「美とは触れえないものに触れることである」
美は完全性に比せられる。美とは美であって、それ以上でもそれ以下でもあり得ない。
たしかに、美の下位カテゴリーは存在する(e.x.かわいい、かっこいいetc.)。しかし、それはあくまでも美的なものであって、美そのものではない。美は、それ自体、自足したものであり、それ自身で全てを備えている。
端的に言って、それは触れること(=損なうこと)の出来ないものである。なぜならば、触れるとは、それ自体に暴力の契機を含むものであり、美は損なってしまったら美ではなくなるからだ。
美という概念が、基本的に視覚と聴覚とに充当されることも、この観点から理解できる。その2つは、対象を損なうものではないからだ。
しかし、たしかに我々は(視覚/聴覚/心によって)美に触れる。触れつつ触れられる。触れえないもの(すなわち、完全なもの)に触れた時、それは美と呼ばれる。