領域 | 読書セラピー(幸せのページ)

読書セラピー(幸せのページ)

木に吹いた風が緑色になるように
花に吹いた風が芳香を運ぶように
風に言葉を託して届けます。

「ウチの母、
『この大学がいいと思う』
『公務員なら安心ね』など
私の進路を決めようとしてウザい」
と嘆くGさん。

「思春期になったら、
子どもの領域と親の領域は
違うんですよね」
とも問いかけてー。

「その通り。
お母様、子離れできるといいですね」

「う~ん。難しいかも。
母は私が自分の思い通りにならないと
不機嫌になるんです」

「Gさんは小さい頃から
お母様の顔色を気にかけてきたのかしら?」

「はい。

母は言葉で伝えるというより、
顔色で私を支配しようとするみたい。

もう、母と関わるの、疲れちゃった・・・」

「1つ質問していいですか?
Gさんは、他人に
言われても傷つかないけど、
お母様に言われると
傷つくことありますか?」

「あります。あります。
そんなの、しょっちゅうです」

「ということは、Gさん自身、
『母親だから分かってほしい』
とお母様のの領域に
入り込んでいるかもしれません」

「えっ?」

「お互いの領域を尊重できなければ、
親子であっても本当のつながりは、
得られません。
まずは、Gさんの領域を
守る伝え方をしましょう」

「どうやって?」

「『そんな風に言わないで』
『どうしてそういうことを言うの』
と相手について話すのではなく、

『そういう風に言われると悲しい』
と自分の気持ちについて話すのです」

「自分の気持ち?」

「はい」

「私、今まで自分の気持ちについて
母に話したことありませんでした。
話してもどうせ、
否定されると思っていたから」

「否定されたとしても、
それはお母様の領域の中での話。
Gさんは、ご自身の領域を
尊重してください」

「わかりました。
私の領域は私にしか守れませんよね。
正直な気持ち、話してみます」

出典:『自己肯定感、持っていますか?』(水島広子、大和出版、pp.156-157)


読者登録してね