ストーマになって、初めて帰省した。
注目されたくなかったので、みんなが集まるお盆を避けた。
入院中、両親が面談を希望したが、コロナのせいで病院の許可が出なかった。
毎日着信があったが、入院中は出なかった。
対応は夫に任せていた。
声を聞くと、弱い自分が出てきそうだった。
それに、病院への不満を受け止められないと思っていた。
実家に到着して、久しぶりに会った両親の悲しそうな顔が忘れられない。
『大変だったね』
『痩せたね』
ストーマを見せたら、一瞬、目を背けられた。
娘の、そんな体を見たくはなかったのだろう。
いつもなら、たくさんの身内が集まって、大騒ぎの宴会。
この日は、両親と私達夫婦の4人、静かに晩酌。
お酒が大好きだった娘の、ほとんど飲まず食わずの姿を見て、辛そうだった。
そんな両親を見ている私も辛かった。
『死にかけた娘にも会わせてくれなかったね。
でも、生きてただけで、それでいいよ』
色んなことを飲み込んで、父が笑った。
私が病院の不満を口にすると、両親の気持ちが収まらないと思ったので、一生懸命フォローした。
『良い先生達だったし、ものすごく親切にしてくれたよ。
石橋病院で本当によかったよ。
他の病院だったら死んでたかもしれないよ。』
笑顔で嘘をついた。
本当は、泣きたかったし、愚痴の一つでも言いたかった。
他の病院なら、こんなに苦しまなかったかもしれない、とも思っていた。
『私は、もう大丈夫』
これ以上、両親を苦しめるわけにはいかない。
かわいそうだと言わないで。
明るく振る舞おうと頑張っている両親。
それに精一杯応えた。