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邦題:ミスト

72点。

 

「まるで「オズの魔法使い」の様だった。」から、スティーブン・キングに書かせるとこうなっちゃうSFホラー映画。マジかよキング最低だな。ザ・ミスト」に騙されたのも、今となっては良い思い出だと言う事にしよう。そうしよう。

鬱映画として度々、名が挙がりますが意外と?気まずいシーン等はありません。

 

 

~あらすじ~

ある夜、米メイン州の西部を深い霧が襲う。住民たちは身動きがとれず、建物から外に出ようとする者はみな、奇怪な霧に襲われ、姿を消す。そんな中、デイヴィットと息子のビリーは霧の中を進み、帰宅を試みることに。

(※映画ナタリーより抜粋)

 

 

以下、ネタバレ。って言うか、感想。

 


常人(であろうとする)の範囲内で考え得る、最低で最悪の結末が視聴者を鬱々しく感じさせるのでしょう。これは「ショーシャンクの空に」のフランク・ダラボン監督が意図的に改変したもので、原作者のスティーブン・キングは大絶賛しています。彼(キング)の作品は総じてラストが良くない。

「デヴィッド "扇動者" を語るに落ちる。」のが皮肉であり、伏線と言うかそのまま。

加えて、ハッピーエンドがお約束と思い込んでいると、その落差から認められない、認めたくないと言った感情に帰結するのも至って普通ですから、見なければ良かったとなるのも充分に理解出来ますし、さっさと忘れられるならそれで良いと思います。

 

忘れられない場合にはそれを解消すべく、この物語を結果から紐解く必要性が有ると考える次第です。

 

 

こういった緊急事態において、弁護士は無意味、画家は論外。一番に頼るべきは軍人(ここを責めたい)なんですが、彼らには全く、作業ですらもやる気がありません。

因みに、犠牲者のほぼ全員が直接、間接的を問わず、デヴィッドの判断の結果によるものです。対して、悪役として描かれるカーモディ要因はどれだけ悪く見ても好意を寄せる人も守れない意気地の無い軍人一人です。

でも、それが正しいかどうかなんて、あくまでも別の問題だと思います。

 

 

これの私の解答は、頭では義務論、行動は功利主義を取るかもしれません。ですが、ここに大事な人が居れば、その人を助けて5人を見殺しにするのが私だと思います。

 

だから、デヴィッドは何を犠牲にしても、息子のビリーを守るべきだったと私は声を大にして言いたい。それを最重要の行動規範に据えれば、一切の余計な事はしないし出来ないし、彼からひと時も離れなかっただろうに。

 

最後にもう一つ踏み込んで。救助されたであろう人々の中に、家に残した子供の為に一人、スーパーマーケットの外に出た女性の姿が有ります。これは、自己犠牲の精神を持って、彼女の訴えに協力した場合には助かった可能性を示唆するものです。私としてはこちらの方が随分と心に来ます。勿論、それが正しいと言う訳では無く、彼女の運が良かっただけでしょうけど。

 

 

私ならビリーを守れた。と答えが出た時に精神は安定するのですよ。

 
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