ゲルハルト・リヒター
≪Wolken≫Atlasより
ドイツの芸術家、ゲルハルト・リヒターにアトラスというシリーズがあります。
↑のように複数のイメージを集めたものを一枚に纏め、
それが、(ボクの持っている版では)700枚以上あるシリーズです。
(元来は、スケッチのために収集した写真のアーカイブで、
リヒターは、年々、イメージを追加していってるようです。)
膨大なイメージの連なり。あるイメージが次のイメージを引き出し、
さらに、そのイメージが次のイメージを引き出していく・・・
ここでは、一枚一枚の写真よりも、イメージの繋がりが大切です。
繋がっていくイメージのリズム・・・生、死、暁、空、雲、地、木…
単に繋がっていくだけでなく、ドキッとするような変化を生じる時もある。
エドマンド・バーグが、「詩人が詩を書くときは、
対象について<感じたこと>を記述することに集中する」
と述べる時、想定されているのは当然、叙情詩です。
しかしながら、詩には叙情詩以外に叙事詩も含まれます。
叙事詩では、主観的であるよりは、むしろリズムが大切になってきます。
リヒターのアトラスは、自らが撮ったものですらない写真も含まれており、
主観的という言葉は、まったく相応しいものではありません。
一方、ひとつひとつの言葉の繋がりがリズムを生んでいく詩のように、
アトラスは、膨大なイメージが律動的に長編の詩を紡いでいきます。
ボクは、アトラスを見ていると、ホメロスの『イリアス』を思い起こします。
(あるいは、ノヴァーリスの『青い花』か・・・)
もちろん、アトラスは物語ではないので、
厳密には叙事詩とは言い切れないかも知れません。
では、次回は叙事詩編の続きとして、
クーデルカを取り上げたいと思います<(__)>