ファングッズとしての美術展(「新海誠展」国立新美術館) | 想像上のLand's berry

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言葉はデコヒーレンス(記事は公開後の一日程度 逐次改訂しますm(__)m)


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「ファングッズとしての美術展」(「新海誠展」国立新美術館)

 アニメの展覧会というのは評価が難しい…と、いつも思う。なぜなら、そこには「ホンモノ」がないから。むろん、実際に使われた「原画」とか「絵コンテ」とかは出展される。仮にデジタル以前のものであれば、セル画なんかも展示されるだろう。でも、アニメにおける「ホンモノ」とは、なにより出来上がった作品自体だ。そしてそれは、展覧会よりもむしろ映画館(ないし自宅)で見られるもの。その意味において、アニメの美術展には「ホンモノ」は存在しない。その点が、絵画展とは大きく異なる。

 果たして人は、ここに何を見に来るのだろう。たしかに、制作過程などは興味深い。でもそれは、ファンならば設定資料集などですでにみたことがあるものだ。知的好奇心もさることながら、むしろ、作品世界にもっと触れていたいとか、その空気感を味わいたいとか、そうした心理に近いのかも知れない。そう考えるならば、アニメの美術展とは、いわば「ファングッズ」のひとつとして捉えられるだろう。

 国立新美術館(新美)で開かれているこの展覧会が、他のアニメ展と異なるところがあるとすれば、それは作品のなか…『君の名は。』のなかに、他ならぬ新美が登場するということ。実際、劇中に登場した「郷愁展」の糸守展示が再現されているコーナーも存在する。展覧会を出れば、目の前には2人がお茶をしていたカフェだ(ぼくは2人が座っていた隣の席に座った)。この展覧会には、「聖地巡礼」という意味も含まれている。

 展示自体はどうだったか…

 思ったのは、絵にばかり偏りすぎかな…ということ。たしかに、新海さんの特徴として、あの美麗な背景を挙げることができる。でも、ぼくはもうひとつ、カット割りのリズムにも特徴があると思っていて、その点が今回の展覧会では全然出てこなかった。それこそ、設定資料集では出来なくて(映像では出来るかも知れないけれど)展覧会で出来ることだったはずなのに。なんだろうな…もう少し「生きた」展示に出来たと思うんだよね。​