picture伝達ゲームの構造1 | 想像上のLand's berry

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言葉はデコヒーレンス(記事は公開後の一日程度 逐次改訂しますm(__)m)


 そういや、今年もW大との合同演習があるようで、(ボクはもう学部の演習には出ていないので関係ないのですが)ゼミの後輩(http://blogs.yahoo.co.jp/flowinvain/31528747.html←この彼)が発表の準備に追われているようです。

 気が付けば、ボクが発表した折の記事を載せていなかったな~と。3年時と4年時と二回発表したのですが、今回は3年時の発表を載せます<(__)>

 発表時に実際に「絵かきうた」を流して書いたりしてもらったので、この原稿を読んだだけじゃちと意味不明なところもあるかと思います(^_^;)>



レジュメ↓(クリックで拡大します)
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 はじめに、今回の発表は言語全般や記号という現象一般を扱ったものではないことをお断りしておきます。また、ぼくはpictureという英単語を使いますが、これは絵画や写真、コンピュータ・グラフィックスなどを包括する単語が日本語に見当たらなかったためです。ここでは、絵画、写真、画像を含む二次元平面上の像を意味します。あらかじめご了承ください。

 ぼくは絵かきうたやいくつかの現象を手がかりに、記号によってpictureを伝達するという行為をある共通したルール体系をもつゲームだと捉えてみます。試しに、この体系をpicture伝達ゲームと呼んでみることにしましょう。ぼくは、このpicture伝達ゲームという体系において想定される3つのルールに基づいて、それらの分類を試みます。

1.絵かきうた

 鎌倉時代の昔から「へのへのもへじ」のような文字絵はあったようですが、絵かきうたというのは比較的歴史が浅いそうです。明治期に歌われるようになり、昭和期に入ると爆発的に流行しました。さて、絵かきうたと一口に言っても色々とあります。文字絵のように歌われる字の形から絵が浮かび上がってくるもの。言葉の意味する内容をつなげて絵にするもの。その両者が合わさったもの。多くの絵かきうたはこの三番目のタイプです。
 
 最初に皆さんにお手間をお掛けします。歌をお聞かせしますので、それに従って皆さんは絵を描いて見て下さい。レジュメのお絵かきスペースをご利用下さい。

(しんちゃんおえかきうた)

 さて、どのような絵ができたでしょうか。レジュメの右側にある絵かきうたが、この絵かきうたであることにお気づきになったのではないでしょうか。これを参照すれば、この絵かきうたは発信者の意図通りに描くことができます。何も参照せずに、この絵かきうたを聞いただけでは、発信者の意図通りに描くことは出来ないでしょう。これを描くためには、歌詞の言葉に合わせてどのような図形を描くべきかを知らなければなりません。しかし、それだけではまだ描けません。それぞれの図形をどのように配置するかが分からないからです。言ってみれば福笑いのような状態の絵になることでしょう。ですから、それぞれの言葉が意味する図形を配置するためのルールもまた共有されなければなりません。それぞれの言葉が意味する内容が共有され、それぞれの言葉の内容を配置するためのルールが共有され、初めて言葉によって絵を伝達するという行為が成立します。それ以前に僕はこれが絵かきうたであること、つまり歌に従って絵を描くというルールを伝えていますから、この絵かきうたによって僕が絵を伝えるにあたって、みなさんと共有すべきルールは三つあったことになります。
  
 すなわち1.記号を解読する方法、これは、このゲームのプレイヤーとして参加する(このルール体系自体を共有する)という合意だと考えられます。2.個々の記号が意味する内容、 つまり、記号が参照するものが発信者と受信者の間で一致すること3.個々の記号内容を配置する規則が発信者と受信者の間で一致すること。この三つを共有することによって初めて、絵かき歌によって絵を伝えるという行為が成立することになります。このルール体系を僕はpicture伝達ゲームと呼んでみることにします。

 さて、個々の絵かきうたはそれぞれ別のルールを持っています。たとえば、同じ「山」という言葉でも、どのような山を描かなければならないかは個々の絵かきうたによって違いますし、それを配置する場所もまた、個々の絵かきうたによって異なります。つまり、絵かきうたの場合には、絵かきうたであると聞いただけでは、共有すべきルールのうち、第1のルール(つまり、解読する方法)しか把握することはできません。また、個々の言葉に割り当てられた図形はそれ自体一種のpictureですから、まず初めに、これが共有されていなければなりません。また、個々の記号を配置する第3のルールは絵かきうたの歌詞(たとえば、「ぷくぅとふくれて」という部分や「ポコンととびだして」という部分)によってある程度指示されていますが、歌詞によるこの指示がそれほど有効なものでないことは、絵をお描きになったみなさんが良くお分かりだと思います。したがって、仮に第2のルール(記号が意味する内容)を共有出来たとしても、絵かきうたの意図する絵を歌詞のみで伝えるのは困難だと言わざるを得ません。実際に絵を描く過程が提示されることによって、受信者に記号内容と記号内容を配置するルールが共有されます。絵かきうたはpicture伝達ゲームとして、もっとも原始的なものだと言えるのかも知れません。受信者があらかじめ完成する絵を知っていなければ、絵かきうたの絵を発信者の意図通りに描くことは難しいのです。

2.お絵かきロジック
 さて、言葉のみでpictureを伝達する可能性をもう少し探ってみましょう。将棋の名人はそこに盤がなくても将棋を打てると言います。これは脳内将棋と呼ばれるものです。将棋の局面を二次元の絵のように考えてみると、この脳内将棋は言葉のみでpictureを伝達していると考えられます。なぜ、そんなことが可能なのでしょうか。これは、両者が共有すべきルールがあらかじめ緻密に定められていることによります。最初に「これは将棋である」という言明がなされれば、ひとつめのルール、記号を解読する方法が定められます。将棋という言明のうちには将棋の初期配置が含まれますから、脳内将棋をpictureの伝達という観点から捉えた場合、これは将棋の初期配置というpictureがいかに変形したかを伝達していると言った方が正確かも知れません。また、(脳内将棋という体系の上では)将棋の駒の図柄と言葉は一対一対応で結び付いていますから、2つめのルール、個々の記号が意味する内容もあらかじめ定められていることになります。さらに、将棋の盤面は縦横9マスに区切られていますから、配置する場所を7四のような座標によって示すことが出来ます。ちなみに、将棋の場合、横の列を表すアラビア数字を初めに、縦列を表す漢数字を後によみます。これは先ほどの例でいう3つめのルール、記号内容を配置する規則があらかじめ盤面によって定められているということになります。こうして将棋の局面というpictureを言葉のみで描くことが可能になります。

 それでは、実験してみましょう。ここでは便宜上、将棋の盤面にはあらかじめ何も置いていないことにします。分かりやすくするために、マスを黒く塗ることにしましょうか。

ー(左上、中上、右上、中中、中下)

さて、Tという字が描けたはずです。こうして、第2第3のルールを事前に定めることで、今この場に存在しないpictureを、そのpictureをあらわす言葉を直接使わずに伝えることが出来た筈です。つまり、第2第3のルールを事前に定めれば、言葉のみによってpictureを伝達できると言えるでしょう。

 このように、マス目によって記号内容の配置を定めるというルールを応用したのがお絵かきロジックというパズルゲームです。お絵かきロジックの場合、2番目のルールである記号内容は黒く塗るという単純なものですが、3番目のルールは暗号化されており、あるマスを塗るかどうかは他のマスとの関係性において判断されます。これがお絵かきロジックのパズル的な謎解き要素になっています。