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邦題:オズの魔法使い

93点。
 
原作は1900年発表、ライマン・フランク・ボームの児童文学小説
"The Wonderful Wizard of Oz" 。冒頭の字幕にて、40年経っても子供達に夢を与え続ける、この物語の魅力は色鮮やかと語られます。それは色褪せないのか、果たして "子供達と子供心を失っていない人達" に私が該当するのか。
124年経った今、試されるファンタジーミュージカル映画、はっじまるよ〜!
 
 
~あらすじ~
カンザスの農場でエムおばさんとヘンリーおじさん、そして愛犬のトトと共に暮らす少女・ドロシー。ある日農場を巨大な竜巻が襲い、気を失ったドロシーは家もろともオズの国へと運ばれていく。再び彼女が目を覚ますと東の魔女が家の下敷きになっていて…。
(※Filmarks映画より抜粋)
 
 
以下、ネタバレ。って言うか、感想。
 
 
私 "オズの魔法使い" については、そのタイトルを目や耳にする事はあっても、詳しい内容を知りませんでした。当映画の鑑賞後、より深くこの物語を味わうべく、原作を読んだ次第です。今となってはパブリックドメインなので、日本における "青空文庫" よろしく、インターネット上で無料で読めます。良い時代に生まれたものです。
 
 
原作は子供がイメージし易い様に、色で表現する工夫を多用しており、それを映画では退屈なセピア色の日常から、扉を開けると、テクニカラー(これは(光の)三原色()式テクニカラーと呼ばれる、1932年開発のこれまでに無い、自然な色合いを表現出来る様になった色彩技術方式)の珍しくて綺麗な光景をドロシーも観客も目前にします。当時の最先端は今でも、その振り幅から類稀な演出と言えます。
 
魔女の靴を色から真っ赤なルビー色に改変、カット毎にの色を変更する力の入用等、スクリーン映えにはかなりの拘りを感じ、色は違えど原作のコンセプトを忠実に表現したものと好意的に捉えられました。これに加えて、本来のハリウッドのお家芸ミュージカル劇を融合させて表現力を乗算で増しています。そしてメインテーマ曲は "虹の彼方に" 最上級にカラフルです。この映画を愛する方の気持ちが良く解ります。
原作を表現した映画としては100点満点をつけたいと思いました。
 
 
…ですが、その原作が子供向けなんです。"太郎" や "かちかち山" と同質のもの。
帰る方法は足元にあったり、退屈な日常のそれが掛け替えの無いものであったり。
色んな教訓が込められているのは解るんですけど、だから凄い!とはなりません。
"兎と亀" から学ぶのは、サボるのは駄目って事だけ。なので、原作は置いといて。
 

 

 

 
こっからは原作には無い映画の演出部分。まず、身も蓋も無い言い方になりますが、ラストは夢オチに改変しています。否定的な理由で度々使われる言葉ですが、当映画については物語を構成するプロットが、キャストまでもが、そこに集約する様に循環的に練られています。今風に言えば、伏線貼りまくり、きっちりと回収。
 
そして、少しずつ奇妙であったり、理不尽なのも、子供の夢であるからに尽きます。「メメント」で書きましたが、人間の脳は寝ている間にクリーンアップとデフラグを行っていて、夢はその発露ですから。
 
 
細かい粗は2点程ありましたが、誰が何と言おうとこれは一流の映画と言えます。人間の想像力の限界はまだ遥か先、当映画が後の世に影響を与えて行くと考えると、非常に感慨深いものがあると思いました。
 
 

子供には夢、大人には浪漫を見せてくれる素敵な映画でした。

 
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