味園ユニバース
2015年日本、103分
監督:山下敦弘
主演:渋谷すばる
概要
関ジャニ∞の渋谷すばるが初めて単独で映画主演を果たした人間ドラマ。渋谷がふんした歌う以外の記憶を喪失した男が、とあるバンドマネージャーの少女と関わりを持ったことで過去と向き合い、自らを見つめ直す姿を描く。彼と行動を共にするうちに自身も変化していくヒロインには、『ヒミズ』などの二階堂ふみ。『苦役列車』などの山下敦弘監督が、大阪のサブカルチャースポットとして知られる味園という土地を舞台にユニークなドラマを作り上げている。(シネマトゥデイより)
感想
世の中には、文芸的な映画というものがあると思う。なにか、小説を読んでいるような気分にさせる映画だ。
もちろん、小説のスタイルというのも時代ごとに変わるわけで、その時代ごとに、そのトーンや主題も異なってきてはいるだろう。でも、文芸的な映画=文字が先にある映画ってのは、そうした違いにも関わらず、常に存在してきた。
邦画の場合は特にそうだ。こうした文学性の強さ(文字優先)は、ある意味では邦画の良さでもあるわけだけれど、同時にまた、映像表現という映画の本質を考えた時に、ボクが少しだけ物足りなさを感じる部分でもある。
この映画もまた、そうした種類の匂いを発している(別に原作ものでもないのにこういう映画になってしまうってのは…ボクは「邦画の病」だと思っているんだけれど)。
良い画がないわけじゃない。むしろ、撮影のレベルは高いと思う。特にフィックスでは、いくつか心に残る画がある。ただ、やっぱり、状況説明のための画とか、心理描写のための画とか、~のための手段になっている画がすごく多いんだな…。
そうしたところが文芸的(文字が先にある)映画ってことを感じさせるわけで。とくに、スイカの種を飛ばすシーンは、いかにもいかにも過ぎて、ちょっと頂けなかった。文字を映像に落とすためのノウハウとか、~のための画とか、そうしたものがこびり付いて剥がれないこのどうしようもない息苦しさ!
これをぶっ壊すことができるのは歌だとボクは思う。歌は文字では表せられない。ボクはそれを期待してこの映画を観に行ったんだ。歌によってなにか訳わかんない力が生まれて…なにか訳わかんないんだけれど、胸を焦がすようなね。そんな映画を。
だけど、ダメなんだな…この映画はどこまでも文字の映画だった。それもなんか、ただのノスタルジー風味の…大したこともない話で。それをさらに映画に翻訳する形になっているから、もう二重にダメダメなんだよね。
たとえば、クライマックス近くの場面は、すごくバカっぽいんだけれど、そのくせ別に力強くもないと言うか…。100歩譲って小説だったらその展開通るかも知れないけれど、映画だと、もうただ単にバカっぽいだけだよね…みたいな。
この映画は、もっと歌の力を信じても良かったと思う(正直、同じ山下監督でも、乃木坂の『君の名は希望』のMVの方が遥かにエネルギーがあったよ)。
ただ、歌自体が悪いってわけじゃない。主演の渋谷すばる君の歌には、それなりに説得力がある。圧倒的…というわけじゃないんだけどね。この歌で人が引き付けられるってことに、ちゃんと納得できる。正直、うらやましいよ。ボクは歌えないからさ…。
彼、ジャニーズなんだってね…って最近、ジャニーズ主演の映画ばっかり見ている気がするな(^_^;)>
それから、今度こそ本当の二階堂ふみ!(笑)
やっぱり、なかなか良い役者さんだと思った。ときおり棒に感じるところもあるんだけれど、目がいいね。まなざしに強さがある。
☆☆☆(3.0)
物語☆☆
配役☆☆☆
演出☆☆★
映像☆☆☆★
音楽☆☆☆☆
(今作からYahoo!映画のレビューに準じて詳細評価も追加)