u23スペイン戦雑感 | 想像上のLand's berry

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言葉はデコヒーレンス(記事は公開後の一日程度 逐次改訂しますm(__)m)


ロンドン五輪男子サッカー:グループステージ第1戦

日本u23 1-0 スペインu23

「ボールを狩るという守備」

 立ち上がりから、日本は積極的な試合運びを見せました。前線は果敢にボールをチェイスし、守備陣はしっかりと相手を掴まえ、試合の主導権を握ったのです。スペインは日本の情報をほとんど持っていなかったのでしょう。この展開に驚いてしまい、有効な手立てを見出すことが出来ませんでした。

 実のところ、この試合にはモデルとなる試合がありました。先日のEURO選手権準決勝のスペイン-ポルトガル戦です(→http://blogs.yahoo.co.jp/flowinvain/31742477.html)この試合でポルトガルは、相手の守備陣に対して前線から積極的にプレスをかけ、そこを越えられると、自陣にリトリートして守備を固めるという2段構えの守備を見せたのです。スペインというチームは遅攻型のチームなので、これが可能なわけです。

 この守備は、バルセロナに苦杯を舐めさせられ続けてきたレアルマドリーのモウリーニョが昨シーズン辺りから編み出した戦術にも相通じるものです。(逆に言うと、ブロックを築いて網をかけるという現代サッカーの典型的な守備はスペイン/バルセロナには通用しません。なぜならば、彼らは、その網目を通す技術を持っているからです)。

 モウリーニョと(ポルトガル代表監督の)ベントは同胞ですし、ポルトガルの主軸C.ロナウドやペペ、コエントランはレアルの選手ですから、こうした情報は伝わっていたでしょう。そして迎えたEURO準決勝のスペイン戦で、ポルトガルはあわやというところまで王者スペインを追い詰めたのです。(最終的にはPK戦で敗退)u23日本代表の関塚監督を初めとするスタッフはこのEUROを視察していたようですし、当然、レアルの試合も分析していたことでしょう。この試合展開は、そうしたスカウティングの賜物だったわけです。

 また、u23日本代表は、前線からボールを追いかける時も、アタックに行く時と行けない時を判断して使い分けていたようでした。もちろん、90分続けて追いかけ続けることなど不可能なので、これは至極真っ当な判断だったと思います。こうしてスタミナを温存することによって、日本は90分間断続的にプレスをかけ続けることが出来たのです。

 何より特筆すべきは永井でしょう。そのスピードは圧倒的でしたし、スペインの選手も度肝を抜かれていたようでした。しかし、ここで指摘したいのは、そのdetermination(決心)です。この言葉を、ぼくは例えば、チャンスだと判断したらゴールへと迷わずに突進していくC.ロナウドなどに用いるのですが、永井の場合、それは「ボールを狩る」という決心です。通常、前線からの守備というのは、相手の選手にプレッシャーをかけ、自由にプレーをさせないことによって(=プレーの選択肢を狭め)結果として味方の守備を助けるというものです。東などはスペイン戦でもそのような守備を見せていました。しかし、永井は違ったのです。彼からは「とにかくボールを奪ってしまおう」という強い決意が見えました。

 その決心と、圧倒的なスピードによって、彼はピッチ上のハンター/獲物を狙う餓えた猛獣と化しました。スペインのDFはまさにヘビに睨まれたカエルのように、なすすべもなくボールを奪われ、常にビクビクしながらプレーをする羽目に陥ったのです。この試合で日本が(精神的にも)優位に立てた主な要因は、相手に恐怖を与え続けた永井のスピード&決心だったのです。

 ただ、欲を言えば、東にも同じような守備/気迫を見せて欲しかったというのはありますね。今の戦術では、むしろ東が2トップ気味に構えて、永井と連動して2+2でボールを狩りに行った方が効率的なように思います。そこが連動するようになると、日本はもう一段階上に行くことができるでしょう。

 また、この試合を見ていて感じたのは、「宮市がいればなあ!」ってことでした。宮市は、世界の度肝を抜いた永井と同等のスピードを持っています。宮市&永井の超速2トップ(あるいは宮市はサイドでも良いのですが)は考えただけでもゾクゾクします。宮市は元々DFだったので、ボールを狩ることも出来る筈ですしね。スペイン戦では永井の圧倒的なスピードによって優位に立てたわけですが、同時に、ピッチ上から永井のスピードが失われたらどうなるんだろう…つまり、怪我や出場停止によって永井が不在の場合、あるいは疲労によって交代した場合には日本の怖さは半減してしまうような不安も覚えました。たとえば、ここで宮市がベンチにいれば、同じスピードを持った選手で代替することができたのです。なんか、(色々事情があるとは言え)勿体ないことしたなと思いましたね。

 途中投入された齋藤は左サイドではイマイチでしたが、右サイドに入ってからは蘇りました。一方、この試合で出場機会を得られなかった宇佐美は日本が誇る天才ですし、世代を代表する選手ですが、少なくともこのスペイン戦で使うのはちと難しかったな~と思います。彼は守備に関してはほとんど貢献しませんからね。この試合では、とにかく相手にプレッシャーをかけることが出来る選手が必要でした。

 それから、同じグループのモロッコvsホンジュラスも観たのですが、事前の予想とは違い、ホンジュラスの方が手ごわいような気がします。モロッコはベランダ&タラウトが居ないとは言えタレント集団なのですが、そこまで怖い感じは受けません。むしろ日本が得意としているタイプのように見えます。一方のホンジュラスは一発がありますし、何より左サイドが強力です。ホンジュラスには要注意ですね。