings where instructors give students feedback and advice), my instructor would often say things like, “You’ll be able to fly solo soon” or “When you fly solo, make sure to...” Solo flight kept coming up more and more in our conversations.

 

As I’ve mentioned before, my base airport was almost always affected by crosswinds during the day. One day, the crosswinds were even stronger than usual, and they shifted suddenly just before touchdown, making the landing especially difficult. After that, I decided I wouldn’t fly solo until I felt confident handling crosswind landings.

 

Now, however, I’ve come to realize that the real key to a successful first solo flight is not just technique—it’s overcoming fear.

(continued)

 

1.4 (14) 優雅な景色のプロローグ

<セドナに置いてきたもの>

セドナでの気晴らしを終えて、ATCの声が落ち着いてきて透き通った声に変わっていました。また、飛行訓練の途中で、恐怖心がないことに気付いて、「あれっ、恐怖心はどこに行ったんだろう」と考えちゃったほどでした。きっと、セドナに置いてきたんでしょう。落ち着いているので、以前より状況を把握できますから修正もできるようになりました。つまり、恐怖心が払拭されたことで多くのことが好転し、単独飛行(Solo Flight)に進める直接的なきっかけになるわけです。

 

<飛行機の声を聞く離陸>

この頃、離陸の時に失速の警報音(Warning Horn)が鳴ることが度々ありました。それまで、何となくこれぐらいかな?という曖昧な感覚で引き起こしを行っていたのですが、警報音が鳴るということは引き起こしが大きすぎるということです。でも、自分では教えられた通り、離陸のためのVYピッチを作っていたつもりだったので、どうしてよいかわからずにいました。

 

離陸後、教官から「この頃、よく警報音がなりますよね。どうしてなんですかねえ。」と言われて、今の状況を伝えると、教官が説明を交えてデモンストレーションして見せてくれました。その時は、珍しく何となくではなく、確実に感覚的に理解できたので自分でもやってみました。最初、抑え気味に少し引き上げていくと、飛行機が持ち上げられる下からの力が「上がれるよ」と言い始めるような転換点があります。それを待ってから、更に引き上げてVYピッチを作ると上手くいきました。「VYピッチを作る」ということに気を取られて、「VYピッチの作り方」に視点が言っていなかったということです。

 

それまでの私は、教えられた時わかっても、その次の練習や翌日にはすっかり忘れて同じようにできないことがほとんどでしたが、この時は、この1回でコツをつかむことができました。珍しいことだ!

 

<私の着陸と教官の着陸のデモンストレーション>

今の目標は、単独飛行(Solo Flight)に出ることです。

 

これまでの練習で、風に対する反応が良くなってきたり、ファイナル・レグまで持っていく過程も良くなってきました。ファイナル・レグに乗ってから、Power(出力)を絞ってラウンドアウトする部分も良くなってきました。でも、最後のフレア操作で恐怖心が払拭できずに、雑な操作になっていました。慌てるから操作が雑になるというわけです。

 

それに気付けたのは、教官が時々見せてくださるデモンストレーションで、最初に私の着陸を再現し、その後、教官(理想)の着陸を説明付きでデモンストレーションしてくれました。これには脱帽でした。着陸が下手な私が最後まで訓練をやり通せたのは、このような手法の教え方に拠るところが大きかったと思います。但し、私の着陸を再現してもらった時は、何とも言えない酷い着陸であることがわかるので、心底情けなかったですが・・・

 

<優雅な景色のプロローグ>

まだ着陸の練習を始めたばかりの頃、飛行学校が入っているFBOに給油と荷下ろしのために駐機していたDC-9の貨物機に見とれていたことがありました。たまたますれ違ったその機長さんが「飛行機好きなの?」と声をかけてくれて、私が自家用操縦士免許(PPL)の訓練中だと話すと、操縦室を見せてくれました。

 

DC-9ですから古いしクラシックな操縦室で、トラディショナルな丸形計器が前方にも上方にも計器パネルいっぱいに広がっていましたが、整然としてきれいに感じました。15分位の会話でしたが、最後に着陸のコツを聞くと、「遠くを見ること。遠くの景色が全てを教えてくれるよ。」とアドバイスをくれました。

