NGT論文に対する反論その2 | 想像上のLand's berry

想像上のLand's berry

言葉はデコヒーレンス(記事は公開後の一日程度 逐次改訂しますm(__)m)

前略、NGT紀要論文について2

 この著者は2018年のリクアワについても「捏造順位であると断定してよい」としています。この年のリクアワではベストテンにNGT曲が5曲入り、さらに3位に入ったのは研究生曲でした。著者はこのことに疑問を呈します。

 引用します。
 

 昨年同様1位はNGTで,そのほか3位,5位,7位,9位とNGTがベストテンの半数を占めた。なかでも,3位の「下の名で呼べたのは…」はデビューシングル『青春時計』のNGT48CD盤(劇場盤)に収められた曲であり,NGTメンバ−のうち2018年1月1日にチームNIIIの16名に入れなかった研究生10名の初オリジナル曲である。チームの正規メンバーに選ばれなかった研究生にオリジナル曲を与えてもNGTだけでなくAKB全体のなかで2位になるということは,彼女らにはまだファンがあまりついていないはずなので,普通ならば考えられないことであり,ここにも柱王票の一元的な意図的分配が露骨に現れている。
 NGTの曲が研究生の曲も含めてベストテンに5曲入ることを前提としても,作為性がない場合,NGTの曲が奇数順位だけに入り,研究生の曲が3位になる確率は,手触りに差のない●石4個,❸石1個と○石5個を混ぜ合わせ,目隠しして一列に並べ,●○❸○●○●○●○となる確率で,(4/10)×(5/9)×(1/8)×(4/7)×(3/6)×(3/5)×(2/4)×(2/3)×(1/2)×(1/1)=2880÷3,628,800=0.00079365となり,1260回に1回程度しか起こらない珍事である。したがって,10位以内の曲はすべて正当な得票で集計して10位以内だったと仮定しても,捏造順位である確率は約99.9%でほぼ確実と判断でき,そのうえ,実人気を考慮すれば,正当な投票で研究生の曲以外のNGTの曲がベストテンに4曲以上入る可能性はほぼ皆無であり,NGT研究生の曲が3位以上になる可能性もほぼ皆無であるから,PRODUCE48の最終順位が捏造であることが確率的にほぼ確かであることに勝るとも劣らず,リクアワ2018のベストテンは捏造順位であると断定してよいだろう。
(平山朝治「NGT48 問題・第四者による検討結果報告」pp.111-112)

 

 いえ、よくないです。数式を提示され、99.9%確実に捏造順位と言われたらビビってしまう人もいるかもしれません。しかし、数字は嘘をつきませんが、人はその扱い方を誤ります。


 ここで根拠になっているのは、またも不自然さです。まず、著者は「まだファンがあまりついていないはず」の研究生曲が「AKB 全体のなかで2位[ママ]になるということは(中略)普通ならば考えられない」と指摘します。この著者でしばしば見かけるのは、このように「~はず」という思い込みで話を進め、実際にどうなのかはまともに調査も行わないことです。

 実際には、研究生曲が上位に来ることはしばしば起こります。たとえば2020年のリクアワではNGT研究生の『今日は負けでもいい』が2位に来ましたし、2015年のSKEリクアワでは研究生の『夕立の前』が1位に輝きました((T_T))。

 この背景には「研究生推し」の存在や、研究生の持つドラマ性など様々な要因が考えられます。また、メンバーそれぞれの持ち歌の数も影響しているでしょう。メンバーはキャリアを重ねていくごとに持ち歌の数が増えていくので、票も分散していきます。たとえば、16期曲の『抱きつこうか』はメンバーの多くが研究生だった2018年には14位(翌年には7位)だったのに、2020年には26位になっています。これはずっきーセンターの『モニカ』やなーみんセンターの『ダ・カーポ』に票が分散したためだと考えられます。

 

 対照的に研究生は自分たちがメインで歌える持ち歌がないので、ファンの票が研究生曲に集中しやすいわけです。リクアワにおいて研究生であることは必ずしもマイナスの要因にはならないんですね。

(「それらのリクアワも不正だったらどうすんの?」という疑問が出るかも知れません。しかし、リクアワ以外にも似た事象が起きることがあります。たとえば昨年末に行われたSRのTGCイベントでは、研究生含めNMB勢が各グループの人気メンバーを破って各枠の1位を独占しました。これも確率的に言ったらありえない話に見えるかも知れませんが、でも僕らはその理由を知っています。NMBは候補者を絞ったので票が集中したんですね)

 この著者は、そうした要因をすべて無視して、研究生=ファンがあまり付いていない=得票数も少ないはず=NGT研究生の曲が3位以上になる可能性は皆無、と単純に結びつけてしまうのです。

