『ロンドン五輪閉会式』
う~ん…何から話そうかな…twitterでも散々書きましたが…その異変が起きたのは、ユーリズミックスのアニー・レノックスが登場した場面からでした…<あ、話し出した…>と思ったんですよね。「ショーはまだ続いていますが、選手の言葉を紹介していきましょう」…悪夢はこうして幕を開けたのです。(詳細は→rocketnews24)
もっとも典型的な例をひとつだけ紹介しましょう。Pink FloydをカヴァーしたEd Sheeranの場面です。gorin.jpでは担当者が「これは流石に酷い」と思ったのか、実況なしバージョンに差し替えられています。(MUSEの場面も同様)
Ed Sheeran
gorin.jp版(実況なし:最初にCMが入ります)→http://www.gorin.jp/highlight/20120812.html?bctid=253749986002
この2つを見比べてみれば、彼らが「何を」したのかが分かるでしょう。まず、画面から伝わってくる緊張感が全く違いますし、1分20秒辺りで入ってくるNick Mason(Pink Floydのオリジナルメンバー)のドラム(鳥肌もの!)が完全に台無しにされています。このようにスポイルされたものを見て、「詰まらなかった」とか言われても困りますなと…
Beady Eye(元オアシス)やTAKE THATのライブも雰囲気が良かったのですが、こちらは微妙にお喋りが少なかったせいか、gorin.jpでも元のバージョンのままアップされています。残念。逆にここでもしゃべり倒してくれれば良かったのに(笑)
TAKE THAT(冒頭と、もっとも雰囲気が良い花火の場面でお喋りが(;一_一))
Beady Eye(こちらは一番良い所でNHKのスイッチャ―が…)
『スポイル』
今回の閉会式、テーマは「英国音楽のシンフォニー(A Symphony of British Music)」ということで、世界中のUK音楽好きの人々が待ち望んでいた閉会式でした。
ボクがブリット・ポップの子だったというのは、このブログでも何度か書いていますが(→http://goo.gl/6DNsf→http://goo.gl/sL9Ud)、そんなボクにとっても、リアムが出る!スパイスガールズ再結成?TAKE THATも出るらしい…と、刻々と報じられるニュースに否応もなく期待が高まっていたのです。
たとえば、この閉会式に登場したアーティストのうち、このブログで曲を流したことのある人/グループだけを挙げても↓これだけいます。(あれ?MUSEって流したことなかったっけ(^_^;)>)
Blur(テープのみ)
とにかく、贅沢なメンバーでした。(まあ、一番出て欲しかったblurは閉会式記念コンサートの方に出て、こちらではテープだったんだけどね)この贅沢な閉会式をスポイルしたのがNHKの実況だったのです。一体全体、彼らは何を考えているんでしょうか。
この閉会式自体が詰まらなかったという意見も多いようですが、ボクもそれには一部同意します。やや中だるみしていたのは事実でした。しかし、演奏の最中にアナウンサーが話すというのは有り得ません。たとえば、映画の上映中にずっと話し続けている人が居るようなもので、それは映画自体の評価とは無関係に許容できません。映画自体が詰まらなければ映画の最中に雑談しても良いんだという理屈にはならない筈でしょう。これが、たとえばサッカーならば、音声を切ってしまえば済む話ですが、音楽ではそういう訳にはいきません。音楽では音声こそが命なのです。彼らはコンテンツそのものの本質をスポイルしてしまったのでした。
そもそも、五輪はスポーツの祭典ですが、開会式や閉会式というのは、その国の文化というものが強く押し出されます。今回、開催国イギリスは「ブリティッシュ・ミュージック」という大衆文化をテーマにしてショーを作ったわけです。当然、それは尊重されなければなりません。演奏の最中に喋るなど論外です。彼らもたとえば、英国国歌や五輪賛歌などでは黙っていました。しかし、ロックの演奏中には話し出すのです。大衆文化に対する理解がそもそも決定的に欠けていますし、彼らがしたことは、英国音楽/文化に対する、そして音楽そのものに対する冒涜とも言える行為でした。
(あとで動画をチェックした)BBCの中継では、演奏の場面ではまったく言葉を挟まずに(演奏終了後、一拍を置いたくらいの)非常に良いタイミングでアーティスト紹介を行っていました。そこには、演者に対する敬意が感じられました。NHKときたら、演奏中にアーティスト紹介はするわ、挙句の果てには紹介すらしないでしゃべり倒すわで、一体全体、アナウンサーとしてどういう教育を受けてるんだろうかと疑問に思います。
彼ら(日本のTV局)はスポーツ中継で良く見られるように、何でもかんでもドラマにしてしまいます。その場で何が起こっているのかを噛み砕いて伝えるのではなく、人間ドラマという誰にでも理解できるものに翻訳してしまうのです。何もかも平均化して、興味がない人でも「楽しめる」ように番組を作る。そのようにして、彼らはこれまでもあらゆるコンテンツをスポイルし続けてきたのです。ノウハウという名のもとに壊されたゴールデンに進出した深夜番組。原作の映画化。etc.etc...
大体、閉会式は「UK音楽で行く」という情報は早くからあったわけですから、少なくともアナウンサーは事前に勉強しておくべきでしょう。まったく間の悪いアナウンスは音楽的センスや文化的教養の問題だとしても、誰が演奏しているのかも紹介できないのは単なる勉強不足です。日本のアナウンサーというものは、ここまで質が低いのかと思うとゾッとします。彼らはオアシスのリアム・ギャラガーにさえ一言も触れず、五輪公式ソングを歌うMUSEに至っては、何の紹介もせずにただただ雑談を続けたのでした。がっでむ!