精神科外来の日。


到着時間を考えて、ちゃんと頭の中でシュミレーションをした。


忘れ物がないように。

予約の時間に遅れないように。

慌ててパニックにならないように。


前日からちゃんと準備した。

着替え、スマホの充電器、お薬手帳。

財布の中身もバッグの中身も何度も確認した。


家を出る時間も決めていた。


出発20分前に夫から電話がきた。


『今夜、お通夜に行くことになったんだよね。

準備、お願いできる?』


やばい。

半泣き。

パニック。


喪服、シャツ。

黒い靴下、ベルト、ネクタイ。

一応、コロコロしなきゃ。


慌てて家を飛び出した。

やばい、動悸が始まった。


早歩きでバス停へ向かった。


突然、細い路地から中学生が走って飛び出してきた。


『わあー』

驚きすぎて叫んでしまった。


私『あ、ごめんなさい』

中学生『すみません』


とりあえず急がなきゃ。


結局、もう少しのところでバスを見送ることになった。


病院に行きたくない。

帰りたい。

でも、今日行かないと、先生の外来の日は1週間後。


病院に電話した。

『すみません。

5分くらい遅れそうです。

すみません』


安定剤を飲むのも忘れて、急いで病院へ行った。


着いたらすぐに呼ばれた。


手術をした病院で、心理士先生のカウンセリングの時、悲しい気持ちになったことを伝えた。

数日間、モヤモヤして体調が悪かったことも。



『次の時に、事実じゃないかもしれないと言われてショックを受けましたって、ハッキリ言っていいと思う。

病院側は手術のことを配慮して、カウンセリングを続けているのかもしれないけど、藤井さんが止めたければ断ってもいいかもしれない。


せっかく話したのにね。


ずっと言えずにいたことや、辛かったことは言っていいのよ』


先生が優しくて泣きそうだった。


『手術の後も、入院中も、私の話は聞いてもらえなかった。

私の話は届かないんだなって、ちょっと傷付きました。

どうしてほしいとかじゃなくて、ただ聞いてほしかったんですけど。

言わなきゃよかったです』


診察は終わった。


先生は味方でいてくれる気がして、うれしかった。


少しずつ良くなっていると思う、と言ってもらえた。


処方される薬は減らないけど、増えてない。


体調は日替わりだけど、元気な日もある。


次は2週間後か1ヶ月後、選択させてもらえた。


『1ヶ月後に来ます』

自分で決めた。


パニックになったけど、頑張って病院に行ってよかった。