初代「魔法少女」 | 想像上のLand's berry

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言葉はデコヒーレンス(記事は公開後の一日程度 逐次改訂しますm(__)m)

 今さらすぎる話。初代「魔法少女」サリーちゃん。

1.
 原作はわりとあっさり終わっているこの作品。同1966年に放映開始されたTVシリーズはオリジナルキャラクターなども交え、109話に渡って続きました(第17回まではモノクロ)。初代だけあって、魔法少女ものの定型が定まっておらず、色々とユルいところが…

 たとえば魔法。この手のものでは通常、何らかのアイテムなり呪文なりが、魔法を使うために用いられます。魔法世界と接続するための、一種の媒体が必要なのですな。ところがサリーちゃんの場合、簡単な魔法ならウインクひとつでオッケー。「マハリクマハリタ」とかも別に言いません(≧∀≦)ノ

 テレポーテーションも、時間停止も、怪我の治療も、なんでもござれです。まあ…後期になると色々な制約が設けられていくのですが、それは「魔法少女もの」の定型が築かれていく過程と見ることも出来るでしょう。

 ツッコミどころも結構あります。

 「魔法少女」と言えば「変身!」なわけですが、サリーちゃんが変身する機会はそう多くはありません。シリーズを通して数えるくらいしかない。その代わり、弟分のカブはしょっちゅう変身するんですけどね。

 それはともかく…

 その数少ないうちの一回に、こういう話があります。ある会場に向かったサリー、よし子、すみれの3人。ところが、会場の入り口には「オコサマオコトワリ」の文字。憤る3人。ここでサリーちゃんは「ちょっと待ってて」と言ってその場を離れるのですが、再び現れた時には大人の姿に変身しています。

 ここでのよし子ちゃんの反応が可笑しい。

 よ「あなた、サリーちゃんなの?」

 サ「ええ、そうよ」

 …え〜、なにが可笑しいって…だって、よし子ちゃん、サリーちゃんが魔法使いだって知らないんですよ。まず、その大人がサリーちゃんだって気付くのが変だし、よしんば気付いたとしても、身長も頭身も変わってるんだから、普通なら、「ちょっと待って」となる筈でしょう。ところが、とくに問題にもならず、話はそのまま進んでいきます。

 他の回でも、機関車を学校にテレポーテーションしたり、サリーとカブは様々に魔法を使います。ところが、まわりは一瞬、「あれ?」ってなるだけ。とくにそれ以上追及されるわけでもありません。目の前で不思議なことが起こっても、別に気にしないんですね。彼らは。見ようによっちゃ、めっちゃIQの低い世界です(≧∀≦)ノ

2.
 初期だけあって、作りもぬるいところが多々見られます。作画も微妙にカクカクしてますし、カット間のつながりがあまり意識されていないのか、切り替え時に違和感があります。 まあ、そのゆるさが良いっちゃ良いんですが(* ̄艸 ̄)

 脚本も正直、当たり外れがあるように思います。良エピソードもあるのですが、「う〜ん…」となってしまうエピソードもあって。時代的なものもあるでしょうが、妙にお説教くさかったり、劇的効果を作るためだけの悪者みたいのが出てきたり…かと思えば、あっさりと改心しちゃったりね。

 良いところもあります。初期作品はルーニーテューンズ(バックスバニーなど)の影響があるようにも思いますが、でも、今みたいにアニメアニメしていないというかな…。まあ、TVアニメが始まったばかりの時代(鉄腕アトムの放映開始が1963年)なんで当然なんですが。

 現代のアニメって、文脈に乗っかってると言うか…先行のアニメ(やマンガやラノベ)を見て作られたような作品が多いように思います。それはそれで面白いんですが、ここにはもっとプリミティブな魅力があるんですね。先行作よりはむしろ、当時の世相がダイレクトに反映されていて、それがかえって新鮮です。

 たとえば、ある回では、「交通事故」が問題になります。高度経済成長期で、車がどんどん増えていたんですな。歩道橋をかけてもらうにも、役所ではたらい回しにされるばかり。そこで、サリーちゃんは夜中にこっそりと歩道橋をかけちゃいます。もちろん魔法でね。ところが、お父さんである魔法の国の国王に反対されてこれも失敗。「なんでもかんでも魔法で解決しちゃいかん」というわけです。

 サリーちゃんたちは次に、風船に手紙をくくりつけて世界中の人に助けを求めます。ここでアメリカからソ連から中国から…って、様々な国の人が素直に応じてくれるところがわりと感動的なんですが。ひとつ思ったのは、この時代はまだ、日本は「海外から援助してもらう国」だったんだな…ってこと。固定観念というか…そういう話って、歴史としては知っていても、いまいちイメージが湧かないところがあって、「ああ、こういう想像力は今の日本では失われているんだなあ…」と。

 この回はまた別の方だったんですが、脚本で特筆すべきは雪室俊一さん回でしょう。イヤな奴が出てきたりして、正直ちと肌に合わないところもあるんですが…スケール感がありつつ、妙なテーストの話が多いです。大仏が歩く話とかね。印象深い回が多かった。

 それから…辻真先さん回は、作りがきちんとしていて安心して見られる感じですね。あとは…芹川有吾さんが別名義(浜田稔、金子健)で書いた回も重要かなと…( ..)φ