『モンスターズ・ユニヴァーシティ』
MONSTERS UNIVERSITY
2013年アメリカ、103分
監督: ダン・スカンロン
概要
ディズニー/ピクサーの代表作である、『モンスターズ・インク』のシリーズ第2弾にして前日譚。人間の子どもたちを怖がらせるのが仕事のモンスター・コンビ、マイクとサリーが学生時代に繰り広げた冒険を活写する。メガホンを取るのは、『101匹わんちゃんII パッチのはじめての冒険』や『カーズ』などに携わってきたダン・スカンロン。幼い頃のキュートなマイクのビジュアルや、舞台となるモンスターたちが通う大学のユーモラスな雰囲気も見どころだ。(Yahoo!映画より)
感想
ストーリー自体は、とても古典的なものです。冴えない少年が大学に入って…というもの。どういう方向に話が進むか、もう最初の時点で分かってしまいます。たとえば、水戸黄門的な「お約束」を忠実に守ったかのようなプロット。それぞれのキャラに割り振られているキャラクターも、出てきた瞬間に「あ…こういうタイプね」と分かってしまいます。
こうした方向性は、すでにトイストーリー3の時点で明確に見えてきていたものです。王道まっしぐらの成長物語。これに物足りなさを感じる人も居るでしょう。これは、かつてのピクサー映画のような、まずアイデアがあり、そこから自動的に物語が展開していくような映画(トイストーリー1、2、モンスターズ・インク、カーズなど)ではなく、まず古典的なプロットがあって、そこに既成作品のキャラクターを当てはめていくやり方の映画(トイストーリー3)です。
『モンスターズ・インク』のように、子どもが見て純粋に楽しめる感じではないので、その点は少しマイナスですかね。ただし、ピクサーのスゴいところは、古典的なものを徹底的に煮詰めていくところです。煮詰めて煮詰めて、最終的に自分たちのキャラクター/世界と完全に溶け合うところまで煮詰めてしまう。そこまでやれば、もはや違和感は存在しなくなります。
だけど、やっぱり何より特筆すべきなのは、映像面でしょうな…冒頭、『ブルー・アンブレラ』という短編が上映されるのですが、まずこれが超出来です。これだけでも見に行く価値はある。ボケ効果を始めとして、まさかピクサーがこれほど「写真的」な効果を用いてくると思っていなかったので、かなり驚きました。
本編に入ると、お馴染みのピクサーらしい映像になるのでホッとするのですが、でも、よ~く見ていると、じつはとんでもない技術があちこちで使われているのが分かります。とくに照明効果。グローバル・イルミネーション(全体照明)の威力は凄まじいものがあります。「自然」なんてもんじゃない。あれはもう、あれだけでひとつの「美術」ですよ。
やっていることは、計算計算…の筈なんですが、それを徹底的に突き詰めるだけで、あれだけのものが出来てしまう。そして、それを「アーティスト」がしっかりと自分のビジョンと突き合わせていく。この映画では、とにかく照明効果に注目すべきかも知れません。
いくらCGと言えど、描くものの精度には限度がある。だけど、照明効果やカメラの効果(ボケなど)を徹底的に用いることで、非常に自然なもの…まるで、そのCGの世界が実際にそこに存在するかのように…見せることが出来る。この映画は、それを証明しています。
☆☆☆☆★(4.5)