「美とは触れえないものに触れることである」
アイドルとは決して手の届かないものだ。届いてしまったら、それは、その瞬間、アイドルではなくなる。そして、アイドルにとっても、恋愛は決して手の届かないものだ。届いてしまったら、その瞬間、自身がアイドルでなくなる。
この命題をどう考えるか。
アイドルという概念は、この二重の不可能性に支えられている。すなわち、手の届かないもの自身に、手が届かないものがあるということの。かくして、決して触れ得ないもの同士が、「触れ得ないということ」それ自体によって、相携えていくという地平が切り啓かれる。
「美とは触れえないものに触れることである」。それは遠くにあるものの近さ、近くにあるものの遠さの中にある。それは、過ぎ去るものの内に永遠を見出すということと、多かれ少なかれ類比的である。
(すなわち、アイドルとは、その概念それ自体によって、「美」を生み出す機関である)