ニッポニアニッポン(阿部和重) | 想像上のLand's berry

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言葉はデコヒーレンス(記事は公開後の一日程度 逐次改訂しますm(__)m)


『ニッポニアニッポン』
阿部和重

2001年

概要
 著者は、渋谷を舞台としたプルトニウムをめぐる攻防を刺激的に描いた『インディビジュアル・プロジェクション』で注目を集めた「J文学」の旗手。第125回芥川賞候補作となった本書は、国の天然記念物「トキ」をテーマに、日本という「国家」の抱える矛盾をあぶりだした中編小説だ。

 17歳の鴇谷(とうや)春生は、自らの名に「鴇(とき)」の文字があることからトキへのシンパシーを感じている引きこもり少年。日本産のトキの絶滅が決定的であるにもかかわらず、中国産のトキによる保護増殖計画に嬉々とする「欺瞞」に違和感を抱いていた春生は、故郷を追われたことをきっかけに「トキの解放」を夢想しはじめる。その選択肢は「飼育、解放、密殺」のいずれか。「ニッポニア・ニッポン問題の最終解決」という自らが描いたシナリオを手に、スタンガン、手錠、催涙スプレーで武装した春生は、やがて佐渡トキ保護センターを目指す…。

 「俺を一人にしたことを、この国の連中すべてに後悔させてやる」と決意する春生は、拠るべき場所もなく孤独にさいなまれながら生きる現代人の「いらだち」を増幅させた人物。現実と虚構との境界が崩れてしまった若者だ。本書がきわめてスリリングなのは、その虚構への扉が読み手にも開かれている点だ。春生が情報収集するサイトは、ほとんどが現実に存在する。「虚構」の象徴とされるインターネットが、本書では読み手と春生をリアルにつなぐ重要な接点となっている。読み手をたえず挑発し、いつしか作品世界へと巻き込んでしまう快作だ。(中島正敏/Amazon.co.jp)

 俺の人生に大逆転劇を起こす!ネットで武装し、暗い部屋を飛び出た引きこもり少年は、いかにしてニッポンに叛逆したのか?国家の象徴トキをめぐる革命計画「ニッポニア・ニッポン問題の最終解決」とは何か?研ぎ澄まされた知的企みと白熱する物語のスリルに充ちた画期的長篇作品。(Amazon.co.jp)

感想
 な~んか、つまんなかったすね~…たとえ(捻じくれ曲がった)ニッポンに対する叛逆と読めたとしてもですよ、まったく上手くいっていない。そもそも、主人公がロボットみたいで感情移入できませんし、心理描写にも状況設定にも納得いかない。国家の矛盾がどうとか虚構がどうとかグダグダと下らない解説が↑に書いてありますが(←解説に牙を向く人-笑)、もう、それより遥か手前の段階で、これは作品として昇華できてないんですよ。(ろくにフィールドワークもせずに、ネット記事を「引用」するだけで済ましていることを、ただの調査不足と読まないであそこまで深読みしてくれるんですからボロいもんです)

 阿部さんは群像劇を描くことにかけては優れている人ですが、『ミステリアスセッティング』や本作のように、ある一人の人物を主人公として描こうとすると失敗するみたいですね。それは、おそらく登場人物に対する作者自身の距離感の問題。常にどこか離れたところから登場人物を見ようとするタイプの作家のようで、その特性は多くの人物を一斉に動かすのには都合が良くても、誰か一人の視点から物事を描くってことは向いていないように思います。ま、これは当然(amazonの中古でも)1円ですな←手厳しい(笑)