術後数日間は、レントゲンを、自分の病室で撮ってくれていた。
その日の朝から、リハビリも兼ねて、レントゲン室に車椅子で行くことになった。
看護助手が車椅子を押して行くことになった。
どうしても納得ができないことが起きた。
ベッドにぶら下がっていた、尿のバッグと便のバッグを車椅子にぶら下げた。
両方とも、夜からの排泄物でパンパンだった。
どうして、中身を出さないのか。
こんなにパンパンの排泄物の袋を、車椅子の左右にぶら下げて、遠くのレントゲン室まで行けと言うのか。
9時前だった。
看護師によっては、とっくに中身を出して、計量を済ませている時間だった。
外来病棟の端にレントゲン室はある。
院内には外来の患者が溢れていた。
その人混みの中を、首には排液バッグを2つぶら下げて、車椅子の排泄物バッグを2つ揺らし、点滴スタンドを握り、エレベーターに乗って、レントゲン室に向かった。
惨めだ。
恥ずかしい。
自分の排泄物を晒して、たくさんの目線を感じていた。
なんてひどい仕打ちなんだろう。
レントゲンは無事終わった。
『ありがとうございました』
看護助手に支えられ、車椅子に乗り、レントゲン室を出た。
その瞬間に、パーンと大きな音を立てて、車椅子にぶら下げていた排泄物の袋が落下した。
たくさんの人が一斉に注目した。
声を上げる人もいた。
恐怖だった。
ほらね。
やっぱり落ちた。
レントゲン技師が、何か起きたことに気付き、すぐに出てきて、私の車椅子を引き、レントゲン室の中へ避難させてくれた。
バッグの中身は少しこぼれたが、大惨事にはならなかった。
動悸。
優しい言葉一つもかけてくれない看護助手に車椅子を押されて、部屋へ戻った。
いい顔しいの私も、さすがに笑えなかった。
『すみませんでした』
不機嫌な年配看護助手の態度に負けて、なぜか私が謝った。
ベッドに横になってすぐ、日勤の看護師が来た。
とても優しい看護師だったので、状況を説明しながら号泣した。
『朝からバッグの中身を出さなかったのが悪いんです。
嫌な思いをさせてしまって、すみません』
と、代わりに謝ってくれた。