 

それから「遠くの景色」ってどんな景色なんだろうと考えることが度々ありました。そして、ある日、遂に、理想の着陸ができたのです。その時、ラウンドアウトからフレア操作まで目の前に広がった景色は、今まで見たことのない「優雅な景色」でした。その「優雅な景色」を見た着陸では、景色がスローモーションのように移り変わる中で、「遠くの景色」がずっと見えていて、この機長さんのアドバイスを思い出していました。これのことかな・・・その後も、着陸が上手く行く時は、いつもこんな景色が見えたので、ありがたいアドバイスでしたが、まだまだ当分の間はいつでもこれが見えるわけではなく、「優雅な景色」の完成にはもう少し時間が掛ります。

 

<単独飛行(Solo)を意識して>

飛行訓練中でもデブリーフィング(飛行訓練直後のアドバイスをもらうブリーフィング)でも、「そろそろソロですねえ」とか、「ソロに出た時、こんなことがあったら~してください」等、徐々に単独飛行(Solo)について言及されることが多くなってきました。

 

<横風が…>

何度も書きましたが、拠点空港は横風がデフォルトみたいな空港でしたが、ある日の横風は本当に強かった。しかも、接地直前で風が変わるとても難しいコンディションでした。

 

自分では横風着陸で納得がいくようになるまでは単独飛行(Solo)には出ないと決めていました。単独飛行(Solo)の可否を決めるカギは恐怖心の払拭ですが、その日は近いのか?(続く)

 

 

  私のPHAK日英対訳ノートについて

 

<ご注意ください>

本ブログのプロフィールFly2getherさんのプロフィールページ (ameba.jp)のリンクの通り、米連邦航空局(FAA)が公開しているPilot's Handbook of Aeronautical Knowldge (PHAK)(FAA-H-8083-25B)(2016年版)の日英対訳ノートをメルカリでのみ販売しています。

FAA PHAK日英対訳ノート(パイロットの航空知識ハンドブック) - メルカリ (mercari.com)

 

最近、このメルカリの販売サイトに掲載されている私の写真と説明文が、見慣れない複数のサイトで無断で使用され、様々な価格で販売されているのを見つけました。これらの写真や説明文には当然に私の著作権が発生しますので無断使用は違法行為となります。また、私の許可なくこのノートを複製して販売することも違法となりますのでご注意ください。

 

<PHAK日英対訳ノート作成に至った経緯>

0.1 PHAK:FAA発行の「パイロットの航空知識ハンドブック」 | 自家用操縦士訓練物語~超怖がりな私が空を飛んだ日(My PPL Training Days) (ameblo.jp)でもご紹介したPHAKは、自分が自家用操縦士免許(PPL)や計器飛行証明(IR)の訓練中には、心底読みたかったけど余裕がなくて時間が取れずに読めなかったハンドブックでもあります。試験が英語なので最終的には英語で覚えるとしても、思い出したいときに日本語になっていたら該当箇所も探しやすいし、対訳形式なら訓練中の英語の勉強が効率的にもなるなと思っていました。

 

その後、地上教官免許(AGI)の勉強を始めたとき、私の航空知識をもっと深めたいと思ったこともきっかけとなり、数か月の時間を使って、実際にこれから飛行訓練をする方をイメージしてこのノートを作成しました。

 

<作成に際して心掛けたこと>

まずは、航空英語の勉強になるような形式にしました。自分自身、英語の勉強歴が長いので、どのような勉強方法が効率的かをずっと考えてきましたので、それが反映されています。

 

次に、なるべく日本の航空業界で使用されている用語を訳語にあてました。次回の記事にも書きますが、私が初めて飛行機の操縦に触れたのは米国だったので、日本の飛行訓練で使用されている言葉を知らず、例えば、「Turn」を「旋回」ということさえ知りませんでした。ですから、極力、日本の航空界で使用されている言葉や表現を使うために、たくさんの参考書を読みました。

 

最後に、翻訳作業において当然のことですが、背景知識をリサーチして訳語を決めました。もちろん、至らないところもあるかと思いますが、最大限の努力をしました。

 

