痛みでほとんど眠れていないので、朦朧としていた。
気がつけば夕方だった。
ドアは開けっ放し。
部屋はスタッフステーションの目の前。
なんだか慌ただしい。
夕食の配膳や看護師の足音、赤ちゃんの鳴き声に混ざって男性の話し声が聞こえてきた。
『間違いないでしょうね。
ご家族をお呼びしましょう』
2日前に虫垂炎の手術をしてくれた、外科の田部先生と木田先生の声だ。
何があったのかな?
すると田部先生が部屋へ入ってきた。
穏やかだった。
直前まで誰かの手術をしていたのに。
お医者さんって、すごいな。
先生『お腹触っていいですか?
痛いでしょ?
特に痛いのはこの辺り?』
下腹部を押された。
私『はい。すごく痛いです』
先生『しんどかったですね。
ちょっと手術が必要になりました。
私『これからですか?』
先生『はい。ご主人をお呼びしています。
到着され次第、一緒に説明しますね。
ではまた後で』
え?どういうこと?
今から手術?
だから夕食が来なかったのか。
いや、そんなことどうでも良い。
混乱していた。
でもその反面、詳しいことはわからなかったが、少しほっとしていた。
しばらくして木田先生がきた。
暗かった。
先生『すみません。
血液検査で炎症の数値が上がっていたので、色々と検査しました。
田部先生に相談して、手術していただけることになりました』
私『わかりました。
ありがとうございます』
先生『大丈夫ですか?
大丈夫じゃないですよね。
すみません』
私『大丈夫ですよ。
ありがとうございます』
先生が落ち込んでいるように見えたので、精一杯の笑顔で対応した。
3人の女性医師が部屋に入ってきた。
ルートを確保しにきたそうだ。
優しい声かけなんて無い。
淡々とした対応が怖い。
腕を叩かれたり、角度を変えたり、温めたり。
なかなかルートが取れないようだ。
左右、何度か針を刺されたが、うまくいかなかった。
イライラしていて、とても怖い。
木田先生が入ってきた。
空気を察して交代し、あっという間にルートを確保した。
早すぎて驚いた。
女医さん3人のあの時間は何だったんだろう。
私のせいで残業だから機嫌悪い?
ごめんなさい、と思っていたが、声はかけにくい雰囲気だった。
『ご主人が救急入口に到着されましたので、迎えに行きます』
部屋の外は慌ただしい。