イギリスの精神科医であり
小児科医でもあった
ウイニコットは言いました。
「二人でいるから一人になれる」
どういうことかというと
お母さんが見守ってくれるから
子どもは勉強や遊びに夢中になれる。
反対に、子どもがやっていることに
指示・命令ばかり出していると
子どもは自分自身になれず
窒息してしまいます。
先生は夕方、少年のとなりに
座って仕事をしました。
分らないときは
質問に答えるというスタンスで。
この「一緒にいて見守る優しさ」が
母なるものです。
彼は、幼年期の課題である
基本的信頼(心の根っこ)を
実母との間で得ていたのでしょう。
お母さんが亡くなり
ポキッと折れてしまった心に
思春期の課題である「自立」を
手助けしてくれる先生が現れ
接木するように支えてくれました。
人は少しずつ母親から離れていきます。
最初は、母親に代わるもの
(=移行対象)として
毛布やハンカチ、お人形といったもの。
次に友だち、勉強、仕事
パートナーなどに進みます。
移行対象を変えながら
母子分離を進めていくのが人生ですが
心の内に「母なるもの」が
棲んでいる人は、耐え難い寂しさで
パニックになることはありません。
少年にとって、小学校5年生のとき
先生と過ごした思い出が
母なるものとして
ずっと存在していたのでしょう。
つながりを感じ、安心できたとき
子どもの心は強くなっていきます。
おわり
6年生になると
先生は担任から外れました。
ところが卒業のとき
少年から1枚のカードが届きます。
「先生は僕のお母さんのようです。
そして、今まで出会った中で
一番素晴らしい先生でした」
それから6年後。
またカードが届きます。
「明日は高校の卒業式です。
僕は5年生で先生に
担当してもらって
とても幸せでした。
お陰で奨学金をもらって
医学部に進学することができます」
さらに10年を経て
届いたカード。
そこには、先生と
出会えたことへの感謝と
父親に叩かれた体験があるから
患者の痛みがわかる
医者になれると記され
こう締めくくられていました。
「僕はよく5年生の時の先生を
思い出します。
あのままダメになってしまう僕を
救ってくださった先生を
神様のように感じます。
大人になり、医者になった
僕にとって最高の先生は
5年生の時に
担任してくださった先生です」
そして、1年後
届いたカードは結婚式の招待状。
「母の席に座ってください」
と書き添えられていました。
出典:『心に響く小さな5つの物語』(藤尾秀昭、致知出版、pp.69-73)
・・・・・・・・・・
彼は、なぜ1年間しか
受け持ちでなかった先生を
母親のように慕うのでしょうか。
しかも、この間、先生は
甲斐甲斐しく世話をしたという
感じではありません。
実は、ここに「母なるもの」の
ヒントが隠されています。
つづく
先生は担任から外れました。
ところが卒業のとき
少年から1枚のカードが届きます。
「先生は僕のお母さんのようです。
そして、今まで出会った中で
一番素晴らしい先生でした」
それから6年後。
またカードが届きます。
「明日は高校の卒業式です。
僕は5年生で先生に
担当してもらって
とても幸せでした。
お陰で奨学金をもらって
医学部に進学することができます」
さらに10年を経て
届いたカード。
そこには、先生と
出会えたことへの感謝と
父親に叩かれた体験があるから
患者の痛みがわかる
医者になれると記され
こう締めくくられていました。
「僕はよく5年生の時の先生を
思い出します。
あのままダメになってしまう僕を
救ってくださった先生を
神様のように感じます。
大人になり、医者になった
僕にとって最高の先生は
5年生の時に
担任してくださった先生です」
そして、1年後
届いたカードは結婚式の招待状。
「母の席に座ってください」
と書き添えられていました。
出典:『心に響く小さな5つの物語』(藤尾秀昭、致知出版、pp.69-73)
・・・・・・・・・・
彼は、なぜ1年間しか
受け持ちでなかった先生を
母親のように慕うのでしょうか。
しかも、この間、先生は
甲斐甲斐しく世話をしたという
感じではありません。
実は、ここに「母なるもの」の
ヒントが隠されています。
つづく
「先生は夕方まで
教室で仕事をするから
あなたも勉強していかない?
わからないことは
教えてあげるから」
このとき、少年は初めて
笑顔をみせました。
それから毎日
少年は先生のとなりに座り
予習・復習を熱心に続けます。
授業で少年が
初めて手を挙げた時
先生はどんなに
嬉しかったでしょう。
“やれば、できる!”
少年は自信を持ち始めました。
その年のクリスマスの日
少年は小さな包みを
先生の胸に
押し付けてきました。
(何かしら?)
後で開いてみると
香水の瓶が入っています。
(亡くなったお母さんが
使っていたものに違いない)
先生はその一滴をつけ
夕方、少年の家を訪ねました。
雑然とした部屋で
独り本を読んでいた少年は
気がつくと飛んできて
先生の胸に顔を埋め
叫びました。
「ああ、お母さんの匂い!
今日はステキなクリ スマスだ」
つづく
出典:『心に響く小さな5つの物語』(藤尾秀昭、致知出版、pp.64-68)
教室で仕事をするから
あなたも勉強していかない?
わからないことは
教えてあげるから」
このとき、少年は初めて
笑顔をみせました。
それから毎日
少年は先生のとなりに座り
予習・復習を熱心に続けます。
授業で少年が
初めて手を挙げた時
先生はどんなに
嬉しかったでしょう。
“やれば、できる!”
少年は自信を持ち始めました。
その年のクリスマスの日
少年は小さな包みを
先生の胸に
押し付けてきました。
(何かしら?)
後で開いてみると
香水の瓶が入っています。
(亡くなったお母さんが
使っていたものに違いない)
先生はその一滴をつけ
夕方、少年の家を訪ねました。
雑然とした部屋で
独り本を読んでいた少年は
気がつくと飛んできて
先生の胸に顔を埋め
叫びました。
「ああ、お母さんの匂い!
今日はステキなクリ スマスだ」
つづく
出典:『心に響く小さな5つの物語』(藤尾秀昭、致知出版、pp.64-68)