<本ブログ>

以上のような経緯でPHAK日英対訳ノート作成に至ったことがきっかけで、「自家用の飛行訓練ってどんなものなのか」についてシェアしたいとの想いで、実際に飛行訓練で体験したことに基づいた物語としてこのブログも始まりました。

 

ブログは、これから、初期訓練の一大イベントである場周経路での単独飛行(ファーストソロ)を経て、野外飛行での単独飛行へと続き、試験が近づくといろいろな飛行科目を習いながら口述試験の準備もする忙しいストレスの掛かるステージに入ります。

 

まだまだ小規模なブログですが、これまで読んで下さった方、「いいね」をしてくださった方、フォローしてくださった方に、心から感謝していますし、記事を書く励みにもなっています。最後まで読んでいただけたら大変うれしく思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 

Fly2gether

 

 

 

 

 

 

 

 

2.4 (13) Relaxed in Sedona, AZ

<Sedona and Access>

Sedona: A Stunning Gateway and How to Get There

I referred to Sedona before: 0.6. セドナ空港(Sedona Airport) | 自家用操縦士訓練物語~超怖がりな私が空を飛んだ日(My PPL Training Days) (ameblo.jp)

When I first visited Sedona, Arizona, it was just starting to become known to Japanese tourists and was still relatively unknown even within the US. Since the pandemic, domestic travel demand has increased, and Sedona has become popular across the country. More and more people have come not only to visit but also to move there, causing a surge in land and housing prices.

 

To get to Sedona, we fly to Phoenix, Arizona, then take a shuttle bus that takes about three and a half hours. Just before arriving, there is a spot where the atmosphere and landscape change dramatically. The breathtaking beauty and otherworldly atmosphere there feel like a gateway to Sedona.

 

 

The red rocks, colored by iron oxide, are an iconic symbol of Sedona. The area is well-equipped with essential facilities for tourists. Within a 20- to 30-minute drive, you can reach various hiking spots. Since most major trails have clearly marked signs, hiking without a tour guide is possible.

 

There is a quiet residential area called West Sedona at the foot of the red rocks, including Thunder Mountain. It has many health-focused food shops and restaurants. Meanwhile, Upper Sedona is a livelier, more tourist-oriented district.

 

A panoramic view of West Sedona from Airport Mesa, with Thunder Mountain in the background.
Thunder Mountain is said to have inspired Disneyland's Big Thunder Mountain.

 

Sedona Airport

Sedona Airport is definitely my favorite airport. It is located atop a hill at an elevation of 4,827 feet (about 1,500 meters). The airport is quiet and serene, with no jet airliners in service. There is a nice restaurant right in front of the runway. I also like the Sky Ranch Lodge, which is located just nearby. At dusk, the view of West Sedona spreading out below is bathed in soft orange and pink hues as the lights slowly begin to appear—a truly heartwarming sight.        

Sedona Airport

 

Airport Mesa

On the way to the airport, there is a place called Airport Mesa. The panoramic view there is stunning. I love this place so much that I hope to live in the area someday. 

A panoramic view from Airport Mesa

 

Helicopter tours are also available. Helicopters can fly very close to cliffs, allowing you to fully experience their impressive scale.

An aerial view from a helicopter.  So close to the cliffs!

 

Cathedral Rock

Cathedral Rock offers a very satisfying hike. There are some steep sections on the way to the top, but overall, even beginners can manage the climb. After descending the mountain, I had trouble calling an Uber taxi due to poor Wi-Fi reception. When I gave up and started walking to town, an American couple I had met on the mountain kindly gave me a ride into town.

 

Bell Rock

Its name is quite obvious—it looks like a giant red bell. Because of this shape, you can’t reach the top easily. Occasionally, some daring people climb to the top and share videos of it. The climb doesn’t take very long.

 

Agave Plants
Agave syrup, a natural sweetener, is extracted from the plant’s root, while tequila is made from its stem.