 数式を提示され、「NGTの曲が奇数順位だけに入り,研究生の曲が3位になる確率」は1260回に1回と言われたらビビってしまう人もいるかも知れません。しかし(繰り返しになりますが)数字は嘘をつきませんが、人はその扱い方を誤ります。この場合、研究生曲が上位にくることがおかしいということが前提になっているのでこのような数値がでるわけです。

 上述したように、研究生曲と正規メンバーの曲を別個に考える必要はとくにないわけです。そうするとベストテンにNGT曲が5曲入った場合、それが奇数順位だけに入る確率の数式は(5/10)×(5/9)×(4/8)×(4/7)×(3/6)×(3/5)×(2/4)×(2/3)×(1/2)×(1/1)=14400÷3628800=0.00396825396となり、252回に1回の確率となります。別にありえない数字じゃないでしょ?

 1万歩譲って、1260回に1回という数字を受け入れたとしましょう。しかしそれは、単に1260回に1回の出来事が起こったに過ぎないのです。それをそのまま「捏造順位である」と結びつけることはできません。

 著者が再三に渡って引用する『PRODUCE48』の場合は、最終審査を受けた20人の得票数がすべて「445.2178」の倍数になるという「ありえなさ」(追記:これはもう見たこともないような桁数の数字に1回の確率になります)に加えて、そうした操作をできるのは運営側だけなので得票数が捏造されていると結論づけることができます。たとえば、ある富豪がすべての候補者に「445.2178」の倍数の票を積んだとしても、他の人の票をコントロールできない限り最終得票数がそのような数値になることはありえませんからね。


 さらに言えば、「445.2178」の倍数になっているというのは得票数が弄られていることの証拠にはなりますが、順位が弄られていることの証拠にはなりません。まあ、「数字を弄っているくらいだから順位も弄ってるんでしょ?」と考えるのが自然なことではあるのですが。でもそこに行くにはまた別の根拠が必要です。しかるに、この著者はそうした手続きを何も踏まず「ありえない=捏造順位」と単純に結びつけてしまうのです。

 まして、『PRODUCE48』の「ありえなさ」と、リクアワでの「ありえなさ」は、ありえなさのレベルも質も違います。ベストテンに入ったNGT曲がすべて奇数順位に入ったというのは、それが252回に1回にせよ、1260回に1回の確率にせよ、単にそうした確率の出来ごとが起こったというに過ぎません。それを「捏造」と言うためには、さらに別の根拠が必要な筈です。

 

 NGT曲がベストテンに入る確率にしても同じです。著者は、「実人気を考慮すれば,正当な投票で研究生の曲以外のNGTの曲がベストテンに4曲以上入る可能性はほぼ皆無」と言います。ここでも実人気がない=順位が低いはずと単純に結びつけてしまうのですが、しかしリクアワでNGTの順位が高いってのはいくらでも他に説明のしようがあるわけです。

 たとえば、2017年でもそうだったように、そもそもNGTは楽曲数が少ないのでファンの票が集中しやすいとも考えられます。持ち歌の数が少ない研究生が上位に来やすいのと同様に、キャリアが浅いグループだというのはリクアワでは必ずしもマイナス要因にならないわけです。

 「それでも、『overture』含めてトップ100に全曲入っちゃうというのは異常でしょ?」と読者は考えるかも知れません。たしかにその通りです。でも、たとえば「アラブの石油王」がなぜだかNGTを気に入っちゃった可能性だってあるし、どこぞの組織が動員をかけたとも考えられるわけです。どれだけ荒唐無稽な推論でも、無視できるほど小さいものでない限りその可能性を排除できません。だからこそ僕らは「柱王」とか「事務所砲」とか「レコード会社」や「自治体」の組織票だとか、そう言ってきたわけでしょ? それはそうした可能性を無視できなかったからです。


 それらの可能性をすべて排除した上で、はじめて「捏造順位であると断定してよい」という言葉が使えるようになります。(追記:シャーロック・ホームズだって言ってるじゃないですか。「ありえないことをぜんぶ排除してしまえば、あとに残ったものが、どんなにありそうもないことであっても、真実にほかならない」、と)

 

 しかるに、この著者は、そうした他の可能性を排除する合理的な根拠を何一つ提示していません。ここで著者が言っているのは、煎じ詰めれば「研究生が3位に入るなんておかしい!」「ベストテンにNGTが5曲も入るなんておかしい!」ってだけのことです。

 このような論文を掲載する紀要の見識を疑います。それはこの論文が「不正行為」を訴えているからではなく、学問的な手続きをロクに踏んでいないからです。こんなものを学術論文とは呼びたくありません。

 

NGT論文について

NGT論文に対する反論(簡略版)

NGT論文に対する反論その3(論理破綻)