身近なところで | 読書セラピー(幸せのページ)

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木に吹いた風が緑色になるように
花に吹いた風が芳香を運ぶように
風に言葉を託して届けます。

「私たちも奉仕団を
結成したいのですが、
受け容れていただけますか?」

という質問をマザーテレサにした、Hさん。

マザーは微笑みながら答えます。

「その気持ちは嬉しいが、
わざわざカルカッタまで来なくてもいい。

まず、あなたたちの周辺の『カルカッタ』で
喜んで働く人になってください」

マザーの言葉を胸にHさんは、教師の道へ。

そして初めて送り出す卒業生の一人から、

「先生だけは私を見捨てないでくれた。
ありがとうございました」

と言われました。

(ん? 私は特別何もしていないけど。
強いて言えば、努めて微笑んだくらい・・・)

学業にも家庭にも問題を抱え、
他の教師たちから、お荷物と考えられていた
女子生徒にとって、
微笑みかけられることは、
自分の存在を認めてもらう証だったのです。

(マザーが仰った『周辺のカルカッタ』
で奉仕するというのは、
こういうことだったのかもしれない)

Hさんはマザーとの約束を守りました。

私たちの身近にも「カルカッタ」があります。

それは家族の中で
相手にされていない老人。

学校でいじめられたり、
無視されている子どもたち。

あるいは、職場で、社会で、
仲間外れにされている人々。

生き甲斐を失って
淋しい思いで生きている人たち。

そのような人たちに
ちょっとした優しい言葉や
微笑みを差し出すことが、
愛なのかもしれません。

出典:『幸せはあなたの心が決める』(渡辺和子、PHP、pp.133-135)


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