 

Belt of Venus: On the Early Morning of My Return to Training

I was lucky to observe the Belt of Venus in the morning of the departing day on the way back.  The three-day trip relaxed me, and I felt happy.  Waking up early on the day I left Sedona gave me a beautiful view of the Belt of Venus just opposite the sunrise. 

 

The Belt of Venus is an atmospheric phenomenon visible shortly before sunrise or after sunset, during civil twilight.

As I mentioned in my previous article 2.2 (5) Regulations | 自家用操縦士訓練物語~超怖がりな私が空を飛んだ日(My PPL Training Days) (ameblo.jp), civil twilight is defined in the definition of Night as follows: Night is the period between the end of evening civil twilight and the beginning of morning civil twilight, as published in the Air Almanac and converted to local time. This definition should be used when logging night flight time.

 

Once I returned to the base airport, I resumed flight training. Strangely, I felt no anxiety or fear. Could I fly solo? (continued)

 

1.4 (13) セドナの休日

 

<セドナとは>

セドナについては、過去にもご紹介しました。0.6. セドナ空港(Sedona Airport) | 自家用操縦士訓練物語~超怖がりな私が空を飛んだ日(My PPL Training Days) (ameblo.jp)

 

アリゾナ州セドナ(Sedona)、当時は日本人には知られ始めていた頃で、米国国内ではあまり注目されていない観光地でしたが、パンデミックをきっかけに今では米国内でも人気の場所となり、観光客だけでなく移り住む人も増え、地価や物価が高騰してしまったと聞いています。

 

まずはアリゾナ州のフェニックス空港に入りますが、フェニックス空港はなぜか心惹かれる空港です。

上空から見たフェニックス空港

 

そこからセドナの街までシャトルバスで3時間半程度です。セドナ到着直前に、急に風景というか空気が変わる場所があるのですが、何とも言えない幻想的な雰囲気が伝わってきて、そこがセドナの入口のように思えます。

 

セドナは酸化鉄を多く含む赤い岩が多いのが特徴です。観光地としての施設は一通りそろっていて、街に滞在して車を数十分走らせれば数々のハイキングコースにたどり着くことができます。また、主要なハイキングコースには順路を示す印があるので、ガイドさんなしで登ることも可能です。

酸化鉄を含む赤い岩が特徴

 

背景に赤い岩が連なるウェスト・セドナ(West Sedona)は、閑静な住宅街でもあり、レストランや健康志向の食品店も多い町です。アッパー・セドナ(Upper Sedona)の方は、もう少しにぎやかで観光地色が強いです。

エアポートメサから見渡したウェスト・セドナの街並み。後ろに見えるのはサンダーマウンテン。

ディズニーランドの「ビッグサンダーマウンテン」の着想を得た場所と言われています。

 

<セドナ空港>

私は何といってもセドナ空港が大好きです。標高4800FT(約1500m)くらいの丘の上にある空港で、ジェット機は就航していない長閑な空港ですが、空港の滑走路を見ながら食事ができるレストランもあります。空港に隣接する宿泊施設「Sky Ranch Lodge, Sedona」もおすすめです。夕暮れ時、眼下に広がるウェスト・セドナの街並みはオレンジやピンクが混ざった軟らかい光に包まれ、それはそれは心温まる光景です。

セドナ空港

 

<エアポート・メサ>

空港までの上り坂の途中に、エアポート・メサという場所があり、そこから見る360度の景色は最高です。いつかこの近くに住みたいなと思うほど好きな場所です。

 

ヘリコプターによる観光ツアーも発着しています。ヘリコプターは壁に近づいて飛行できるので迫力満点です。

ヘリツアーでは、この近さ!

