
今年の教室。
初めての教室。
同じ席に決めているフリをして。
ホントは君の傍に居たいだけ。
去年と同じ教室。
一体全体、同じものなのか。
あの席に、あの席に。
貴方が座っていた。
想起。
瞳のなか、現実を重ねてしまう。
一体全体、同じ教室なのか。
窓の外の風景。
低い目線。
光を浴びる草花。
春の陽射し。
クラスで出かけた池。
プリントに落ちた松の葉。
あの日、見上げた空。
見えない空を見てしまう。
幻想。
電車の音。
単調に繰り返される音。
変わらない筈の音。
一体全体、世界は同じものなのか。
窓を開けて聞いた音。
あの日、差しこんだ陽射し。
降り続いた雨。
一体全体、僕は幻を見ていたのか。
あれは9月の夕日。
永遠の夏の日。
あの空に消えていった想い。
あの美しかった世界。
追憶。
世界は全体、美しいのに。
ただひとつ、分からないこと。
ただひとつ、欠けていたもの。
僕が見ていた世界。
僕が感じていた世界。
世界は全体、美しいのに。
記憶のなかで、
あの世界に僕がいない。
感情だけがそこにあって。
世界は全体そこにあって。
僕だけが、そこにいない。
世界は全体、美しいのに。
僕が居ても、
あの世界は美しいのか。
それだけが分からなかった。
雨のなか、
世界は全体、美しいのに。
雨のなか、
僕だけがそこにいない。
現実。
背中に感じる君の存在。
窓の外を見て。
感じているのは君のこと。
春の日。
春の日。
いつか終わる季節。
今だけは、
君を感じていたくて。
雲をつかもうとして、
風をつかもうとして、
ため息だけが空へ昇っていく。
そんな日々ですら、
どこまでも愛おしい空の下。
いつかいつか、
いつかいつか。
僕のいない世界は、
こんなにも眩しくて。
僕のいない世界は、
こんなにも完璧で。
世界には。
感情だけが。
僕の痕跡で。
世界には。
感情の痕跡だけが。
刻まれて。
会いたくて。
会いたくて。
電車の窓から見えるのは、
あの日の空。
あの夏の雨。