先日(4/28)放送された朝まで生テレビは
~25周年記念Special in 沖縄「激論!日本の安全保障とアジアの世界平和」~
東京のスタジオを離れ沖縄から放送されたこの回。
もちろん、沖縄基地問題が争点だったのですが、
ぼくが、難しいなって思ったのは、
沖縄では、感情的な論と現実的な論が、
混然一体となってしまっていること。
たとえば、識者として登場した筈の沖縄国際大学の前泊氏。
「米軍は出て行きなさい」と主張する彼は、さらに
「アメリカは武器を世界中に輸出するのを止めなさい」
(・・・それって、基地問題となんか関係あるんか・・・)
そして、その舌の根も乾かない内に、
「ロシアや中国と仲良くすれば良い」
(・・・ロシアも中国も武器輸出国・・・)
(しかも、ロシアは島そのものを返しちゃくれんのだが・・・
北方4島の旧住民のことなんか、どうでも良いわけか・・・)
こういうダブルスタンダードを平気で用いる、
言ってみれば、これは感情的な反基地/反米論です。
そもそも、彼は軍隊それ自体の存在をも否定します。
そして、沖縄が自衛隊を拒否するための理屈として、
「自衛隊が無い都道府県だってある」
などと、学者にあるまじきテキトーな発言をし、
瞬く間に森本氏(拓殖大学)に論破されていました。
(実際、Wikiを見れば誰でも分かることで、
奈良県を除く全ての都道府県に陸自の駐屯地があり、
その奈良県にも空自の奈良基地が存在しています。)
こういう人が居る一方で、(放送後のレスポンスを見る限り)
沖縄にも、米国や軍隊そのものを否定するのではなく、
現実的に沖縄の負担軽減を模索している人は居ます。
当の普天間基地を抱える宜野湾市長選の結果でも分かるように、
(あまり声は大きくないのですが)現実派も存外に多いのでしょう。
感情と言うのは確かに大事です。
しかし、こと政治においては、
感情が論理を覆うようになってはまずいのです。
たとえば、いくら貧困をなくしたいからといって、
単年で国家予算を何十兆も注ぎこんでしまったら、
国自体が立ち行かなくなり、貧困は却って増大するでしょう。
感情は、国家の政策を方向付けることは出来るでしょうが、
気持ちがそうであるということと論理とは別問題なのです。
しかし、感情に訴えかけてくる人には反論が困難です。
たとえば、前沖縄県知事の太田氏。
1925年の生まれで、沖縄戦にも参加した彼が、
「もう二度と沖縄を戦場にしたくないんだ!」
と涙ながらに訴えかければ、誰も反論できないでしょう。
(ぼくも身につまされましたし)
もちろん、沖縄を戦場にしたくないのは誰も同じです。
ただ、その論理が正しいかどうかは別問題です。
「米軍は出ていけ」と主張する彼が、
なぜ上述の発言に至ったかという背景を考えると、
つまり、「米軍がいるから」沖縄が標的にされ、
再び戦場になってしまうんだという理屈になります。
「この前の戦争と同じだ」と彼は言います。
第二次大戦のことを「この前の戦争」と表現する
古参株にそう言われれば、誰も反論はしづらいでしょう。
でも事実は違います。
沖縄が「この前の戦争」で標的になったのは、
「そこに軍隊が居たから」じゃありません。
「沖縄がそこにあったから」です。
(むろん、軍隊の抵抗によって被害が拡大したという側面は否定できませんが、
軍隊が戦いもせずに逃げ帰った満州の例などを考え合わせてみると、
米軍とソ軍という違いこそあれ、その判断は、なかなか難しいところです。
満州の場合、抵抗しなかったのに被害は甚大なものだったわけですから。)
米軍はミッドウェーでの勝利を転機として、
南方の島から攻略を始めましたが、
すべての島を攻略していったわけではありません。
たとえば、ラバウルなどは終戦時まで日本が保っています。
米軍は、戦略的価値と攻略によって払われる犠牲とを天秤にかけ、
攻略する島と包囲だけして孤立させる島とを分けたのです。
いわゆる「飛び石作戦」と呼ばれるものです。
ですから、ラバウルや台湾を終戦時まで放っておく一方で、
硫黄島や沖縄は多大な犠牲を払ってでも攻略したのです。
そこに軍隊が居たから攻略したのではありません。
(むしろ逆に、米軍は台湾に攻めてくるんだと思い込んでいた大本営が、
沖縄に居た第9師団を台湾に引き抜いてしまったくらいだったのです。)
実際、沖縄にいた第32軍が沖縄戦で壊滅した一方で、
台湾に所在していた第32軍の上級司令部(第10方面軍)は、
米軍に放っておかれたので終戦まで壊滅せずに残っています。
さて・・・話を少し元に戻しましょう。
「米軍がいるから」戦場になると思っている人は、たぶん、
未だに冷戦時代の発想から抜け出し切れてないんだと思います。
つまり、戦争をするのは常にアメリカと何処かだと思っている。
でも、実際、現代において近隣諸国が戦争を仕掛けてくるのだとすれば、
その対象は、明らかに日本そのものです。(例えば領土問題/資源問題)
その場合、下手に米軍基地なんか攻撃してアメリカを激怒させてしまうのは、
相手国にとっても全く得策じゃないのです。
むしろ、米軍が出て来ないように出て来ないように努力する筈でしょう?
だけど、やっぱり難しいなと思います。
そう思い込んでしまっている人は、
いくら条理を尽くして説明しても、
決して納得しないでしょうから。
多くの悲劇はそうして起きてきた。
そんな気がします。