
「とある啓蒙家の旅程について」
街はカイユボット。黒い人影。砕け散ったガラスの上を歩いていく。西から差し込む陽射しに焦がれ、ボクは真夜中の海を渡る。歩くわけでなく、泳ぐわけでもなく。辿り着いたのはイラクサ生い茂る絶海の孤島。霧の中に浮かび上がる廃屋。どこか遠くにキジバトの声。ボクは虫にも刺されない。
ここは地の果てアルジェリア。今のは説明じゃなくて歌ったのです。歌とは何ですか。説明してください。りおんさんに3000点。博多の誰かが言いました。
夕立の色が変わって、雲が散り散りになっていく。空にはまあるいお星さま。科学の子、ボクにはどこにも行く術がない。その代わり、垂直に梯子を立てた。空にぽっかりと空いたあの穴に向かって、どこまでもどこまでも続いていく梯子。だけどボクは登らない。ゴンドラのエレベータに腰かける。
ここは地の果てアルジェリア。繰り返すことに大した意味はありません。どうせ二度しかない人生です。ボクはいま変なことを言いました。大変なのです。
垂直だった梯子は、いつしかなだらかになり、重力の均衡が訪れる。ボクはゴンドラを降り、梯子に沿って滑るように進んでいく。恒星風を孕むソーラーパネル。加速する。やがて上下は反転し、上が下へ下が上へ。ボクはイカロスのように地面へまっしぐら。降り立ったそこは、何もない荒野。空には青い月。
冷えは冬ますね。いや、暑は夏いですよ。