東京オペラシティアートギャラリー
『野又穫 Continuum 想像の語彙』へ。
東京オペラシティアートギャラリーは寺田小太郎寄贈によるコレクションが大半のようで、そのコレクターがこよなく愛し収集を続け、野又穫の代表作40点あまりと共に初期作品を含む展示。
そのコレクションを観たディレクターの目に止まり、イギリスの有力な現代アートギャラリーであるホワイトキューブの所属作家として世界を舞台とする作家になったとの事。
その緻密さから、現実的にどこかで存在しそうにありながら実際には存在し得ない建築物を描かれていて、風景画にも写実絵画にも鑑賞し得るし、ブリューゲルのバベルの塔や、エッシャーのだまし絵の回廊も彷彿とするような、ここにはないどこかを目に見せてくれる。
有機物は植物と雲や土など一見、自然現象はありそう、でも風が吹いても飛べなさそうな飛行船や風力発電機。人物も動物も登場しないから、どこか無機質的で殺風景な風景に見え、人がいないのはこれから朽ちていくのかそれとも建設中なのか、人がいないならその緻密過ぎる建造物は一体誰が、何が作り上げたのだろうか、とか、何か乾いたザラザラしたものも感じさせる不思議な光景絵。
私は暫しその、ここではないどこかへ束の間、トリップしてきたようです。
(7月25日❔)