詩的写真8 | 想像上のLand's berry

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言葉はデコヒーレンス(記事は公開後の一日程度 逐次改訂しますm(__)m)


Andre Kertesz
≪West 134th Street, New York≫


さて、今回もケルテスを取り上げます。


とは言え、この写真が「詩的である」と言い切ることは、

なかなか難しいかも知れません。

なぜならば、前回のディストーションとは違い、

きわめて、真っ当な手段で撮影されているからです。


したがって、この写真が「詩的であるとするならば」、

どの点がそうなのだろうかということを考えてみましょう。


まず、ひとつ明らかにしておかなければならないことがあります。

それは、「言葉」を持つ写真が即「詩」であるわけではないこと。


画面右上から当てられた強い光。

光と影のコントラスト。

静かな夜の街を歩く1人の男性。

これらは、この写真に言葉を与えていますが、

それは詩的要素とはまた少し違うものです。


では、何処に注目すべきか。

ここではリズムに注目してみることにしましょう。

この写真には、大きく分けて3つのリズムが存在します。


まず、画面に奥行きを与えるパースペクティブのリズム。

これは、下方から左上に向かって収束しながら緩やかに流れています。

(当然、)車や人、ごみ箱、柱がこの流れに従って配置されています。


そして、第2に柱と人が織りなす垂直線のリズムが存在します。

この1つは、画面中央をほぼ貫き、写真に力強さを与えています。


さらに、これら2つのリズムを制する3つめのリズムがあります。

画面右上からの強い光によって出来る種々の影のリズムです。

右上から左下に流れる、このシャープなリズムは、

緩やかな第1のリズムと、部分的に第2のリズムと絡み合い、

この写真全体の印象を支配しているように見えます。


そして最後に、このリズムを崩す要素が存在します。

それは、アーチ曲線を描く鉄筋です。

これは、第3のリズムにやや同調するように見えますが、

結局のところ、それに従わずに、そのリズムを変調させ、

ともすれば単調にもなりかねないリズムを崩しています。


また、右上で枠を作っているかのような曲線は、

第2のリズムを生み出す垂直の柱から発生し、

最終的には第1のリズムに同調するように、

90度以上の展開を見せています。

(この曲線はまた、著しい遠近感を生み出し、

 鑑賞者の視線を動かす役割も担っています。)

(さらに、シルエット化した力強いアーチは、軽やかな地面と対比され、

 まるで、地面が吊り下げられているかのような印象を与えています。

 これは、我々が持つ固定観念から地面そのものを解き放つでしょう。)


これらすべてが相互に絡み合い、ある統一したリズムを奏でている。

このリズムこそが、ケルテスが見出した「詩的なもの」だった。

そんな風に思えます。


次回もケルテスを取り上げます<(__)>