『カポーティ』
CAPOTE
2005年アメリカ、114分
ベネット・ミラー 監督
フィリップ・シーモア・ホフマン 主演
概要
文学界に名を残す作家トルーマン・カポーティが、ノンフィクション小説の名作「冷血」を書き上げた6年間に迫るシリアスな伝記映画。実在した人物、トルーマン・カポーティを演じたのは、本作で第63回ゴールデン・グローブ賞主演男優賞を受賞したしたフィリップ・シーモア・ホフマン。脇を固めるキャストもエド・ハリスやクリス・クーパーといった実力派ぞろい。フィリップ・シーモア・ホフマンが甲高い声でカポーティ成りきる名演は必見。(Yahoo!映画)
感想
どことなくシュールでユーモラスな甲高い声。最初の印象は「カポーティって、こんな人だったの?」そんな感じ。ところが、しばらく見ている内に、そのシュールでユーモラスな雰囲気と現実のシリアスな世界とが結びついていく。説得力のある演出と丁寧な脚本によって、映画の中のカポーティが、地に足を付けて歩き始めるのだ。
物語は矛盾に充ちた心理を丹念に描写されたカポーティの視線を通じて紡がれていく。浮かび上がる2つの死、6人の命。そのひとつひとつに、ある時は目を背けながら、ある時は背を向けながら、それでも何とか向き合っていく。作家としての使命、人としての痛み。恐れと憐憫。偽りと本音。万華鏡のように複雑な心理模様を見せるカポーティ。可笑しみと哀しさ。あえて陰鬱一辺倒に作らなかったことで、かえって深々とした悲哀が胸に突き刺さる。傑作。