『はじめまして。
心理士の島田です』
物腰の柔らかい、男性の心理士さん。
話しやすそうな雰囲気だった。
私は、人見知り。
いつも、こんなことを話したら、それを聞いた人がどう思うだろうか、と深読みをしすぎて、なかなか本心を話せない。
心理士さんに話したことが、カルテでスタッフに共有されてしまうのだろう。
手術や合併症、入院生活で感じた本当のことは話せない。
募っていた不安や不信感を口にすることはできない。
病院と患者には、命を預けているという、絶対的な上下関係があるからだ。
心理士さんは、穏やかに、丁寧に対応してくれた。
少しずつ、心のガードが下がっていった。
眠れない、食べれない、動悸など、体調が優れないこと。
心配してくれている家族に対して、イライラしたり、辛くあたってしまい、自己嫌悪に陥っていること。
仕事のこと。
ストーマ生活で生きづらさ感じていること。
気が付いたら、泣きながら、色々なことを話していた。
先生や看護師への感謝も伝えた。
それは本心だった。
しかし、病院側の対応で傷ついたことや不満は、何一つ言わなかった。
心理士さんも病院側の人だから。
最後に、精神科の受診をすすめられた。
かかりつけ医がいると、安心だと。
一度も精神科や心療内科に、かかったことがなかったので、違いや選び方を教えてもらった。
先生との相性があるので、特定の病院や先生を、紹介することはできないそうだ。
無責任だと感じた。
自分でちゃんと病院が探せるか心配だった。
でも、仕方ない。
『わかりました。
精神科に行ってみます。
お忙しいところ、長々と話をしてしまって申し訳ありませんでした。
ありがとうございました』
初めてのカウンセリングは、終了した。
心理士さんのテクニックなのか、自分でも驚くほど、よく喋った。