 

<カセドラルロック(Cathedral Rock)>

途中、急な場所もありますが、概ね、初心者でも登れます。麓はWi-Fiが届いてなくてUberを呼べなくて困ったことがありましたが、あきらめて町まで歩こうとてくてく歩いていたら、登山であいさつを交わした米国人夫妻に車で拾っていただきました。

カセドラル・ロック

 

<ベルロック>

その名の通り、ベルの形をしているので途中までしか登れません。たまに命がけで頂上まで登って動画に出している人もいるみたいです。なので時間のない時にお勧めです。

ベル・ロック

 

<アガベ>

根からアガベシロップ、茎からテキーラを作る植物だそうです。

 

<帰途につく朝>

日の出前にホテルを出発。あっという間の3日間でしたが何だか幸せな気持ちでした。リラックスできたっていうことですね。太陽と反対側には見えるビーナスベルトがきれいな清々しい朝でした。

ビーナスベルトは市民薄明(Civil Twilight)の時に見えるそうです。市民薄明(Civil Twilight)は、過去の記事「1.2(5)航空法(Regulations)」1.2 (5) 航空法 | 自家用操縦士訓練物語~超怖がりな私が空を飛んだ日(My PPL Training Days) (ameblo.jp)で触れた、「夜間の基本的定義」に用いられています:「夜間」とは、Air Almanacで公示されている「夕方の市民薄明の終わりから朝の市民薄明の始まり迄の時間。

 

拠点空港に戻ったら、まだ訓練再開です。なぜか不安はありませんでした。果たして単独飛行(Solo Flight)には出られるのでしょうか?(続く)

 

 

2.4 (12) The First Stage Check & Learning Plateau

Almost Spin! Stall Recovery

With the first stage check approaching, I practiced hard—reviewing procedures and doing mental drills for airwork, go-arounds, and more. One day, while practicing stall recovery, I almost entered a spin.

 

A spin occurs when the airplane’s wings exceed their critical angle of attack (stall) while a sideslip or yaw is acting on the aircraft at or beyond the stall point. It’s essentially a stall combined with autorotation. In Top Gun (the original movie from many years ago), there’s a scene featuring an unrecoverable spin. The one I nearly entered, however, was a recoverable spin.

FAA Airplane Flying Handbook, Figure 5-15, Spin: An aggravated stall and autorotaiton (helicopter, etc.)

 

The instructor quickly corrected me, but I was really disappointed. With the 1st stage check approaching, a student pilot should be at their best. In fact, I was quite discouraged. Then, I shared this experience with a young, new instructor, which made me feel better. It felt like sometimes it’s easier to be heard by a sibling or friend close to your age than by your parents.

 

The 1st Stage Check
Despite the “almost spin” incident, I changed my mindset. My progress in ATC communications, landings, and other skills had been quite good, so I was expected to take the 1st stage check to determine whether I was ready for solo flight.

 

The flight itself was a mess. I felt rejected even before starting the maneuvers because I was so nervous in the strict atmosphere created by the instructor I was flying with for the first time. I couldn’t maintain the altitude and airspeed that I had previously managed easily. As I was tested on each maneuver one by one, the checker’s stern expression unsettled me. I wanted to give up before completing the stage check. But at the end, while flying over the ocean, I was lucky enough to see a school of dolphins.

A school of dolphins

 

Therefore, I couldn’t easily proceed to solo flight, so the flight training continued as usual. Triggered by the chaos of the stage check the previous day, I found myself unable to do things I had done before. During the post-briefing, the instructor seemed to have something on his mind and asked to see my notebook.

 

I’m going to Sedona
Looking at my notebook, the instructor said, "You are currently in a learning plateau, so your progress is only temporarily stalled. You will definitely improve after this, so please take a day off tomorrow and go somewhere you enjoy. A learning plateau is a temporary stagnation in growth, appearing like a flat section on the learning curve. To me, it didn’t feel like a plateau, but more like a learning cliff. Still, I felt somewhat relieved."

 

FAA Instructor’s Handbook, Figure 3-17,

 

Learners will probably experience a learning plateau at some point during their training. Not only in flight training but also when I studied for qualification exams, I never considered “taking a break” or “going out” because I didn’t think it would be effective. This time, too, I had no idea that going out could help make the subsequent training more successful. However, when I unexpectedly told myself, “It’s okay to take a break,” I recalled a beautiful landscape of Sedona from a photo book I had seen at a bookstore. That made me want to go to Sedona. So I asked, “Can I take three days off? I’m going to Sedona.”

