昼食が運ばれてきた。
匂いも食感も、どうしても好きになれないお粥。
でも無理矢理食べた。
トレーに乗ってきたふりかけをかけて、水で流し込んだ。
お粥にかけた海苔と黒胡麻の真っ黒なふりかけ。
今でもその映像が頭に焼き付いている。
看護師が血液検査のための採血をしに来た。
まだ下膳前だったが、看護師が運んでくれた。
立ち上がらなくてよくなった。
優しい看護師がいた。
うれしかった。
しばらくして、木田先生と伊東先生が来た。
他の科からエコーの機械を借りてきて、腹部の診察をしてくれた。
鎖骨から下腹部まで、どこが一番痛いのかわからないくらい痛い。
うまく伝えられない。
『何の痛みでしょうね。
産婦人科医なので、専門外のことはよくわからないんです。
すみません』
忙しい中、研修医に呼ばれて不本意だったのか、手術前の穏和な雰囲気ではなかった。
『お忙しいのにすみません』
どこも悪くないのに、手を煩わせてしまっているのだろうか。
申し訳ない気持ちになった。
念のために、産婦人科病棟内にある検診台で内診をしてくれた。
カーテンで見えないが、複数の聞き慣れない声。
原因は特定できていないようだ。
『ちょっとお腹押さえます。
押した時と離した時、どちらが痛いですか?』
刺々しい女性の声だった。
判断できず迷っていて、咄嗟に答えが出せなかった。
『押した時ですかね?』
『はい、多分』
どちらか悩んでいたが、それ以上は何も言えなかった。
私は高圧的だと感じると、恐怖で口籠ってしまうタイプだ。
木田先生と伊東先生と知らない女性の先生に付き添われて、車椅子でレントゲン室へ向かった。
その後、造影剤を使ってCT検査。
喘息持ちなので術前検査では造影剤は使用しなかった。
『アレルギー反応が出たらきちんと対応します』と、先生が検査に立ち会ってくれた。
部屋に戻った。
手術中だった外科の田部先生に連絡が取れ、後で来てくれることになった。
部屋のドアは開いたまま。
閉めに行くことは諦めた。
ようやく私の痛みに興味を持ってもらえて、検査してくれた。
もう少しで痛みから解放されるかもしれない。
そう思うと、うれしかった。