『話してくれてありがとう』
精神科の先生に言われてすごくうれしかった。
フラッシュバックの話をした。
排泄物や排液のバッグをいくつもぶら下げて、病室から外来病棟へ車椅子で向かう。
病衣ははだけている。
オムツが見えているんだろうな。
排泄物のバッグはパンパン。
便は緑。
たくさんの外来患者の視線が注がれる。
恥ずかしい。
悲しい。
逃げたい。
でも自力ではどうすることもできない。
屈辱と恐怖。
バッグが落下した時の衝撃と音が蘇る。
周りの人たちのざわめき。
この時から、大きい音が苦手だ。
思い出すと動悸が始まって息が苦しくなる。
『こんなことがあって辛かったです』
時々涙が出て言葉にならなくなっても、先生はゆっくり聞いてくれた。
本当は辛かったって、やっと言えた。
『それは病院の対応が悪い。
尿とか便とか、医療者は慣れちゃってるから。
患者さんの、恥ずかしい気持ちや辛さを、もう少しわかろうとしなきゃね。
藤井さんみたいな繊細な人の話を聞くと、すごく考えさせられる。
話してくれてありがとう』
いや、ただ私は辛かったことを愚痴って、少し楽になりたかっただけだ。
こんな話して迷惑じゃないかな。
今更だよな。
結局いつも、迷って話さないことの方が多い。
トラウマの1つ。
話してみてよかった。
私の話を聞いてくれた。
うれしかった。
もっと早く話せばよかった。
心が少し楽になった。

