image

 

邦題:メメント 和訳:思い出せ

88点。

 

巷では超難解映画と呼ばれる、サイコロジカルスリラー。時を操るノーラン監督。

白黒の映像は時の流れに沿って、カラーの映像は時を遡って行くけど、交互に挟んでいくからややこしい。観客が頭の中で時系列を整理していく事で「思い出す」を疑似体験するような感じ。レナードと同じ気持ちになる効果を狙った表現ですね。

ネオノワールの特徴を踏襲しており、登場人物全員に良心が無くて意地悪です。

残酷描写はちょっとだけあったっけ、どうせ10分後には忘れちゃうんであんまり気にならないかも。

 


以下、ネタバレ。って言うか、感想。

 

 

"I have done it." は時系列的に有り得ないけど、都合の良い様に記憶を改変したのか謎のまま、思い出す事も無いでしょう。

 

因みに、人間って取るに足らない記憶は4時間も経てば、半分程度を失う程のあやふや具合です。だのに人間が一番信じる物って神でも愛でもなく、自身の記憶ですよね。

全ての行動は自身の記憶による経験から裏打ちされたものです。

 

レナードの場合は記憶と深く関係すると言われる側頭葉に強い衝撃を受けた事による「前向性健忘症」ですが、10分間の記憶しか保持出来ないのは聞いた事が無いです。

人間はその日一日の出来事の記憶を睡眠中に取捨選択して、経験や思い出として格納して行く事で人格を形成するんですけど、その取捨選択が上手く行かずに一日単位で忘れるのは前例があるようで。

 

10分間の記憶が織り成すプロットは凄く良く出来ています。映画ですし、レナードは極端な行動を取っているのに、観客である私達も記憶が本当に頼れるものなのか、彼と同じ事をしていないか不安になってしまいます。

つまり、少々の悪事を記憶の彼方から消し去っているかもしれないし、美しい記憶は更にエフェクトがかかっているに違いありません。これはレナードがメモを意図的に書き換えたりするのと何ら変わらない行動の様に思いました。

 

あれ、私こっから何を書こうとしてたっけ。ま、いっか。