 

So, I flew to Sedona. For three days, I tried to forget about the training and didn’t bring any study materials with me. (continued)

 

 

1.4 (12) ステージチェックと学習高原(Learnin Plateau)

<あわやスピンに!久しぶりの失速回復練習>

初めてのステージチェックが近づく中、必死でエアワークや着陸復行(Go Around)の手順の復習をしていましたが、ある日のこと、失速回復(Stall and Recovery)の練習で危うくスピン(Spin)に入れそうになってしまいました。

スピン(錐揉み)(Spin)とは、失速のときにらせん状に回転すること。横滑り(Sideslip)又は偏揺れ(Yaw)を起こしながら片翼の迎え角(AOA)が臨界迎え角を超えてしまったときに起こります。クルクル回りながら失速していくことです。トップガン(第1作目)に出てきた回復が不能と言われているスピンもありますが、私が入れそうになったのは回復可能な方のスピンです。

 

FAA Airplane Flying Handbook図5-15スピン(錐揉み):悪化した失速及び自転

 

教官が素早く修正してくれたのですが、これはとてもショックでした。ステージチェックを控えて、気分が上がってこなければならないのに、一気にガクンと落ち込んでしまいました。その時、なり立ての教官に話を聞いてもらったことで、とても気持ちが楽になりました。お父さんやお母さんに話を聞いてもらうより、年の近い兄弟や友人に聞いてもらう方が、気が楽になることもありますよね。そんな感じでした。

 

<ファースト・ステージチェック>

「危うくスピン事件」を経て、それでも気持ちを切り替えて、ATCもそこそこできて、着陸の調子も良かったので、いよいよ単独飛行(Solo)の可否を決めるファースト・ステージチェックの日を迎えました。

 

結果は、ズタボロでした。初めて同乗する教官の厳しい雰囲気に吞まれてしまい、いつも難なくできている手順に抜けがあったり、高度や速度の維持もできていたのができなくなり、科目を始める前から認められていない気がしました。科目をやればやるほど、厳しい表情が気になって、途中で帰りたくなりました。でも、最後に海上を飛んでいるとき、イルカの群れを見ることができました。

 

というわけで、即、単独飛行(Solo)に進むというわけにはいかず、翌日もいつものように飛行訓練が続きました。前日のズタボロ・ステージチェックをきっかけに、今までできたことが、次々とできなくなり、デブリーフィングでは、いつもの教官も考え込んでしまい、私にいつも勉強しているノートを見せるように言いました。

 

<じゃあ、セドナに行きます>

これまでの予習復習が書き留められた私のノートをじっと見て、教官は「今、貴方はラーニング・プラトー(Learning Plateau)にいるので、一時的に停滞しているだけです。この後、確実に伸びてきますから、明日、1日休んでどこかに遊びに行ってきてください。」と言いました。

 

ラーニング・プラトー(Learning Plateau)とは、「学習高原」とも呼ぶようですが、学習成果を曲線で表したとき、一時的に伸びが停滞することだそうです。

 

「私の場合はLearning Plateau(高原)じゃなくてLearning Cliff(崖)だよ~」と思いながらも心が救われました。「あっ、この後、ぐ~~んと伸びるわけね。OK」←ホンマに?

FAA Instructor’s Handbook図3-17 訓練中、だいたいの訓練生はどこかのタイミングで学習高原(Learning Plateau)を経験する。

 

今回の飛行訓練に限らず、それまで何かの資格試験などの勉強をした時も、学習効果がでなくても休んだり遊んだりしたら解決するとは思えなくて、「休む」とか「遊ぶ」って考えたことがありませんでした。今回も遊べばその後の訓練が上手くいくとは全く考えられませんでしたが、「1日休んでください」という意外な言葉をかけられて「遊んでいいんだ」と思ったら、渡米前に書店で見かけた写真集を思い出し、アリゾナ州のセドナ(Sedona)に行きたくなりました。それで「じゃあ、3日お休みください。セドナに行ってきます。」と言って、セドナに行ってしまいました。「もう訓練なんか知らん知らん」ということで・・・

 

渡米後、これまで1日も勉強を休んだことがなかったけど、「3日間、訓練のことは忘れよう」ということで勉強道具は一切持っていきませんでした。(続く)