1.
僕が「踊ってみた」をやってみたらと言い続けてきたのは、別に再生数を稼げるからじゃない。「踊ってみた」の文化に親近感があったからってだけでもない。コミケが牽引してきたまんが・アニメ文化のように、ドルヲタも文化の牽引者になって欲しいと願っていたからだ。作者が独裁者として君臨する文化は死滅する他ないとも思っていた。
アイドルにおいて二次創作に相当するものは「踊ってみた」をおいて他にない*。まずメンバーが仕掛けて、ヲタや踊り手にもそれが広がり、いずれはオリジナルの振り付けも出来て、面白いことをする奴が出てきて、それが再びアイドル側に取り入れられて…と、そんなフラットな関係性を空想していた。
(*追記:コールやMIXは、いつしか慣習化されて本来のクリエイティブな側面が失われてしまった)
メンバーでありながら、誰に言われるでもなくひとりのAKB好きとして勝手にやっていたまなみやセリカの「踊ってみた」は、その橋頭堡になりえるものだった。でも、AKB運営はそれを奪い去り、AKB曲の「踊ってみた」をYouTubeチャンネルを持つ一部のエリートにのみ許されるものにしてしまった。
2.
僕は明らかにAKBの現体制に不満と不信感がある。抱えているこの違和感が茅野≒DH体制の問題なのか、別のどこかの問題なのかは分からない。今のAKB運営を見ても、誰が何を考えているかまるで見えてこない。
不満ばかり出るようになったら去ったほうが良い。それは僕もそう思う。
民主主義が強いのは、別に民衆が正しいことを言うからじゃない。民衆が国家/共同体の問題を自らの問題と捉えて、共同体のために一生懸命に戦うからだ。でも、為政者が民衆の言葉に耐えられなくなったら、封建主義の時代に戻るしかない。誰もがSNSによる言葉の波で疲れているような現代の状況では、それはやむを得ないことだとも思う。
ただ、そういう思想が優勢になると、もう最初から完成されているもの、すでに魅力があるものしか勝たなくなる。いまのエンタメ業界は現にそうなっている。未熟さを長所にしていたアイドルが苦境に陥っているのもそれが理由なんだろう。
結局、僕ら(共和主義者)はふたたび敗北したんだ。メンバーが嫌いになったわけではないから、これからも見るは見るだろうし、YouTube動画なんかも上げるだろうけれど、しばらくAKBの話題からは離れようと思う。